母と子のセリーポス島への漂着とポリュデクテス王の奸計、古代ギリシア神話の英雄ペルセウスの物語②
「自分の娘から生まれた男の子によって殺されることになるだろう」というデルポイの神託の言葉を恐れたアクリシオス王によって、
木製の箱の中に閉じ込められて海へと流されてしまうことになったペルセウスとダナエーの母子は、そうしたエーゲ海を渡っていく漂流の旅の末に、
ギリシア本土からは遠く離れたエーゲ海南部の小さな島であったセリーポス島へと漂着することになります。
ペルセウスとダナエーの母子のセリーポス島への漂着
そして、
こうしたセリーポス島と呼ばれるエーゲ海の小さな島で漁師を営んでいたディクテュスという名の人物によって木箱の中から助け出されたペルセウスとダナエーの二人は、
その後も、この親切な漁師のもとにかくまわれる形で、平穏な暮らしを営んでいくことになるのですが、
ある時、
セリーポスの王であったポリュデクテスは、自分の弟であったディクテュスのもとで暮らしているダナエーのことを目にとめ、その美しい姿に心を奪われて、どうにかして彼女のことを自分のものにしたいという強い恋慕の情を抱いていくことになります。
しかし、この時すでに、
ゼウスの血を引く半神半人の英雄であったペルセウスは、たくましい青年へと成長していて、王の力をもってしても、彼の目を盗んでダナエーのもとへと近づくことはできなかったため、
その後もしばらくの間は、
ポリュデクテス王は、何とかペルセウスをダナエーのもとから引き離して彼女を自分のものにすることができないかと悩みながら、ダナエーの息子であるペルセウスに対して嫉妬にも似た苦々しい感情を募らせていくことになるのです。
ポリュデクテス王の奸計とメドゥーサ退治の冒険の旅へと赴くペルセウス
そして、ある時、
古代のオリンピックにあたるオリンピアの祭典の起源ともなった古代都市オリンピアの英雄としても位置づけられているエリスの英雄ペロプスとピーサの王女ヒッポダメイアの結婚についての知らせが辺境の地であるセリーポスの地にまで届くことになると、
ポリュデクテス王は、二人の婚礼の宴に贈るための祝物を集めることを口実に、ペルセウスも含めた島中の有力者たちを呼び寄せて盛大な宴会を開くことになります。
そして、
こうした宴会の場において、酒に酔った人々が、口々にエリスの英雄と王女に捧げるべき豪華な贈り物について語るなか、
気を大きくしたペルセウスは、王の前で思わず、自分ならば見た者すべてを石に変えるあの恐ろしいゴルゴンの怪物の首を捧げよと言われても断りはしないだろうと口走ってしまうことになります。
すると、
この言葉を耳にしたポリュデクテス王は、宴会に集っていた他の人々からは、馬を一頭ずつ持ち寄らせて、それを婚礼の宴に贈る祝いの品としたのに対して、
ペルセウスに対しては、彼が口にしたその言葉の通りに、見たものすべてを石に変えてしまうため、誰も近づくことすらできないゴルゴンの怪物の首を自分の前に持ってくるという無理難題を命じることになります。
そして、
一度口にしてしまった手前、自らの言葉を取り下げることができなくなってしまったペルセウスは、ポリュデクテス王が命じた通りに、
ゴルゴンの女王であるメドゥーサを退治する英雄としての冒険の旅へと赴いていくことになるのです。
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