英雄ペルセウスの誕生と母である王女ダナエーとの漂流の旅、古代ギリシア神話の英雄ペルセウスの物語①
ギリシア神話において、神々と人間との間に生まれた英雄としては、ヘラクレスやペルセウス、アキレウスやアイネイアースといった様々な人物たちの名が挙げられることになりますが、
こうしたギリシア神話における数々の英雄たちのなかでも、
ギリシア神話の主神ゼウスとアルゴスの王女ダナエーとの間に生まれたとされる半神半人の英雄であるペルセウスは、のちにギリシア神話における最も有名な英雄のうちの一人であるヘラクレスの祖父にあたる人物であるともされていくことになるように、
特にその起源が古いギリシア神話の黎明期における英雄として位置づけられることになると考えられることになります。
アルゴス王アクリシオスのデルポイの神託と王女ダナエーの幽閉
ペロポネソス半島の東北部に位置する古代ギリシアの都市国家であったアルゴス王アクリシオスのもとには、ダナエーという名の非常に美しい姿をした王女が生まれることになるのですが、
それからいつまで経ってもアルゴスの王位を継ぐべき跡継ぎとなる男子にめぐまれなかったアクリシオス王は、オリュンポスの神々による導きを受けるために、デルポイのアポロン神殿へと赴き、この地において、
「汝のもとに息子が生まれることはない。しかし汝の娘は男の子を産む。その子はやがて汝を殺すことになるだろう。」
という神託の言葉を授かることになります。
そして、
こうしたデルポイの神託における自分の孫となる男の子の誕生と、その子がもたらすことになる自らの死の予言の言葉を恐れたアクリシオス王は、
自分の娘である王女ダナエーが身籠って男の子を産むことがないように、彼女のことを青銅できた檻のような部屋に閉じ込めてしまうことになるのです。
英雄ペルセウスの誕生と母である王女ダナエーとの漂流の旅
そして、ある時、
王女ダナエーが、自分の父であるアクリシオス王によって幽閉された青銅の冷たい部屋のなかで、窓際にたたずんで一人寂しく外の景色を眺めていると、
天空からその姿を目にとめたゼウスは、こうした美しくも儚く寂しげな王女の姿に目を奪われて、大地へと降り注ぐ黄金の雨へと姿を変えて、窓の格子を伝って彼女のもとへと寄り添っていくことになり、
二人の間には、やがて、ペルセウスという名の男の子が生まれることになります。
そして、そのことを知ったアクリシオス王は、
神の子を身籠ったと主張する自分の娘の言い分を信じなかったため、不貞を働いた罰として、ダナエーとその息子ペルセウスの二人を木製の箱の中に閉じ込めて海に投げ込んでしまったとも、
ダナエーの言葉は信じたものの、やがて自分の命を奪うことになるペルセウスのことを手元に置いておくことには耐えられずに、母であるダナエーと共に島流しにしてしまうことにしたとも伝えられているのですが、
いずれにせよ、
アルゴスの王女ダナエーとその息子ペルセウスの二人は、狭い木箱のなかへと押し込められた窓もない深い暗闇のなかで、
いつ終わるとも、そして、どこかへと行き着くことができるかも分からない、あてもない漂流の旅へと送り出されてしまうことになるのです。
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