ブラジルの国名の由来とは?「赤く燃える木」を意味するポルトガル語おける国名の由来と「オウムの地」と「ヤシの木の地」
ブラジル連邦共和国、すなわち、ポルトガル語における正式名称としては、República Federativa do Brasil(ヘプブリカ・フェデラチヴァ・ドゥ・ブラジウ)と表記されることになる通称ではブラジルと呼ばれているこの国は、
南アメリカおよびラテンアメリカにおいて最大の領土と人口を持つ南北アメリカ大陸で唯一のポルトガル語を公用語とする国として位置づけられることになるのですが、
それでは、
そうしたブラジルという国名の由来については、具体的にどのような言葉や事物にその大本の起源を求めることができると考えられ、
ヨーロッパ人としてはじめてこの地を訪れることになった当初のポルトガルやスペインの船乗りたち、あるいは、当時この土地の周辺に居住していた先住民の人々の言葉においては、
こうした現在ではブラジルと呼ばれているこの地はどのような別名で呼ばれていたと考えられることになるのでしょうか?
「赤く燃える木」を意味するルトガル語における国名の由来
そうすると、まず、
こうしたポルトガル語におけるBrasil(ブラジル)という言葉の大本の語源は、同じポルトガル語において「燃えさし」や「残り火」のことを意味するbrasa(ブラザ)という単語に求められることになると考えられることになります。
1500年に、ポルトガル王マヌエル1世の命を受けて赴いた第2回インド遠征の途上においてこの地に漂着することになったポルトガル人航海士であったカブラルは、
自らが仕えるポルトガル王の名のもとにこの地を「真なる十字架の島」のことを意味するIlha de Vera Cruz(イリャ・デ・ヴェラ・クルス)と命名することになるのですが、
その後、航海を重ねていくなかで、カブラルが到達したこの地が実際には島ではなく、のちに南アメリカ大陸と呼ばれることになるより大きな大陸の一部であることがすぐに明らかとなっていったため、
この地は、当時のポルトガルにおける正式な名称としては、「聖なる十字架の地」のことを意味するTerra da Santa Cruz(テラ・ダ・サンタ・クルス)として改名されていくことになります。
そして、その一方で、
実際にこの地を訪れていたヨーロッパの商人たちは、この土地に数多く自生していた樹木が、ヨーロッパで赤色の染料として用いられていたインド原産のスオウ(蘇芳)と非常によく似た外見と用途をもつことを発見して、
この地における交易の主産物としてその樹木を大量にヨーロッパへと輸出していくことによって莫大な富を得ていくことになるのですが、
その際、
その樹木が、燃えさしのように赤々と燃える色彩を放つ染料が採れる木という意味で、パウ・ブラジル(Pau brasil)、すなわち、「赤い木」と呼ばれていくことになり、そうした樹木が採れる土地そのもののこともBrasil(ブラジル)という呼び名で呼ばれていくようになっていったと考えられることになります。
そして、
16世紀の中頃になると、こうしたヨーロッパの商人たちが名づけた赤色の染料が採れる木に由来するブラジル(Brasil)という呼び名が広く定着していくことによって、
それが現在におけるブラジルという国名へとつながっていくことになっていったと考えられることになるのです。
「オウムの地」と「ヤシの木の地」を意味するブラジルの別名
そして、その一方で、
こうした赤色の染料が採れる樹木が発見されてそれが交易の主産物として流通していくようになる以前のブラジル貿易の最初期の時代においては、
現在ではブラジルと呼ばれているこの地を訪れていたポルトガルやスペインの船乗りたちは、この土地のことを「オウムの地」といった意味をもつ呼び名でも呼び表していたという記録もあるのですが、
これは、この地に広く生息しているトゥッカーノ(Tucano)、日本語ではオニオオハシ(鬼大嘴)と呼ばれることになるオウムの類縁にあたる鮮やかな色彩の大きなくちばしをもつキツツキの一種にあたる鳥のことなどを指してつけられた呼び名であると考えられることになります。
また、それに対して、
当時この土地の周辺に暮らしていた先住民たちの言葉と比較的近い関係にあると考えられる南アメリカ先住民の言語の一つであるグアラニー語においては、
現在ではブラジルと呼ばれているこの地は「ヤシの木の地」といった意味を表す呼び名でも呼ばれていたと考えられることになるのです。
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次回記事:ブラジルの正式な表記はBrazilとBrasilのどちらか?英語やフランス語やドイツ語などのその他のヨーロッパの言語の表記とは?
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