四旬節(レント)とは何か?英語において春の訪れを意味するキリスト教における40日におよぶ祈りの期間
四旬節(しじゅんせつ)とは、キリスト教において、
イエス・キリストが十字架の死から復活したことを祝う復活祭の46日前にあたる灰の水曜日にはじまり、復活祭の前日にあたる聖土曜日まで続く、
日曜日を除く40日間にわったて行われる信徒たちがキリストの苦難と死を思って自らの罪を悔い改め、心身を清めていく神聖なる祈りの期間のことを意味する言葉として定義されることになります。
そして、こうした四旬節と呼ばれるキリスト教における聖なる祈りの期間は、英語では主にLent(レント)という言葉で呼び表されることになるのですが、
こうした日本語における四旬節と、英語におけるLent(レント)、そして、そうした四旬節やレントと呼ばれる聖なる期間の最初の日にあたる灰の水曜日とは、それぞれ具体的にどのような意味と由来をもった言葉であると考えられることになるのでしょうか?
日本語における四旬節の意味と英語におけるLent(レント)の語源
そうすると、まず、
日本語における四旬節(しじゅんせつ)という言葉の由来は、
こうしたイエスの十字架の死からの復活を祝う復活祭までのキリストの苦難と死を思って捧げられる祈りの期間が、
新約聖書のマタイによる福音書のなかなどで語られているキリストの荒野での40日の修行と断食の期間に合わせて、キリスト教における安息日である日曜日を除く40日間とされていることに由来していると考えられることになります。
日本語において旬日(じゅんじつ)あるいは一旬(いちじゅん)と呼ばれる期間は、「10日間」のことを意味する言葉として定義されることになるのですが、
つまり、そうしたキリストの苦難と死を思って行われる祈りの期間がちょうど40日間におよぶことから、こうした日本語において「40日間」を意味することになる四旬節という言葉が用いられるようになったと考えられることになるのです。
そして、それに対して、
英語におけるLent(レント)という言葉は、
古英語において「春」のことを意味していたlencten(レンクテン)という単語を語源とする言葉であると考えられ、
こうした四旬節やレントと呼ばれるキリスト教における日曜日を除く40日間の祈りの期間が、毎年、3月下旬から4月下旬ごろに行われる移動祝日である復活祭(イースター)のおよそ一か月半前、
すなわち、2月上旬から3月上旬ごろの時期にはじまり復活祭の前日にあたる3月下旬から4月下旬ごろの時期に終わることになる春の季節に行われる祈りの期間であることから、
こうした古英語において「春」を意味する単語を語源とするLent(レント)という言葉が用いられるようになっていったと考えられることになるのです。
灰の水曜日に始まり聖土曜日に終わる40日間の祈りの期間
そして、
こうした四旬節やレントと呼ばれる祈りの期間は、イエスが十字架の死から復活したことを祝う復活祭の46日前にあたる水曜日、カトリック教会などにおいては灰の水曜日と呼ばれる日からはじまり、
その後、信徒たちは、キリスト教における安息日にあたる日曜日を除く40日間にわたって自らの罪を悔い改め、時には、キリストの荒野での40日の断食にならって、獣の肉を口にしないといった断食や節食を行うことによって心身を清めていくことになるのですが、
そうした四旬節のなかでもその最後の一週間は、キリスト教においては復活祭を迎える心の準備を整えるための特に重要な期間として位置づけられていくことになります。
そして、こうした四旬節の最後の一週間にあたる期間は、
カトリックにおいては聖週間(せいしゅうかん)、プロテスタントにおいては受難週(じゅなんしゅう)と呼ばれていくことになるのですが、
こうした聖週間や受難週と呼ばれる期間においては、
復活祭のちょうど一週間前にあたる日曜日がイエス・キリストが十字架にかけられることになるエルサレムへと入城した枝の主日(えだのしゅじつ)とされたうえで、
その後の木曜日が十字架にかけられる前のイエス・キリストが裏切り者のユダを含む十二人の弟子たちと共に最後の晩餐を行ったことを記念する洗足木曜日、
そして、その次の日の金曜日がイエス・キリストが十字架の死をとげた聖金曜日とされていて、
さらにその次の日の土曜日が、復活の日である日曜日を前にして墓のなかで眠りについているイエス・キリストのことを思って復活祭の準備をする聖土曜日として位置づけられていくことになります。
以上のように、
こうしたキリスト教における四旬節やレントと呼ばれる期間においては、
灰の水曜日と呼ばれる復活祭の46日前にあたる水曜日から、キリスト教における安息日にあたる日曜日を除く40日間にわたって、キリストの苦難と死を思って自らの罪を悔い改め心身を清めていく祈りの期間が続いていくことになり、
そうした四旬節の最後の一週間にあたる聖週間や受難週とよばれる一週間は、
イエス・キリストがエルサレムに入城したとされる日曜日にあたる枝の主日にはじまり、最後の晩餐を記念する洗足木曜日と、キリストが十字架の死をとげた聖金曜日を経たうえで、
墓の中で眠りにつくキリストのことを思って翌日の復活祭のための準備をする聖土曜日を最後の日として、こうした四旬節やレントと呼ばれる祈りの期間が終わりを迎えることになるのです。
・・・
次回記事:灰の水曜日の由来とは?四旬節の最初の日が水曜日となる理由と灰色の十字架の印を信徒の額に描くカトリック教会の儀式
前回記事:「主はわが牧者なりわれ乏しきことあらじ」詩篇23篇の祈りの言葉と羊飼いとしての主とイエス・キリストの関係
「新約聖書」のカテゴリーへ
「英語」のカテゴリーへ
「語源・言葉の意味」のカテゴリーへ