ギリシア神話の世界観に基づく天界と地上の世界の区分とは?地球と生命を象徴するガイアと不死なるものを象徴するウラノス
前回の記事で書いたように、ギリシア神話におけるカオスと呼ばれる原初の宇宙の状態をすべての存在が混然一体となった混沌として捉える解釈に基づく場合、
大地を司る原初の女神としてのガイアの誕生は、それと同時に、天空を司る神であるウラノスの誕生のことも意味していて、
そうした混沌としてのカオスからは、ガイア(大地)とウラノス(天空)と呼ばれる二柱の神々の両者が同時に分かれ出でていくようにして、宇宙が誕生していくことになったと解釈していくことができると考えられることになります。
そして、
こうしたギリシア神話の宇宙のはじまりの物語におけるガイア(大地)とウラノス(天空)の関係からは、天上の世界と地上の世界、神々と人間、不死なるものたちと死すべきものたちとの関係性といったことについても読み解いていくことができると考えられることになります。
地球と生命を象徴するガイアと不死なるものの存在を象徴するウラノス
そうすると、まず、
こうしたガイア(Gaia)と呼ばれる存在は、現代においても地球という惑星全体を一つの大きな生命体として捉えるガイア理論といった考え方などにおいても示されている通り、
地球あるいは生命そのものを象徴する存在としても位置づけられていくことになると考えられ、
そうしたギリシア神話に基づく世界観においては、
太古の時代においては、人類もまた、こうした大地としてのガイアから生み出された存在として捉えられていくことになります。
また、それに対して、こうしたギリシア神話においては、
ガイア(大地)とウラノス(天空)との間に生まれたティターン神族といった巨神族たちは、不死なる力を持った神的な存在として位置づけられているのに対して、
同じくガイアから生まれた者たちのなかでも、ウラノス(天空)ではなくタルタロス(暗黒)との間に生まれたテュポーンと呼ばれるギリシア神話における最大最強の怪物は、強大な力と生命力を持ってはいるものの神的な力は持たない人間と獣の混合体にあたる存在として位置づけられていくことになるように、
ギリシア神話においては、一般的に、
神々や魂などといった不死なるものの存在は、究極的には、天空を司る神であるウラノスへと結びつけられていくことになるのに対して、
人間や肉体などといった死すべきものの存在は、究極的には、大地を司る神であるガイアへと結びつけられていくことになると考えられことになるのです。
ギリシア神話の世界観に基づく天界と地上の世界との区分とは?
以上のように、
ギリシア神話における宇宙のはじまりの物語においては、
混沌としてのカオスからは、最初に、すべての神々の母となる万物の始原にあたる原初の女神にして大地を司る女神でもあるガイアが生まれることになったと語られている一方で、
こうした混沌としてのカオスの内からは、大地を司る女神としてのガイアと、天空を司る神としてのウラノスが互いに分かれ出でていくようにして同時の誕生していくことになったとも捉えられていて、
そうした天界に属するものと地上に属するもの、不死なるものと死すべきもの、魂と肉体といったすべての存在が混然一体となった存在であるカオスは、こうしたガイアとウラノスと呼ばれる二柱の神々が互いに分かれ出でていくのに呼応して、
神々や魂なといった不死なるものの存在は天空を司る神であるウラノスへ、人間や肉体といった死すべきものの存在は大地を司る神であるガイアへとそれぞれ結びつけられていくことになっていったと考えられことになります。
そして、そういった意味では、
こうしたギリシア神話の宇宙のはじまりの物語において描かれているガイア(大地)とウラノス(天空)と呼ばれる二柱の神々の関係に基づく世界観においては、
天上の世界において不死なるものにあたる神々や魂が生まれていくのと同時に、それに対応して、
地上の世界においては死すべきものにあたる人間や肉体そのほかの地上の生き物たちが生まれていくことによって、
ウラノスが支配する天上の世界と、ガイアが支配する地上の世界という二つの世界の根源的な区分が成立していくことになったと捉えていくことができると考えられることになるのです。
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次回記事:クロノスによるウラノスの王位の簒奪とギリシア神話におけるアダマスの鎌から滴る血から生じた三人の復讐の女神
前回記事:大地の女神ガイアが天空神ウラノスの母であると同時に妻でもある理由とは?カオスの捉え方の違いに基づく哲学的な解釈
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