塩分を多く取ると喉が渇く具体的な仕組みとは?ミクロレベルとマクロレベルの二段階のレベルにおける脱水現象の進行

カップラーメンポテトチップスなどといった塩分が多い食品を食べると、すぐに、あるいは、しばらく後になって急に喉が渇いて水を飲みたくなるといった感覚におそわれることになりますが、

こうした塩分を多く取る喉が渇くことになるという現象は、生理学的には、具体的にどのような仕組みによってもたらされている生理現象であると説明することができると考えられることになるのでしょうか?

それについては、以下で述べるような

細胞レベルにおける浸透圧の働きと、人体全体のレベルにおける血液中のナトリウム濃度の調整機能という二つの観点から詳しく説明していくことができると考えられることになります。

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一つ一つの細胞のミクロレベルにおける浸透圧の働きに基づく脱水作用

まず、詳しくは前回の記事でも書いたように、

人間を含むあらゆる生物の体を構成しているすべての細胞の細胞体全体を取り囲んでいる細胞膜と呼ばれる生体膜は、

水などの溶媒は通すものの、水の中に溶け込んでいる塩分や糖分などの溶質は通さないという選択的透過性を示す半透膜としての性質を持っていて

細胞体が高濃度の塩分を含む溶液細胞膜を隔てて接している場合には、そうした半透膜としての性質を持つ細胞膜を通して、細胞の内外の溶液における溶質の濃度が均一になるように、低濃度である細胞の内側の領域から、高濃度である細胞の外側の領域へと水分が移動していこうとする浸透圧と呼ばれる圧力が働いていくことになります。

したがって、

こうした細胞一つ一つのミクロレベルの生理現象においては、塩分が多い食品を体内に取り入れることによって、

高濃度の塩分に直接的に接触することになる口腔内や消化管などの粘膜細胞などにおいて、細胞の内外における浸透圧の差を原因とする細胞レベルでの脱水作用が引き起こされていくことになると考えられることになるのです。

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人体全体のマクロレベルにおける血液中のナトリウム濃度の調整機能に基づく脱水現象

そして、その一方で、

体内へと取り入れた高濃度の塩分を含む食品は、その後、胃や腸における消化作用を経て分解されていったのち、小腸などの消化管の粘膜を構成している上皮細胞を通じて血液中へと吸収されていくことになり、

それによって、人体全体の血液中における塩分濃度、すなわち、血液中のナトリウム濃度が上昇していってしまうことになります。

そして、今度は、

そうした血液中のナトリウム濃度の変化を感知した人体の中枢神経系のシステムへと通じる脳下垂体副腎皮質などから分泌されたホルモンの働きなどを通じて、

血液中の水分量が増加していくことによって血中の塩分濃度が中和され、血液中のナトリウム濃度が低下して元のレベルへと戻っていくことになると考えられることになるのですが、

その際、

血液中の水分量を増加させるために、全身の細胞から少しずつ水分が奪われていくことによって、結局、人体全体というマクロレベルの生理現象においても、脱水現象が引き起こされていってしまうことになると考えられることになります。

そして、その後、

血液中に含まれている余分な塩分は、ホルモンの働きによって増加した血液中の水分と共に、腎臓において徐々に処理されていくことによって、尿として体外へ排出されていくことになると考えられることになるのですが、

その一方で、

そうした余分な塩分を排出するために使われてしまった分だけ人体全体のレベルにおいて水分の不足が生じていってしまうことになるので、

そうした人体全体のレベルにおける水分不足を補うために、改めて、喉が渇いて水が飲みたいという衝動が引き起こされていくことになると考えられることになるのです。

・・・

以上のように、

塩分を多く取る喉が渇くことになるという人体における生理現象は、

一つ一つの細胞のミクロレベルにおいては、選択的透過性を示す半透膜としての性質を持つ細胞膜を通して生じることになる浸透圧の差を原因とする細胞レベルでの脱水作用から説明されることになるのに対して、

人体全体のマクロレベルにおいては、血液中へと吸収された塩分を中和するために、全身の細胞から少しずつ水分を供出して血液中の水分量を増加させていくことによって塩分濃度のバランスを保つという血液中のナトリウム濃度の調整機能に基づく人体全体のレベルでの脱水現象から説明されることになると考えられることになります。

つまり、

こうした塩分を多く取ることによって喉が渇くように感じるという生理現象は、

まずは、そうした高濃度の塩分を含む食品が直接的に接触した口腔内や消化管などの粘膜細胞などにおいて浸透圧の差を原因とする細胞レベルでの脱水作用が引き起こされたうえで、

その後、血液中へと吸収された塩分を中和していくための血液中のナトリウム濃度の調整機能を通じて、人体全体のレベルでの脱水現象が引き起こされていくことになるという

ミクロレベルマクロレベル二段階のレベルにおいて進行していくことになると捉えることができると考えられることになるのです。

・・・

次回記事:ラーメンとポテトチップスで喉の渇き方が違う具体的な理由とは?汁物と乾き物で喉の渇き方に時間差が生じる理由

前回記事:砂糖や塩の中で細菌が増殖することができない理由とは?ナメクジに対する塩や砂糖の脱水作用と細菌に対する殺菌作用との関係

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