古代オリンピックではいつから裸で競技が行われるようになったのか?全裸で走る最初の優勝者となったスパルタのアカントス

古代ギリシアオリンピアの祭典を中心とする古代のオリンピックにおいて最初に行われた競技として位置づけられているスタディオン走と呼ばれる古代の短距離走にあたる競技について考察した以前の記事でも書いたように、

男神であるゼウスを祀る祭儀でもあったオリンピアの祭典に参加する競技者は、奴隷を除く自由人の成人男子に限られたうえで、基本的には、衣服をまとわない全裸の状態で競技に挑むことになっていたと考えられることになるのですが、

それでは、このように、古代オリンピックの競技において、参加者が裸で競技を行うようになっていったのは、具体的にいつ頃の時代からであったと考えられることになるのでしょうか?

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オリンピアの祭典がはじまった当初の競技者の服装とは?

そうすると、まず、

こうした古代ギリシアにおけるオリンピアの祭典を中心とする古代のオリンピックにおいては、冒頭でも述べたように、競技への参加者は、基本的には、衣服をまとわない全裸の状態で競技に挑むことが通例となっていたと考えられることになるのですが、

こうした古代オリンピックにおける競技の習慣のあり方については、必ずしも、そうしたオリンピアの祭典が行われることになった最初の段階から明確な規定があったわけではなかったとも考えられることになります。

そして、実際、

歴史上の記録においてオリンピアの祭典がはじまったとされている紀元前776に行われた古代オリンピックの第1回大会において行われたスタディオン走と呼ばれる古代の短距離走にあたる競技においては、

そうした古代オリンピックにおける最初の競技の参加者となった人々は、裸ではなく、現代で言うところの褌(ふんどし)腰巻きにあたるような下半身に布を巻きつけた軽装の状態で競技に臨んでいたと考えられることになるのです。

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全裸で走る最初のオリンピックの優勝者となったスパルタのアカントス

それではいったい、いつ頃の時代から、

そうした下着を着用したような軽装の状態から、ほぼ完全な全裸の状態へと競技者の服装が変化していくことになっていったと考えられることになるのか?というと、

古代の文献におけるいくつかの記録に基づくと、そうした古代オリンピックの競技において、最初に全裸の状態で走ったとされる有名な人物としては、

紀元前720に行われた古代オリンピックの第15回大会において、ディアウロス走ドリコス走と呼ばれる二つの競走競技において優勝した人物として記録されているスパルタのアカントス(Acanthusと呼ばれる人物の名が挙げられることになります。

つまり、そういった意味では、

こうした古代ギリシアにおける最初のオリンピアの祭典が開催されてから、だいたい50年ほどの時が過ぎた紀元前720ごろの時点において、

おそらくは、少しでも身を軽くして速く走れるようにするためか、あるいは、神の前で何も隠すところがない真摯な姿を示すことによって自らを鼓舞するために、一糸もまとわない全裸の状態になって競技へと臨み、実際に勝利を得ることになった、

こうしたスパルタ人の競技者の姿を目にすることによって、深く心を打たれた古代ギリシアの人々が、自分たちもその姿にならって、競技へと挑んでいくことになり、

その後、そうした姿が、

不正を防ぐと同時に、神々へと捧げられた神聖なる競技の場でもあるオリンピックの舞台において最もふさわしい競技者の姿として広く受け入れられていくことによって、

こうした一糸もまとわない全裸の状態で競技へと臨んでいくという古代オリンピックにおける競技の習慣のあり方が形づくられていくことになっていったと考えられることになるのです。

・・・

次回記事:武装競走(ホプリトドロモス)とは何か?ギリシア語の語源に基づく具体的な意味と重装歩兵の大盾との関係

前回記事:スタディオン走とディアウロス走とドリコス走の違いとは?古代オリンピックの三つの競走競技における最初の優勝者の名前

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