アリストマコスの三人の息子が解き明かす神託の真意と父と子と孫の三代の帰還への夢、ギリシア神話のヘラクレイダイの物語④

前回書いたように、ヘラクレスの息子であったヒュロスは、デルポイのアポロン神殿で下されたヘラクレスの子孫たちは三度目の収穫を待った後にペロポネソスの地へと帰還することになるだろうという神託の言葉に従って、

大地に育つ作物が三度実って収穫の時を迎える三年の時を待ったうえで、ペロポネソスの地へと侵攻していくことになるのですが、

そうした神託の言葉を信じるヒュロスの思いも虚しく、彼はペロポネソスの軍勢を代表する武将であったテゲアの王エケモスとの一騎打ちに敗れて、あっけなく切り殺されてしまうことになります。

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父と子と孫の三代にわたるペロポネソスの地への帰還の夢

そして、その後、

ヒュロスの息子であったクレオダイオスの代になっても、ヘラクレスの子孫にあたるヘラクレイダイたちのペロポネソスの地への帰還の夢は果たされることがなく、

その次の代にあたるクレオダイオスの息子であったアリストマコスは、再びデルポイのアポロン神殿へと赴いて、この地で再び神託を求めることになります。

そして、

この地で、今度は、ヘラクレスの子孫たちは彼らにとっての正しき道である狭き場所を通ることによってペロポネソスの地へと帰還することができるという神託の言葉を授かることになります。

そして、

こうしたデルポイの神託の言葉を聞いたアリストマコスは、今度こそ神託の言葉の通りに一族のペロポネソスの地への帰還の夢が果たされるに違いないと喜んで、再び自らの軍勢を率いてペロポネソスの地へと赴き

彼が聞いた神託の言葉の通りに、ギリシア本土とペロポネソス半島とをつなぐ狭い土地にあたるコリントス地峡へと進軍していくことになるのですが、

アリストマコスが率いるヘラクレイダイの軍勢は、彼らを迎え討つペロポネソスの軍勢の前にすぐに敗れ去ってしまうことになり、

父であったヒュロスと同じように、その息子であったアリストマコスもこの地で命を落としてしまうことになるのです。

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アリストマコスの三人の息子に解き明かされる神託の言葉の真意

そして、その後、

ヘラクレスの息子であったヒュロスと、その息子であったクレオダイオス、そしてそのさらに息子にあたるアリストマコスという

父と子と孫の三代にわたって彼らにとっての父祖の地にあたるペロポネソス半島への帰還の夢が妨げられ続けることになったヘラクレイダイたちは、

戦いに敗れて死んだアリストマコスの息子にあたるテーメノスクレスポンテースアリストデーモス三人の兄弟が成人した時に、さらにもう一度、彼らの帰還についての神託を求めることになります。

そして、

今回の神託においても、神々の答えは、以前に彼らの父祖であったピュロスアリストマコスに下された言葉と変わることがなく、

改めて、ヘラクレスの子孫たちは「三度目の収穫を待った後」「正しき道である狭き場所を通る」ことによってペロポネソスの地へ帰還することができるというまったく同じ神託の言葉が下さることになったため、

そうした神託の言葉に従ってペロポネソスの地へと赴いていったはずの父祖たちが戦いに敗れて死んでしまったことを知る彼らは、偽りの神託を告げられたと考えて神々のことを責め立てることになります。

しかし、

そうしたアリストマコスの息子たちからの非難に対し、神託を授ける予言の神であったアポロンは、ヘラクレスの子孫たちの不幸の原因は、彼らが自分に授けられた神託の言葉の意味正しく理解しなかったことにあると語り返していくことになり、

かつて、ピュロスアリストマコスに下された神託の言葉において語られていた

「三度目の収穫」とは、畑の作物が収穫される三年の時のことを意味するのではなく、子孫の収穫としての三代の時の流れのことを意味していて、

「狭き場所」とは、ギリシア本土とペロポネソス半島をつなぐ陸の経路にあたるコリントス地峡のことを意味するのではなく、彼らがやって来る海からの侵入経路にあたるコリンティアコス湾のことを意味しているというように、

ヘラクレスの子孫にあたるヘラクレイダイたちに与えられてきた神託の言葉の真意解き明かされることになるのです。

・・・

次回記事:ヘラクレイダイのペロポネソス半島への帰還と三つの王家を象徴する蟇蛙と竜と狐の徴、ギリシア神話のヘラクレイダイの物語⑤

前回記事:ヒュロスとエケモスの一騎打ちとヘラクレイダイの帰還の時を告げる謎めく神託の言葉、ギリシア神話のヘラクレイダイの物語③

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