大文字のXがキリストを象徴する文字となった理由とは?古代ギリシア語における「油を注がれた者」としての「クリストス」
イエス・キリストの降誕を祝う日のことを意味するクリスマスという言葉が、英語の表記においては、Xmasといった表記で書き記されることがあるように、
こうしたXmasという表記にも含まれているアルファベットにおける大文字のXは、一般的に、イエス・キリストそのものの存在を象徴する文字としても位置づけられていると考えられることになります。
そこで、今回の記事では、
こうしたアルファベットの大文字のXがキリストのことを象徴する文字としても用いられていくことになった具体的な由来について、
キリスト教の聖典にあたる旧約聖書における記述や、古代ギリシア語に由来する語源的な意味といった観点から詳しく考察していきたいと思います。
旧約聖書における「油を注がれた者」としての神聖なる王の姿と古代ギリシア語における「救世主」としての「クリストス」
そうすると、まず、
こうしたXmasといった英語の表記のうちに含まれているイエス・キリストのことを意味する大文字のXは、もともとは、
キリスト教の聖典にあたる新約聖書が書かれた原語にあたる古代ギリシア語におけるΧριστός(クリストス)という言葉に由来する表記のあり方であると考えられることになります。
古代ギリシア語におけるΧριστός(クリストス)とは、もともと言葉自体の意味としては「油を注がれた者」といった意味を表す言葉であり、
キリスト教のもう一つの聖典にあたる旧約聖書においては、神によって王位に就くことが認められた神聖なる王は、頭に香油を注がれることによって王の座へとつくことになると書き記されているのですが、
そうした「油を注がれた者」として神聖なる王の姿が、のちに、悪の手からすべての人々を救い出す神的な救済者としての救世主の存在とも重ねられていくことによって、
こうした「油を注がれた者」のことを意味する古代ギリシア語におけるΧριστός(クリストス)という言葉は、
神を信じるすべての人々を救う人類の救世主であるイエス・キリストのことを意味する言葉としても用いられていくことになっていったと考えられることになります。
そして、
こうした古代ギリシア語においてイエス・キリストのことを意味するΧριστός(クリストス)という言葉の頭文字にあたるギリシア文字におけるΧ(キー)という字が、
英語においてはラテン文字すなわちアルファベットにおけるX(エックス)という字に置き換えられていくことによって、
こうしたアルファベットにおけるX(エックス)という文字が、イエス・キリストの存在そのものを象徴する神聖な文字としても位置づけられていくことになっていったと考えられることになるのです。
ギリシア文字のΧ(キー)とアルファベットのX(エックス)とイエス・キリストの十字架の死との関係
また、その一方で、
こうしたギリシア文字におけるΧ(キー)あるいはアルファベットにおけるX(エックス)という文字は、その文字の形状のあり方から、古来より、
イエス・キリストが神を信じるすべての人々の罪を贖うためにその上にかけられて命を落とすことになった十字架の死を連想させる文字であったとも考えられていて、
こうした文字自体の形状といった観点からも、アルファベットのXは、十字架の象徴、さらには、そうした十字架が象徴するイエス・キリストの存在そのものを象徴する文字としても捉えられていくことになっていったと考えられることになります。
そして、以上のように、
アルファベットの大文字のXがキリストのことを象徴する文字となった具体的な理由としては、こうしたXという文字が、
旧約聖書における「油を注がれた者」としての神聖なる王の姿を通じて、キリスト教においてはイエス・キリストの存在を意味することになった古代ギリシア語におけるΧριστός(クリストス)という言葉の頭文字にあたる文字であるということ、
そして、
こうしたXという文字自体の形状が十字架の形を連想させることによって、神を信じるすべての人々の罪を贖うために十字架の死をとげたイエス・キリストの存在そのものを象徴する文字としても捉えられていくことになっていったとも考えられるということ、
といった全部で二つの由来を挙げていくことができると考えられることになるのです。
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次回記事:XmasとX’masはどちらが正しい表記なのか?①X’masが誤った表記あり方とされる英語における文法的な理由
前回記事:クリスマスの正しい祝い方とは?真夜中に行われるミッドナイトミサとキリスト教の伝統的な儀式において行われる四つのミサ
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