中元の由来とは?古代中国の道教思想における人間の罪が赦される贖罪の日としての中元節の意味と天官・地官・水官との関係
中元(ちゅうげん)とは、もともと中国の道教に由来する三つの節日である三元のうちの一つとして位置づけられている中元節にあたる旧暦の7月15日のことを意味する言葉であり、
こうした中元と呼ばれる暦の期間は、日本においては、親戚や恩師あるいは仕事の取引先などといったお世話になった人たちに贈り物をする習慣などで有名な年中行事の一種として位置づけられることになりますが、
それでは、
こうした中元と呼ばれる節日は、そうした古代中国の道教思想を起源とする大本の由来においては、具体的にどのような意味を持つ日であったと考えられることになるのでしょうか?
古代中国における暦の上での三元の位置づけと天官・地官・水官と呼ばれる三柱の神々との関係
そうすると、まず、冒頭でも述べたように、
こうした中元と呼ばれる節日(せちにち)、すなわち、季節の変わり目にあたる祝祭日として位置づけられている日は、
古代中国においては、上元・中元・下元という三元(さんげん)と呼ばれる暦の期間のうちの真ん中にあたる中元節にあたる日として位置づけられていて、
具体的な時期としては、
上元は旧暦の1月15日、中元は旧暦の7月15日、下元は旧暦の10月15日にあたる日としてそれぞれ位置づけられていたと考えられることになります。
そして、
道教思想においては、こうした上元・中元・下元という三つの節日は、天官・地官・水官と呼ばれる天と地と水の三界のそれぞれを司る三柱の神々によって司られているとされていて、
そうした三元を司るとされている三柱の神々は、古代中国の伝説上の聖君にあたる堯(ぎょう)・舜(しゅん)・禹(う)と呼ばれる三人の大帝の名とも結びつけられていくことによって、
三官大帝あるいは三元大帝といった呼び名でも言い表されていくことになっていったと考えられることになるのです。
すべての人間の罪が赦される贖罪の日としての古代中国における中元節の意味
そして、
こうした暦の上での三元を司るとされていた天官・地官・水官と呼ばれる三柱の神々は、それぞれの神が分け持つとされる神徳として、
天官は福をもたらす神、地官は人の罪に赦しを与える神、水官は災厄を祓う神としても信仰されていたと考えられていて、
そうした三元を司る神々は、
上元を司る神である天官は賜福大帝(しふくたいてい)、
中元を司る神である地官は赦罪大帝(しゃざいたいてい)、
下元を司る神である水官は解厄大帝(かいやくたいてい)
といった呼び名でも言い表されていたと考えられることになります。
つまり、そういった意味では、
そうした三柱の神のうちの二番目の神にあたる赦罪大帝としての地官が司るとされていた中元節と呼ばれる旧暦の7月15日にあたる節日は、
その大本の由来となる古代中国の道教思想においては、すべての人間の罪が赦されていくことになる大いなる贖罪の日として位置づけられていたと考えらえることになるのです。
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