原虫が原因となる12の代表的な感染症の種類とは?②アメーバ赤痢やトリコモナス症、リーシュマニア症の具体的な特徴

前回の記事では、マラリアクリプトスポリジウム症トキソプラズマ症といった代表的な原虫感染症の種類について順番に取り上げたうえで、

それぞれの感染症の原因となる原虫の具体的な特徴と、それぞれの原虫によって引き起こされる感染症の具体的な症状のあり方などについて考察していきましたが、

今回の記事では、それに引き続き、

アメーバ赤痢トリコモナス症リーシュマニア症といったそのほかの原虫感染症の具体的な特徴についても順番に取り上げていきたいと思います。

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アメーバ赤痢

まず、はじめに挙げたアメーバ赤痢(Amoebiasisとは、

仮足と呼ばれる細胞質に現れる一時的な突起を使って自らの細胞を変形させながら移動していくアメーバと呼ばれる原生動物の一種にあたる赤痢アメーバと呼ばれる病原体によって引き起こされる感染症であり、

こうした赤痢アメーバと呼ばれる生物は、寄生性や病原性をもった原生動物であるという意味において、原虫と呼ばれる寄生虫の種族としても位置づけられることになります。

そして、

こうした赤痢アメーバと呼ばれる原虫は、通常の状態では、直径1530マイクロメートルのほどの大きさの円形楕円形に近い形状をしていると考えられるのですが、

そうした赤痢アメーバを病原体とするアメーバ赤痢と呼ばれる感染症は、主に、熱帯や亜熱帯の地域において、患者の体内から排出された病原体が、別の人間の体内に経口的に摂取されることによって、感染を広げていくことになるほか、

性行為を介して感染が引き起こされることもあるので、性感染症の一種としても位置づけられることになります。

そして、

人間の体内へと侵入した赤痢アメーバは、主に、大腸に寄生して増殖活動をはじめていくことによって、大腸直腸といった部位に潰瘍性の炎症を引き起こしていくことによって、

粘液性の血便をともなう断続的な下痢や、けいれん性の腹痛といった消化器系のを中心とする症状を引きこしていくことになるほか、

重症の場合には、そうした病変が肝臓などの部位へも広がることによって、アメーバ性肝膿瘍といった腸外アメーバ症と呼ばれる病態へと進行していってしまうケースもあると考えられることになるのです。

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トリコモナス症

そして、その次に挙げたトリコモナス症は、トリコモナス(Trichomonasと呼ばれる体長 1040マイクロメートルほどの大きさの卵形の形状をした原虫の一種によって引き起こされる感染症の名称であり、

こうしたトリコモナスと呼ばれる原虫は、人間の体内のほかにも、ウシハト、さらには、カエルナメクジといった200種類以上にもおよぶ多様な動物の体内に寄生している比較的ありふれた原虫の種類であると考えられることになります。

そして、

そうしたトリコモナスと呼ばれる原虫を病原体とするトリコモナス症と呼ばれる感染症は、人間においては、主に、性行為を介して感染が引き起こされることになるので、前述したアメーバ赤痢などと同様に、性感染症の一種として分類される原虫感染症の種類として位置づけられることになるほか、

大腸に感染した場合には、腸管粘膜に炎症を引き起こすことによって、腹痛下痢といった消化器系の症状が引き起こされるケースもあると考えられることになります。

また、

こうしたトリコモナス症と呼ばれる原虫感染症は、前述したように、人間だけではなく、ウシやハトなどの様々な動物においても同様の症状が引き起こされることがあり、

特に、ウシなどの家畜においてこうしたトリコモナス症と呼ばれる原虫感染症が発症した場合には、子宮内膜炎などの症状が進行していくことによって、不妊症早期の流産などのリスクが高まってしまうケースもあるため、

こうしたトリコモナス症と呼ばれる原虫感染症は、家畜伝染病予防法における規制の対象のうちに含められる感染症の種類としても位置づけられることになるのです。

リーシュマニア症

また、その次に挙げたリーシュマニア症は、リーシュマニア(Leishmaniaと呼ばれる直径24マイクロメートルほどの大きさの球形または楕円形の形状をした原虫の一種によって引き起こされる感染症の名称であり、

こうしたリーシュマニアと呼ばれる原虫は、熱帯や亜熱帯の地域を中心に、サシチョウバエと呼ばれるハエの一種を介して感染を広げていくことになります。

そして、

こうしたリーシュマニアと呼ばれる原虫の感染においては、サシチョウバエに刺されたあと数週間から数か月後皮膚や粘膜を中心に痛みを伴う潰瘍結節などが現れる皮膚型のリーシュマニア症の症状が現れるケースと、

感染してから数か月から数年後に、肝臓や脾臓の肥大重度の貧血といった症状が現れることによって死に至る場合もある内臓型のリーシュマニア症の症状が現れるケースがあり、

特に、後者のより重度の症状が現れる内臓型のリーシュマニア症は、インドアフリカ東部などの地域においては、カラ・アザール(黒熱病)と呼ばれて恐れられてきた伝染病の一種としても位置づけられることになるのです。

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次回記事:原虫が原因となる12の代表的な感染症の種類とは?③その他の原虫感染症の具体的な特徴

前回記事:原虫が原因となる12の代表的な感染症の種類とは?①マラリア原虫やクリプトスポリジウム、トキソプラズマの具体的な特徴

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