動物性の自然毒の代表的な種類とは？②サキシトキシン、コノトキシン、シガトキシンを含む生物の種類と食中毒の具体的な症状

前回の記事で書いたように、動物性の自然毒に分類されることになる代表的な毒素の種類のなかでも、最も代表的なものとしては、

トラフグやマフグやクサフグ、ヒョウモンダコやツムギハゼ、カブトガニ、スベスベマンジュウガニといった様々な種類の海洋生物の体内に蓄積されているテトロドトキシンと呼ばれる毒素の種類が挙げられることになるのですが、

その他にも、そうした動物性の自然毒の一種である魚貝毒に分類される代表的な毒物の種類としては、前回の記事でも挙げたサキシトキシン、コノトキシン、シガトキシン、オカダ酸、ドウモイ酸といった毒素の種類を挙げることができると考えられることになります。

サキシトキシン、コノトキシン、シガトキシンといった魚貝毒を含む生物の代表的な種類と引き起こされる食中毒の具体的な症状

②サキシトキシン

このうち、はじめに挙げた貝毒の種類であるサキシトキシン（Saxitoxin）とは、もともとは、渦鞭毛藻と呼ばれる単細胞性の藻類の一部の種族が生産する麻痺性毒物の一種であり、

こうしたプランクトンの一種である渦鞭毛藻がつくり出したサキシトキシンと呼ばれる毒素が、そうした毒素をもったプランクトンを捕食した貝類などの海洋生物の体内に蓄積されることによって、そうした貝類を食材として食べることになる人間に対しても中毒症状を引き起こしてしまうことになると考えられることになります。

そして、

こうしたサキシトキシンと呼ばれる毒素を体内に比較的多く蓄積している危険性のある貝類の種類としては、ムラサキイガイ（紫貽貝）、マガキ（真牡蠣）、アサリ、ホタテガイといった二枚貝に分類される貝類の種類が多く挙げられることになり、

赤潮の発生などによって、これらの貝類の種族がサキシトキシンを生産する有毒渦鞭毛藻による汚染を受けた海域に長くとどまっていた場合などには、念のため注意しておくことが必要な自然毒の種類として位置づけられることになると考えられることになります。

また、

こうしたサキシトキシンを原因とする食中毒においては、食後数十分から数時間程度で唇や舌先、あるいは、手足のしびれといった症状が現れたのち、

人体の神経系に対する麻痺の症状が進行していくことによって、重症の場合には、呼吸麻痺によって死に至る危険性もあると考えられることになるのです。

③コノトキシン

そして、その次に挙げたコノトキシン（Conotoxin）は、イモガイ（芋貝）と呼ばれる貝類の種族が生産する麻痺性毒物の一種であり、

イモガイは、毒腺（どくせん）と呼ばれる組織に自らがつくり出した毒素をため込んだうえで、小魚などの近づいてきた獲物を、吻（ふん）と呼ばれる貝類の口にあたる部分から飛び出す毒銛（どくもり）によって突き刺して、獲物の体内に毒素を送り込むことによって獲物を麻痺させてから捕食するといった形でこうした毒素を利用していると考えられることになります。

そして、

こうしたコノトキシンを原因とする食中毒においては、前述したサキシトキシンによる食中毒の場合と同様に、人体の神経系に対する麻痺の症状が進行していくことによって、呼吸麻痺などの重篤な中毒症状が引き起こされてしまう危険性があると考えられることになります。

④シガトキシン

また、その次に挙げたシガトキシン（Ciguatoxin）は、前述したサキシトキシンと同様に、毒性を持った一部の有毒渦鞭毛藻によって生産された毒素が

バラフエダイ、イッテンフエダイ、ドクウツボ、サザナミハギ、ドクカマス、マダラハタ、ギンガメアジ、ヒラマサ、イトヒキフエダイ、ナンヨウブダイといった

熱帯や亜熱帯の海域に主に生息するタイ（鯛）やアジ（鯵）、カマスやハタといった魚類の種族の一部の体内に蓄積されることによって、そうした魚を食べる人間に対しても食中毒を引き起こす危険性のある毒物の種類として位置づけられることになります。

そして、

こうしたシガトキシンを原因とする食中毒においては、毒素によって汚染された魚を食べてから数時間で、腹痛や下痢やおう吐といった消化器系の症状を中心とする中毒症が引き起こされることになり、

その後、神経系にも中毒症状が及んでいく場合には、冷たいものに触れた時などに電気刺激のような痛みを感じるドライアイスセンセーションと呼ばれる温度感覚異常や手足のしびれといった麻痺症状が進展していくことによって、

前回取り上げたテトロドトキシンによる食中毒や、前述したサキシトキシンやコノトキシンによる食中毒の場合と比べると比較的まれなケースではあるものの、

そうした中毒症状が不整脈や血圧低下といった循環器系の症状にまで進行していく場合には、命に関わるような重篤な状態へと陥ってしまうケースもあると考えられることになるのです。

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次回記事：動物性の自然毒の代表的な種類とは？③渦鞭毛藻や珪藻に由来する毒素の魚貝類への蓄積が引き起こす食中毒の具体的な特徴

前回記事：動物性の自然毒の代表的な種類とは？①テトロドトキシや貝毒によって引き起こされる中毒症状の具体的な特徴

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