オリンピックの五つの輪のデザインとフランススポーツ協会連合を象徴する青と赤の互いに連結された二つの円環との関係
前回の記事で書いたように、オリンピックのシンボルとなっている五つの輪のデザインの起源をギリシアのデルフォイの地に存在する五つの輪の紋章が刻まれた石碑の存在へと求めていくという
オリンピックの五輪の形についての古代ギリシア起源説については、現代においては大きな疑義が呈されていると考えられることになるのですが、
それでは、
そうしたオリンピックのシンボルとなっている互いに連結された五つの輪の形は、このデザインを考案した人物とされている近代オリンピックの創始者にあたるクーベルタン自身の独自の発想のみによって生み出された産物であるのか?というと必ずしもそういうわけでもなく、
こうしたオリンピックのシンボルとなっている互いに連結された輪の形のシンボルの原型となるデザインは、クーベルタンの出身国にもあたるフランスのスポーツ協会の象徴とされるデザインのうちにその直接的な起源を求めていくことができると考えられることになります。
フランススポーツ協会連合の創設と国際的なスポーツ普及運動の拡大
フランスの教育者にして歴史家でもあったピエール・ド・クーベルタン男爵が1894年に国際オリンピック委員会(IOC)を設立することによって近代オリンピック創立者となる少し前の1887年、
フランス国内では、スポーツ関連団体の統合が行われていくなかで、陸上競技を中心とするスポーツ連盟として、
のちにフランススポーツ協会連合(USFSA、Union des Sociétés Françaises de Sports Athlétiques)と名づけられることになるフランス国内におけるスポーツの統括団体が設立されることになります。
そして、その後、
こうしたフランススポーツ協会連合には、陸上競技だけではなく、ラグビーやホッケー、サッカーやフェンシングといった様々なスポーツ競技が組み入れられていくことによって、フランス国内におけるアマチュアスポーツの普及へと大きく貢献していくことになっていったと考えられることになるのですが、
そういった意味では、
そうしたフランススポーツ協会連合の創設者のうちの一人としても数え上げられているクーベルタンは、
こうしたフランス国内におけるアマチュアスポーツの普及と改革への流れを、フランスだけにとどまらず国際的に拡大していくなかで、
のちの近代オリンピックの創立へとつながっていく新たな着想を練り上げていくことになっていったと考えられることになるのです。
青と赤の互いに連結された二つの円環とオリンピックのシンボルとの関係
そして、
こうしたフランススポーツ協会連合を象徴するデザインとしては、フランスの国旗に描かれている自由・平等・友愛を表すとされている青・白・赤という三つの色を用いて、
背景となる白地に、青で描かれて円環と赤で描かれた円環という二つの円環が横に並べられて連結されたデザインが用いられていくことになるのですが、
つまり、そういった意味では、
こうしたフランススポーツ協会連合を象徴するデザインとして用いられていた背景の白と青と赤の円環という三つの色によって描かれた互いに連結された二つの円環が直接的な起源となることによって、
それがのちに、
そうしたフランススポーツ協会連合と呼ばれるスポーツ団体の設立者の一人でもあったクーベルタンによって提示されることになるオリンピックの象徴となる互いに連結された五つの輪の形のデザインへとつながっていくことになっていったと考えられることになるのです。
・・・
次回記事:オリンピックの五つの円環のシンボルとユングの心理学における人間と心と世界全体の象徴としての円環のイメージとの関係
前回記事:オリンピックの五輪の紋章の古代ギリシア起源説の真偽とは?デルフォイの石碑に刻まれた謎の紋章とカール・ディームの石
「オリンピック」のカテゴリーへ