ラーメンとポテトチップスで喉の渇き方が違う具体的な理由とは?汁物と乾き物で喉の渇き方に時間差が生じる理由
同じように塩分が多く含まれている食品を口にした場合でも、
例えば、
ポテトチップスのような乾き物の食品を口にした場合には、比較的短時間の内に喉の渇きを覚えて、食べている最中からすぐに飲み物を飲みたくなるのに対して、
ラーメンのような汁物の食品を口にした場合には、食べている最中にはあまり喉の渇きを強くは感じないものの、食べ終わってしばらくしてから急に喉の渇きを覚えてガブガブと水を飲んでしまうというように、
塩分が含まれている食品の性質の違いに応じて、人間が感じる喉の渇きのあり方にも違いが見られていくことになると考えられることになります。
そして、
こうしたポテトチップスとラーメンを食べた場合などに、喉の渇き方にある種の時間差のような違いが生じる具体的な理由については、以下のような形で説明していくことができると考えられることになります。
ポテトチップスを食べた直後にすぐに喉が渇く理由とは?
詳しくは前回の記事で考察してきたように、人間が塩分を多く含む食品を食べた後に感じる喉の渇きは、生理学的には、
細胞の内外の溶液における浸透圧の差を原因とする細胞レベルでの脱水作用と、血液中へと吸収された塩分を中和していくために働く血液中のナトリウム濃度の調整機能を原因とする人体全体のレベルでの脱水現象という二つの側面から説明していくことができると考えられることになるのですが、
前述したポテトチップスとラーメンという二つの塩分が多く含まれる代表的な食品の対比において、前者のポテトチップスを食べた時に生じる喉の渇きのあり方については、
こうした二つの側面から説明される人体の内部における脱水現象のうち、主に、前者の浸透圧の差を原因とする細胞レベルでの脱水作用に基づいて説明していくことができると考えられることになります。
そもそも、
1食あたりの食品中に含まれている平均的な塩分量を比較した場合、
前者のポテトチップスに含まれている塩分量は平均してだいたい1gくらいとされているのに対して、
後者のラーメン1杯に含まれている塩分量は平均してだいたい6gくらいとされているように、
同じように塩分の多い食品の代表例として挙げられている食品であるとは言っても、実際の食品中に含まれていて体内に取り入れることになる塩分量については、
ポテトチップスよりもラーメンの方が6倍くらい多く塩分が含まれていると考えられることになります。
しかし、
そうした実質的な塩分量に大幅な差があるにもかかわらず、食品を食べた当初の段階においては、ラーメンを食べた場合よりもポテトチップスを食べた場合の方がはやく喉が渇いて、すぐに水分を摂りたくなる傾向が見られる理由としては、
ポテトチップスは食品としての形状などの点において、表面積が大きく、食品の表面に振りかけてある塩分が、食品を食べた際に、口や食道の粘膜に直接的に接触することによって、
前述した浸透圧の差を原因とする細胞レベルにおける脱水作用がすぐに生じていくことになるといった点が挙げられることになると考えられることになります。
つまり、
こうしたポテトチップスなどの乾き物を食べた時に感じる喉の渇きについては、
そうした口や食道の粘膜の細胞レベルにおいて奪われた水分を、粘膜細胞の表面を新たな水分によって直接的に潤すことによってすぐに補おうとするために、食品を食べた直後といった短時間の内に、比較的軽度の喉の渇きが生じていくことになると考えられることになるのです。
ラーメンを食べてしばらく後になってから喉が渇く理由とは?
そして、それに対して、
同じように塩分が多い代表的な食品であるとは言っても、ラーメンのような汁物を食べた時に感じる喉の渇きは、前述したポテトチップスを食べた時に感じる喉の渇きのあり方とは、性質が大きく異なっていて、
ラーメンのような汁物を食べた場合には、食品の表面に強い塩分が直接的に振りかけられているポテトチップスなどの場合とは異なり、
スープなどの溶液の内部に塩分が溶け込んでいる状態で食品の摂取がなされるため、口や食道の粘膜細胞との接触において細胞レベルにおける浸透圧の差に基づいて直接的に奪われる水分量は比較的少ないため、
そうしたラーメンなどの食品を食べている最中や直後の段階においては、ポテトチップスなどの場合と比べて、喉の渇きは比較的弱いと考えられることになります。
しかし、その一方で、
そうした口や食道の粘膜の表面においてすぐに感じることになる喉の渇きは弱くても、その後、消化管を通じて吸収された塩分によって、血液中のナトリウム濃度が上昇していくことにより、
今度は、人体全体のレベルで働く血液中のナトリウム濃度の調整機能を通じて、そうした血液中の塩分濃度を中和して適正な濃度へと下げていくために、全身の細胞から少しずつ水分が奪われていくことによって、
口や食道の粘膜の細胞などというよりは、全身の毛細血管につながっている細胞全体という人体全体のレベルにおいて脱水現象が進行していくことになると考えられることになります。
そして、その後、
血液中に含まれている余分な塩分は、そうした全身の細胞から少しずつ奪われた水分と共に尿として体外へ排出されていくことになるため、
そうした余分な塩分を排出するために使われてしまうことになる水分を新たに補うために、喉が渇いて水が飲みたいという衝動が引き起こされていくことになるのですが、
つまり、
こうしたラーメンなどの汁物を食べた時に感じる喉の渇きについては、
食品を通じて摂取された塩分が消化管から吸収されて血中の塩分濃度が上がった後、さらに、人体全体のレベルにおける血液中のナトリウム濃度の調整機能によって、全身の細胞からの血中へとの水分の供出がなされていくという一連のプロセスが進行していったのち、
食品を口にしてからしばらく後の段階において、そうした時間差を経たうえで、水を急にガブガブ飲みたくなるような比較的強い喉の渇きが生じていくことになると考えられることになるのです。
・・・
以上のように、
同じ塩分が多く含まれる食品を口にした場合でも、
ポテトチップスなどの乾き物を食べた場合には、口や食道の粘膜において、細胞の内外の溶液における浸透圧の差を原因とする個々の細胞レベルにおける脱水作用が引き起こされることによって、食品を食べた直後の段階において、比較的軽い喉の渇きが引き起こされるのに対して、
ラーメンなどの汁物を食べた場合には、食品を通じて摂取された塩分が消化管から吸収されて血中の塩分濃度が上がった後、人体全体のレベルにおける血液中のナトリウム濃度の調整機能に基づいて全身の細胞から水分が少しずつ奪われていくことになるという食品を食べてから一連のプロセスが経過したしばらく後の段階において、比較的強い喉の渇きが引き起こされていくことになるといった点に、
こうしたポテトチップスとラーメンを食べた時のそれぞれの場合に生じていくことになる喉の渇きのあり方における具体的な性質の違いを見いだしていくことができると考えられることになるのです。
・・・
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