八重桜と一重桜の違いとは?八重桜に分類される代表的な桜の品種と奇形の花の咲き方としての八重桜の位置づけ
八重桜と一重桜の違いについて、一言でいうと、
一重桜(ひとえざくら)とは、ソメイヨシノやヤマザクラやオオシマザクラなどといった一般的な桜の種類などにおいて広く見られる五枚の花びらによって形成される一般的な桜の花の咲き方のことを意味するのに対して、
八重桜(やえざくら)とは、本来は雄しべや雌しべになるはずの花の部位が花びらへと変化していくことによって、花びらが幾重にも折り重なっていくようにして形成されていく特殊な桜の花の咲き方のことを意味する言葉として定義されることになります。
今回の記事では、
そうした八重桜と呼ばれる特殊な桜の花の咲き方の具体的な特徴について、もう少し詳しく考察していきたいと思います。
八重桜に分類される代表的な桜の品種と具体的な花の構造
冒頭でも述べたように、
八重桜とは、花びらが一重桜における通常の桜の花びらの枚数である五枚を超えて幾重にも折り重なっていくような形で花が形成されていくことになるという特殊な桜の花の咲き方のことを意味する言葉であり、
それは、本来は、ソメイヨシノやヤマザクラなどといった生物学的な意味における特定の桜の種類のことを意味する言葉ではないと考えられることになるのですが、
こうした八重桜、すなわち、八重咲きの花の咲き方をすることで有名な具体的な桜の品種としては、
日本を代表する桜の種類であるヤマザクラやオオシマザクラに、エドヒガン、カスミザクラ、マメザクラなどといった多様な桜の種類が掛け合わせられていくことによってつくられた桜の品種の総称であるサトザクラ(里桜)に分類されるイセザクラ(伊勢桜)などに代表されるような桜の品種の大部分や、
カスミザクラの変種の一種として位置づけられることになるナラヤエザクラ(奈良八重桜)などといった桜の品種の名前が挙げられることになります。
そして、
こうした八重桜における花の具体的な構造においては、
本来は雄しべや雌しべになるはずの花の中の部位が花びらへと変化していくことによって、通常の花びらの列の内側に、二重あるいは三重以上にわたって新たな花びらの列が形成されていくことになり、
具体的には、
一つの花を形成している花びらの枚数が6枚から15枚くらいの半八重咲と呼ばれる八重桜の咲き方から、花びらの枚数が20枚から70枚くらいにおよぶような八重咲、さらには、花びらの枚数が100枚以上にもおよぶ菊咲と呼ばれる八重桜の咲き方などが存在すると考えられることになるのです。
奇形の花の咲き方としての八重桜の位置づけ
そして、
こうした一重桜と呼ばれる通常の桜の花の咲き方の状態から、八重桜と呼ばれる花びらが幾重にも折り重なった特殊な桜の花の咲き方の状態への変化は、
通常の場合、
様々な桜の種類同士の間で交配が行われていく際に生じる突然変異によって引き起こされていくことになると考えられることになります。
つまり、そういった意味では、
こうしたサトザクラ(里桜)に分類される桜の品種の大部分や、カスミザクラの変種などにおいて見られる八重桜と呼ばれる特殊な桜の花の咲き方は、
本来は雄しべや雌しべになるはずの花の部位が花びらへと変化していくという特異な現象が様々な桜の種類同士の交配の際の突然変異によって引き起こされていくことになるという、一部の桜の品種において見られる
言わば、奇形の花の咲き方として位置づけられることになると考えられることになるのです。
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次回記事:八重桜に雌しべと雄しべはあるのか?挿し木や接ぎ木を用いたクローン植物としての八重桜の繁殖と花弁化の頻度の差異
前回記事:サクラは何月に咲くのか?日本を代表する14種類の桜の開花時期の比較
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