お中元とお歳暮の違いとは?具体的な由来の違いと御魂祭の祭祀からお中元とお歳暮という二つの年中行事への分化と習合
お中元とお歳暮の違いについて、一言でいうと、
お中元とは、7月15日ごろを中心とする夏の時期に行われる贈り物の習慣を伴う年中行事のことを意味するのに対して、
お歳暮とは、12月15日ごろを中心とする冬の時期に行われる贈り物の習慣を伴う年中行事のことを意味する言葉として定義することができると考えられることになります。
そして、
こうしたお中元とお歳暮と呼ばれる暦の節目となる時期に、親戚や恩師あるいは仕事の取引先などといったお世話になった人たちに、日ごろの感謝を込めて贈り物を贈るといった習慣で有名な二つの年中行事については、
それぞれの行事自体の本来の成り立ちといった観点からも、大きな違いを見いだしていくことができると考えられることになります。
お中元とお歳暮という二つの年中行事の具体的な由来の違い
こうしたお中元とお歳暮と呼ばれる二つの年中行事における具体的な由来については、
前者のお中元とは、もともと、古代中国の道教思想において、上元・中元・下元という三元と呼ばれる一年における三つの節日の真ん中にあたる日として位置づけられていた節日にあたり、
こうした古代中国における中元の節日は、三元を司るとされている天官・地官・水官と呼ばれる三柱の神のうちの二番目の神にあたる赦罪大帝とも呼ばれる地官が司る日であるともされていて、
その日は、人間の様々な罪が赦されていくことになる贖罪の日として位置づけられていたと考えらえることになります。
そして、それに対して、
後者のお歳暮については、もともと、日本古来の伝統において、一年の終わりの日にあたる12月31日の大晦日(おおみそか)ごろを中心とする年末の時期などに営まれていた
御魂祭(みたままつり)、あるいは、魂祭(たままつり)と呼ばれる祖先の霊や死者の魂の供養を行うための祭祀にその大本の由来が求められることになると考えられ、
こうした御魂祭の行事の際には、生御魂や生見玉(いきみたま)と呼ばれることもあるまだ生きている自分の親や親戚たちなどに対しても、日ごろの感謝を込めて餅や塩鯖などといった食べ物を供するという行事が営まれていくことがあったため、
そうした大晦日を中心とする年末の時期に営まれていた御魂祭の行事において、親戚や両親といった年長の親族たちのもとへと持ち寄られていた米や魚の贈り物の慣習が、現代におけるお歳暮の習慣の直接的な由来となっていったと考えられることになるのです。
御魂祭の祭祀からお中元とお歳暮という二つの年中行事への分化と習合
また、
こうした御魂祭と呼ばれるお歳暮の習慣の大本の由来となった行事は、本来は、そうした年末の時期だけでなく、夏のお盆の時期に行われる死者の霊の供養を行う行事のことなども指して、こうした御魂祭といった言葉が用いられることもあったと考えられることになるのですが、
その一方で、
そうした日本におけるお盆と重なる時期に行われていた古代中国における中元の節日においても、この日には、現世に生きる人間の罪だけではなく、死者の罪までもが赦されることが願われることによって、死者の霊を供養する日としても位置づけられていたと考えられることになります。
つまり、そういった意味では、
こうしたお中元とお歳暮と呼ばれる二つの年中行事のあり方は、その大本の由来においては、
日本古来の伝統において、祖先の霊や死者の魂の供養を行うために夏や冬の時期に営まれていた御魂祭の祭祀のあり方が、
一方では、
古代中国の中元の節日や仏教における盂蘭盆会といった行事のあり方とも互いに結びつけられていくことによって、夏の時期におけるお盆やお中元と呼ばれる年中行事のあり方へと分化していったのに対して、
他方では、
そうした御魂祭の祭祀において営まれていた年長の親族たちのもとへと持ち寄られた米や魚の贈り物の慣習がそのまま後世へと受け継がれていくことによって、現在の年末の時期におけるお歳暮と呼ばれる年中行事のあり方が形づくられていくことになっていったと考えられることになるのです。
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次回記事:中秋と仲秋の違いとは?「中」と「仲」という漢字自体の成り立ちに基づく二つの秋の表現における具体的な意味の違い
前回記事:お歳暮はいつ頃の時期に送るのが適切なのか?最も無難で適切なお歳暮を贈る時期となぜそう言えるのかの理由
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