韓国への渡航制限と渡航中止勧告が急務である理由、新型コロナウイルスに対する日本とアメリカの現時点での対外対応の違い
前回の記事でも書いたように、現在の時点においては日本の近隣諸国における新型コロナウイルスの感染拡大の中心地は中国ではなく韓国に移っていると考えられる。
(2月29日の新規感染者数は中国が573人(すでに日本でも渡航中止勧告が出されている湖北省以外ではわずか3人)であるのに対して韓国は813人)
そこで今回の記事では、新型コロナウイルスの感染拡大に対応する現時点までの日本政府とアメリカ政府の対外措置の違いについて詳しく比較していくなかで、
日本国内においても新型コロナウイルスの感染拡大が危惧されている現在の時点において韓国への渡航中止勧告と渡航制限といった措置を講ずることが急務であると考えられる理由について引き続き考えていきたいと思う。
韓国に対する日本政府とアメリカ政府の渡航警報のレベルの比較
詳しくは前回の記事で考察したように、2月18日から現時点までの韓国において新型コロナウイルスの感染者数の推移の状況はちょうど一か月前の感染爆発が本格化した時点における中国の武漢を含む湖北省の状況に酷似している。
・韓国における新型コロナウイルス感染者数の推移(2月18日~2月29日)
2月18日:31人
2月19日:58人
2月20日:111人
2月21日:209人
2月22日:436人
2月23日:602人
2月24日:833人
2月25日:977人
2月26日:1261人
2月27日:1766人
2月28日:2337人
2月29日:3150人
・湖北省における新型コロナウイルス感染者数の推移(1月18日~1月29日)
1月18日:45人
1月19日:62人
1月20日:198人
1月21日:270人
1月22日:444人
1月23日:584人
1月24日:768人
1月25日:1011人
1月26日:1330人
1月27日:1749人
1月28日:2302人
1月29日:3028人
そして、こうした韓国において見られる一連の新型コロナウイルスの感染拡大の状況の変化を受けて、
アメリカ国務省は、昨日の2月29日の時点において、
韓国の感染拡大の中心地である大邱(テグ)への渡航警報を四段階のうちの最高レベルにあたるレベル4(渡航禁止)へと引き上げ、残りの韓国全域に対してもレベル3(渡航再考)の勧告を出している。
そして、それに対して、
日本政府の対応は、3月1日午後5時現在の時点においては、
大邱(テグ)への渡航警報は四段階のうちで下から二番目にあたるレベル2(不要不急の渡航は止めてください)であり、残りの韓国全域に対してはレベル1(十分注意してください)の状態にとどまっている。
(※記事執筆後の3月1日午後9時ごろに日本外務省は韓国の大邱と慶尚北道清道郡への渡航警報をレベル3(渡航中止勧告)へと引き上げた)
日本国内の措置に見合うだけの国外に対する強力な防疫措置を行うべき
世界各地から渡航制限や渡航禁止といった措置が課されていくなか、
感染拡大が急速に進展していくことによってパニックへと陥った一部の人々は、必然的に、自国に対して渡航制限をかけていない近隣諸国へと向けて国外脱出を図っていくことになる。
中国の武漢において感染爆発が始まった1月の中旬から下旬の段階においては、そうした自国での感染拡大から逃れるために国外への一時的な避難も兼ねて海外渡航を試みた中国の人々のうち、
近隣諸国のなかでも、当時、アメリカや台湾といった他の中国との関係が深い国々と比べてあまり厳しい渡航制限を課していなかった日本に向けて渡航した人々が一定数いたと考えられ、
そうした一連の流れが感染源の種となって、そのおよそ二週間後からはじまることになる日本国内における北海道を中心とする第一波の小規模な感染拡大へとつながっていくことになったと考えられる。
そして、今回の韓国における感染拡大の場合も、こうした日本との地理的および経済的関係は中国の場合とほとんど同じである。
日本国内において一斉休校やイベントの自粛といった厳しい制限を求めながら、
海外の感染地域からの外国人渡航者や、この時期に新たに感染地域への旅行に出発して帰国する日本人の海外旅行者によって日本国内における第二波の感染拡大の流れへとつながる感染源の種を持ち込んでしまうのはできる限り避けなければならない。
少なくとも、日本国内の国民に向けて一斉休校やイベントの自粛、さらには、北海道などの一部の地域においては感染拡大の予防のために外出の自粛といった日常生活を厳しく制限する措置を行っている現在の状況においては、
日本国内の人々に対して課している緊急事態措置に見合うだけの措置として、少なくとも一斉休校と同じ春休みまでの期間は、
日本国外の人々に対しても、現時点において感染拡大のホットスポットとなっている感染地域からの日本への渡航制限をかけたうえで、国内からの感染地域への旅行についても渡航中止勧告を出して厳しく規制するという国内の措置に見合うだけの十分に強力な防疫措置を講じることが急務であると考えられる。
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次回記事:新型コロナウイルスによる医療崩壊はいつ起きるのか?感染者の増加ペースと医療崩壊が起きる限界地点との関係
前回記事:中国よりも韓国に対して渡航制限を行うのが新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために現在の状況では必要な理由
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