吸虫による寄生虫感染症の原因となる代表的な12種類の吸虫の種類とは?③ビルハルツやマンソンなどのその他の住血吸虫
前回の記事では、かつては日本国内における風土病の一種としても位置づけられていた日本住血吸虫症の原因となる日本住血吸虫と呼ばれる寄生虫の具体的な特徴や、こうした寄生虫の日本国内における撲滅までの歴史について詳しく考察してきました。
そもそも、
こうした住血吸虫と呼ばれる寄生虫の種族には、体の前端にあたる口の部分と腹部に二つの吸盤を持った扁形動物の一種である吸虫のなかでも、
巻き貝などの貝類を中間宿主とする細長い糸状の形状した寄生虫の種族が分類されることになるのですが、
こうした住血吸虫に分類される代表的な吸虫の種類としては、前回の記事で取り上げた日本住血吸虫と呼ばれる寄生虫の種類のほかにも、
ビルハルツ住血吸虫、マンソン住血吸虫、メコン住血吸虫、インターカラーツム住血吸虫といった吸虫の種類が挙げられることになります。
ビルハルツ住血吸虫
まず、はじめに挙げたビルハルツ住血吸虫とは、体長10~20ミリメートルほどの長さの細長い糸状の形状をした吸虫であり、
こうしたビルハルツ住血吸虫と呼ばれる吸虫は、エジプトやエチオピアといったアフリカや中東あるいはインドといった熱帯や亜熱帯の地域において広く生息していると考えられ、
前回取り上げた日本住血吸虫の場合と同様に、湖や川などの水場や湿地において人間の体表に取り付いた吸虫が皮膚を貫いて体内へと侵入していくことによって感染が広がっていくことになると考えられることになります。
そして、
ビルハルツ住血吸虫症においては、吸虫が人間の膀胱などを中心に寄生して増殖していくことによって、頻尿や血尿といった泌尿器系を中心とする症状を引き起こされていくことになり、
症状が悪化していくと、虫卵が引き起こす炎症反応によって尿管閉塞が引き起こされることで、腎炎や腎不全といったより重篤な症状が引き起こされていくことになるほか、長期的には膀胱がんの発症などにもつながる寄生虫感染症の種類として位置づけられることになると考えられることになるのです。
マンソン住血吸虫
そして、その次に挙げたマンソン住血吸虫とは、体長6~16ミリメートルほどの長さの細長い糸状の形状をした吸虫であり、
主に、アフリカや南米、西インド諸島といった地域に生息する住血吸虫の種類として位置づけられることになると考えられることになります。
そして、
マンソン住血吸虫症においては、吸虫が人間の肝臓の門脈を中心とする部位に寄生したのち、血管内を移動して大腸の周囲の毛細血管に卵を産み付けることによって増殖を繰り返していくことになり、
それによって、腹痛や下痢といった消化器系の症状や、黄疸や腹水といった肝機能障害が引き起こされていくことになるほか、
マンソン住血吸虫症の場合には、病状が進行していったケースでは、心不全などの循環器系の障害が引き起こされるケースもあると考えられることになるのです。
メコン住血吸虫
そして、それに対して、次に挙げたメコン住血吸虫とは、体長10~15ミリメートルほどの長さの細長い糸状の形状をした吸虫であり、
主に、東南アジアのカンボジアとラオスを流れるメコン川流域に広く分布する住血吸虫の種類として位置づけられることになります。
そして、
メコン住血吸虫症においては、吸虫が肝臓の門脈を中心とする部位に寄生していくことによって、
肝臓や脾臓の肥大、あるいは、黄疸や腹水といった肝機能障害などが引き起こされていくことになると考えられることになります。
インターカラーツム住血吸虫
そして、最後に挙げたインターカラーツム住血吸虫とは、体長10~20ミリメートルほどの長さの細長い糸状の形状をした吸虫であり、
主に、アフリカ西部や中央アフリカを中心とする熱帯雨林などに生息する住血吸虫の種類として位置づけられることになります。
そして、
インターカラーツム住血吸虫症においては、吸虫が前述したマンソン住血吸虫症の場合と同様に、肝臓の門脈や大腸の周囲の毛細血管などを中心とする部位に寄生していくことによって、
腹痛や下痢といった消化器系の症状や、黄疸や腹水といった肝機能障害が引き起こされていくことになると考えられることになるのです。
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次回記事:吸虫による寄生虫感染症の原因となる代表的な12種類の吸虫の種類とは?④ウェステルマンなどの肺吸虫とその他の腸管吸虫
前回記事:吸虫による寄生虫感染症の原因となる代表的な12種類の吸虫の種類とは?②日本住血吸虫症の病原体の発見と撲滅までの歴史
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