土星の最大の衛星タイタンの名前の由来とは?ギリシア神話におけるティターン神族と呼ばれる巨神族と土星の四衛星との関係
前回の記事で書いたように、英語で土星を意味するサターン(Saturn)という言葉は、ローマ神話においてサトゥルヌス(Saturnus)という名で呼ばれている古代の農耕神の名前に由来する言葉であると考えられることになるのですが、
さらに言えば、
そうした土星の周りを回る最大の衛星として位置づけられているタイタン(Titan)と呼ばれる衛星の名前の由来についても、
こうしたローマ神話におけるサトゥルヌスや、ギリシア神話においてローマ神話におけるサトゥルヌスと同一視されているクロノスなどに代表されるような古代の神々の存在にその大本の由来を求めていくことができると考えられることになります。
土星の最大の衛星であるタイタンとギリシア神話におけるティターン神族と呼ばれる巨神族との関係
ギリシア神話においては、現在の世界が成立する以前の太古の時代において、
ゼウスを筆頭とするオリュンポスの神々と、彼らよりも以前に世界を支配していたクロノスを筆頭とする古代の神々との間で、天界と世界の支配権をめぐる神々の大戦争が行われたとする神話が語り伝えられていて、
そうした古代の神々とオリュンポスの神々との戦争の結果、勝利を収めることになったゼウスたちを中心として、海を司る神であるポセイドンや太陽を司る神であるアポロン、あるいは、知恵の女神アテナや美と愛の女神アフロディテなどに代表されるようなオリュンポス十二神を中心とするギリシア神話の物語がはじまっていくことになると考えられることになります。
そして、
そうしたゼウスを筆頭とするオリュンポスの神々に対して、彼らに敗れて天界と地上の世界委の支配権を明け渡すことになったクロノスを筆頭とする古代の神々は、ギリシア神話においては、
世界も神々もいまだ存在しない何もないカオス(混沌)だけが広がっていた原初の宇宙から生じた原初の女神にして大地の女神でもあるガイア(Gaia)から、
キュクロプス(サイクロプス)やヘカトンケイルと呼ばれる巨人たちと共に生まれたティターン神族と呼ばれる巨神族として位置づけられているのですが、
土星の周りを回る最大の衛星のことを意味するタイタン(Titan)という名称は、こうしたクロノスを筆頭する古代ギリシア語ではティターン(Τιτάν)と呼ばれる古代の巨神族の名前の英語読みに由来して付けられた名称であったと考えられることになるのです。
土星の最大の衛星タイタンとその他の代表的な四衛星の名前の由来
以上のように、
土星の最大の衛星にあたるタイタン(Titan)と呼ばれる衛星の名前の由来は、
英語で土星を意味するサターン(Saturn)という言葉の直接的な語源となったローマ神話におけるサトゥルヌスと同一視されているギリシア神話におけるクロノスを筆頭する古代の巨神族にあたる神々が、
古代ギリシア語においてティターン(Τιτάν)、英語読みにおいてはタイタン(Titan)と呼ばれていたことから、
土星を回る衛星のなかでも最大の大きさを誇るこの星のことを指して、こうしたギリシア神話における古代の巨神族のことを意味するタイタンという名称が付けられることになったと考えられることになります。
そして、
こうしたギリシア神話におけるティターン神族と、土星の周りを回る衛星との間には、こうした土星の最大の衛星にあたるタイタンだけではなく、そのほかの衛星との間にも深い関係性を見いだしていくことができると考えられ、
具体的には、例えば、
土星の周りを回る比較的大きさの大きい代表的な衛星としては、タイタンのほかには、17世紀後半にイタリアの天文学者であったカッシーニによって相次いで発見されたイアペトゥスとレア、そして、ディオネとテティスと呼ばれる四つの衛星の存在の名が挙げられることになるのですが、
こうしたイアペトゥス、レア、ディオネ、テティスと呼ばれる土星の四衛星は、すべて、前述したギリシア神話におけるティターン神族の一柱として位置づけられる古代の巨神族の神々の名がつけられた衛星であると考えられることになるのです。
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次回記事:地震の原因となる古代ギリシア神話の神々とは?海の神ポセイドンとタルタロスに幽閉されたクロノスを筆頭とする古代の巨神族
前回記事:悪魔を意味するサタンと土星を意味するサターンの関係とは?ローマ神話のサトゥルヌスとギリシア神話のクロノスと神々の戦争
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