イタリアで新型コロナウイルスの感染拡大が起きた理由:ヴェネツィアの地中海クルーズと海からのウイルス侵入の危険性

38新型コロナウイルスの感染者数は、イタリアが韓国を超えて中国を除く世界各国のなかでは1位となった

(3月8日の時点におけるイタリアの感染者数は7375(前日から1492人増)であるのに対して、韓国の感染者数は7313 (前日から272人増))

その前日の37にはミラノを中心とするロンバルディア州の全域ヴェネツィアを含むヴェネト州エミリア=ロマーニャ州一部の地域に対して事実上の都市封鎖が実行されることになり、1600万人にもよぶ住民が実質的な隔離状態に近い移動制限などの影響を受けることになった。

このブログでは、9日前の時点にあたる229日の記事において、当時、韓国の大邱において急激な感染拡大が広がりつつあったことを受けて、韓国の大邱中国の武漢と同じ状況になりつつあることが危惧されると書いたが、

どうやら、実際に、中国の武漢の後を追うことになったのは、韓国の大邱ではなく、イタリアのロンバルディアということになったようである。

(ちなみに、中国の武漢市の人口は1100万人であるのに対して、イタリアのロンバルディア州の人口は1000万人

しかし、なぜこうしたロンバルディアを中心とする北イタリア地域において、これほど急激で大規模な感染拡大突発的に発生してしまうことになったのだろうか?

スポンサーリンク

イタリアの強固な水際対策がかえって国内での積極的疫学調査の遅れへとつながった可能性

そもそも、今回、新型コロナウイルス大規模な感染拡大が起きてしまうことになったイタリアは、ヨーロッパ諸国のなかでもいち早く中国への厳しい渡航制限を実施していた国にあたり、

イタリア政府は、日本政府が中国と韓国からの全面的な入国制限を行うことに決めた3月5日からさかのぼること1か月以上も前の131日の時点において、すでに、中国からの航空機の乗り入れ全面的に禁止することによって、事実上の中国に対する入国禁止措置をとっていた。

しかし、このことは、逆に言えば、

そうした新型コロナウイルス外国からの侵入に対する強力な水際対策を早くから行っていたうえに、感染症の発症地である中国から地理的にも遠く離れているという地の利もあったイタリア国内においては、

まさか、これほど強固な水際対策を行っている自国内で何の前触れもなく突然感染爆発が起こるようなことはないだろうというある種の慢心にも似た安心感が広がっていた可能性があるということは指摘できるかもしれない。

つまり、

感染症の発生地である中国と地理的に近く、当時は中国からの渡航制限もいまだ十分にはなされていなかったことから、自国内でもすぐにウイルスの感染拡大が広がるかもしれないという不安感が強かったことで、

国内での感染者をいち早く発見するための積極的疫学調査ウイルス検査にも当初から比較的多くの労力をかけてきた日本や韓国などの場合と比べて、

イタリアの場合には、そうした国内におけるウイルスへの危機感防疫対策の備えが十分ではなかったため、結果として、感染拡大を早期に検知することができずに、感染拡大が手遅れに近い状態にまで広がってしまった可能性があるということである。

そして、さらにもう一つ、気になる点もある。

それは、確かに、航空機の乗り入れ全面的に禁止することによって空からのウイルスの侵入を防ぐことは万全だったとして、もう一つのルートからのウイルスの侵入

すなわち、海からのウイルスの侵入についての水際対策は十分に行われていたのか?ということである。

スポンサーリンク

ヴェネツィアの地中海クルーズと海からのウイルス侵入の危険性

今回、イタリア政府による都市封鎖の対象となった代表的な都市のなかには、北イタリア地域を代表する工業と商業の中心地でもあるミラノのほかに、

アドリア海の女王あるいは水の都とも称されるイタリア随一の観光都市であるヴェネツィアも含まれている。

水の都ヴェネツィアは、地中海クルーズなどを中心とする世界最大規模の客船の寄港地となっていて、1年間で594にもよぶクルーズ船ヴェネツィアの港に入港しているというデータもある。

ちなみに、

2月の段階において船内における新型コロナウイルス集団感染の拡大が問題となったイギリス船籍のクルーズ船であるダイヤモンド・プリンセス号が寄港していた日本の横浜港における2019クルーズ船を含む客船の寄港数は188となっている。

つまり、そういった意味では、

今回、イタリア政府による都市封鎖の対象となった都市の一つでもあるヴェネツィアでは、日本の横浜港と比べても3倍以上の数にのぼる多くのクルーズ船が港での発着を繰り返していたということになるわけだが、

もしも、そのなかに、

実際には新型コロナウイルスの船内感染が広がっていたにも関わらず、不十分な検疫によってチェックを免れてしまった感染拡大の種となるウイルス保有者が含まれていたとするならば、

日本国内における厳しい検疫措置によってクルーズ船の入港後においても船内感染が広がっていたことが問題となっていたのとちょうど同じ時期に、

イタリア国内においては、検疫を免れてしまった感染者が船内ではなく船から降りた先の陸上において密かにウイルスの感染を広げていたということも十分にあり得ることのように思われる。

そして、いずれにしても、

こうしたヴェネツィアなどの港湾都市からの海のルート、あるいは、工業と商業の中心地にしてヨーロッパの交通の要衝でもミラノなどの大都市からの陸のルートなどを通じて北イタリア地域へと侵入したウイルスは、

その後、

ロンバルディア都市同盟などに象徴されるように中世の時代にまでさかのぼることができる政治的・経済的・文化的交流と連帯が非常に強い地域でもある

ロンバルディアを中心とするミラノヴェネツィアパドヴァなどといった北イタリアの諸都市の間において爆発的な感染拡大を広げていってしまうことになっていったと考えられるのである。

・・・

次回記事:スペイン風邪はなぜ終息したのか?世界最大のパンデミックを引き起こした強力なウイルスが地球上から姿を消した三つの理由

前回記事:イタリアの都市封鎖とロンバルディア都市同盟、新型コロナウイルスの感染拡大の歴史的背景としての北イタリア諸都市の連帯

時事考察のカテゴリーへ

スポンサーリンク

このページの先頭へ