古代オリンピックの五種競技の具体的な競技内容とは?短距離走・走幅跳・やり投げ・円盤投げ・レスリングの五種目の特徴

前回までの一連の記事のなかで書いてきたように、古代ギリシアオリンピアの祭典を中心とする古代オリンピックにおいては、

五種競技(ペンタスロン)と呼ばれる五種目の陸上競技を一人で順番に行っていき、その総合成績を競う混成競技にあたる種目も行われていたと考えられることになります。

そして、こうした古代オリンピック五種競技のうちには、短距離走・走幅跳(走り幅跳び)・やり投げ・円盤投げ・レスリングという五つの種目が含まれていたと考えられることになるのですが、

それでは、こうした古代オリンピック五種競技に含まれる五つの種目においては、それぞれ具体的にどのような競技内容の競技が行われていたと考えられることになるのでしょうか?

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古代オリンピックの五種競技におけるそれぞれの種目の具体的な競技内容

そうすると、まず、

こうした古代オリンピック五種競技のうちの最初に挙げた短距離走については、この競技は、古代ギリシア語における正式な種目名としてはスタディオン走と呼ばれていて、

古代ギリシア語においてスタディオンとは、人間が2分間に歩く距離、あるいは、人間の足の大きさの600倍の長さを基準とした距離の単位のことを意味する言葉であり、

具体的には、古代オリンピックが行われていたギリシアの古代都市オリンピアにおいては、192 mの距離の長さが、そうした1スタディオンにあたる距離として位置づけられていたと考えられることになります。

つまり、こうした五種競技の種目の最初に挙げたスタディオン走と呼ばれる古代の短距離走にあたる競技においては、選手たちは、192 mという現代の200m走に近い距離を走っていく速さを互いに競い合っていたと考えられることになるのです。

そして、

その次に挙げた古代オリンピックにおける走幅跳では、現代の走幅跳と比べると比較的長さが短い10mから20mほどの助走路が用いられていたと考えられるほか、

競技者はハルテーレスと呼ばれる石また金属でできた14.5kgほどのダンベルのような重り両手に1個ずつ持って競技に挑むことになっていて、

そうした古代の走幅跳の競技者たちは、跳躍の際には、重り持った手を大きく前方へと振り出すことによって自分の体に勢いをつけていき、着地の際には、重りを下へと振って重心を変えることによって、飛躍距離を伸ばす助けとしていたと考えられることになります。

そして、

その次のやり投げの競技においては、現代の槍よりも長さの短い2m前後の長さ先端部分に金属加工のされた木製の槍が用いられていたと考えられ、

槍の中央部分には、古代ギリシア語ではアンクレーラテン語ではアメントゥムと呼ばれる投擲用の革製のひもが結びつけられていて、

槍を投擲する際に、そうしたアンクレーまたはアメントゥムと呼ばれる槍に巻きつけられた革製のひも一気にほどけていくことによって、投擲された槍ライフルの銃弾のようにがらせん軌道が与えられることになり、

それによって、通常の場合よりも飛距離が長くなり、軌道も安定するという効果がもたらされていたと考えられることになります。

そして、

その次の円盤投げの競技においては、現代のオリンピックにおける直径1822cm重さ12kgほどの金属の縁枠がはめ込まれた木製の円盤よりも全体的な傾向としては少し大きめで重い

直径1635 cm重さ1.25 kg5.7 kgにもわたる様々な大きさや重さの円盤が用いられていて、円盤の材質としては石製または金属製のものが競技に用いられていたと考えられることになります。

そして、こうした古代オリンピック円盤投げの競技においては、競技者が円盤を投げる場所は、現代のようなサークルすなわち円形の形状ではなく、後方が開けた形状をしていたと考えられ、

競技者たちの円盤の投げ方も、現代のように競技者自身が一回転半ほど回転しきることはなく、半回転ほど回るとすぐに円盤を放つような投法が用いられていたと考えられることになります。

そして、

最後に挙げた古代オリンピックレスリング競技においては、殴打や蹴りなどといた打撃攻撃が禁止されていたほか、急所や眼球への攻撃あるいは噛みつきなどといった行為も禁じ手とされたうえで、

組み技投げ技などによって相手の肩や背中や尻を地面に着けること、または、絞め技関節技などによって相手を降参させること、あるいは、相手を30メートル四方ほどの競技場の範囲外へと押し出すことによってもポイントが入ることになっていて、

3ポイント先取のポイント制で勝敗の決着がつけられることになっていたと考えられることになるのです。

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古代オリンピックにおける短距離走・走幅跳・やり投げ・円盤投げ・レスリングの五種目の具体的な特徴のまとめ

以上のように、

こうした古代オリンピック五種競技における短距離走・走幅跳・やり投げ・円盤投げ・レスリングという五つの種目それぞれの具体的な競技内容について、一言でまとめると、

古代オリンピック短距離走は、古代ギリシア語においてはスタディオン走と呼ばれていて、オリンピアにおける1スタディオンの距離にあたる、192 mという現代の200m走に近い距離を走っていく速さを互いに競っていく競走競技

古代オリンピック走幅跳は、現代の走幅跳よりも長さが短い10mから20mほどの助走路を走り抜けていったのち、跳躍の際に、両手に持った14.5kgほどのダンベルのような重りを振って重心を変えながら跳躍距離を競っていく陸上競技、

古代オリンピックやり投げは、現代の槍よりも長さの短い2m前後の長さ先端部分に金属加工のされた木製の槍を投げる際に、槍の中央部分に結び受けられた投擲用の革製のひもの助けも借りながら投擲された槍の飛距離を競い合う陸上競技

古代オリンピック円盤投げは、現代の円盤よりも少し大きめで重い傾向にある直径1635 cm重さ1.25 kg5.7 kg石製または金属製の円盤を投げて投擲された円盤の飛距離を競い合う陸上競技

古代オリンピックレスリングは、組み技投げ技によって相手の肩や背中を地面に着けて組み伏せる、あるいは、絞め技関節技によって相手を降参させることによって得点が入るという3ポイント先取のポイント制で勝敗の決着がつけられていた格闘競技としてそれぞれ位置づけられることになると考えられることになるのです。

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「古代オリンピックの五種競技」に関する記事の一覧

①スタディオン走とは何か?古代の短距離走における具体的な競技の手順と古代バビロニアとギリシア神話のスタディオンの由来

②古代オリンピックの走幅跳の具体的な競技の特徴とは?スパルタのキオニスが記録した古代世界における走幅跳の最長距離

③古代オリンピックのやり投げの具体的な競技の特徴とは?古代ギリシアの戦争における投げ槍を主戦力とした軽装歩兵の活躍

④古代オリンピックの円盤投げの具体的な特徴とは?宗教的な儀式としてのオリンピックを象徴する聖なる競技としての円盤投げ

⑤古代オリンピックのレスリング競技の具体的な競技内容とは?古代ギリシアにおける第一の格闘競技としてのレスリング

⑥古代オリンピックの五種競技の具体的な競技内容とは?短距離走・走幅跳・やり投げ・円盤投げ・レスリングの五種目の特徴

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次回記事:古代オリンピックにおけるスポーツ以外の競技種目とは?トランペット演奏と弁論大会という芸術的な技能を競う二つの種目

前回記事:古代オリンピックの円盤投げの具体的な特徴とは?宗教的な儀式としてのオリンピックを象徴する聖なる競技としての円盤投げ

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