狂牛病の原因が肉骨粉にあるとされる具体的な理由とは?共食いによる生物濃縮としての狂牛病の感染拡大

前回の記事で書いたように、1986年のイギリスに始まり、世界各地へと広がっていくことになった狂牛病(BSE)の感染拡大は、

その後、こうした狂牛病の感染拡大の主要な原因となっていった牛を肥育するための飼料に含まれていた肉骨粉の使用が禁止されることによって、収束へと向かっていくことになっていったと考えられることになるのですが、

それでは、

こうした一連のBSE騒動においては、具体的にどのようなメカニズムによって、こうした肉骨粉を原因とする世界各地への狂牛病の感染拡大が進んでいくことになっていったと考えられることになるのでしょうか?

スポンサーリンク

肉骨粉とは何か?イギリスで肉骨粉が飼料として用いられるまでの過程

そもそも、

肉骨粉とは、具体的にどのようなものを指して、このような言葉が用いられているのか?ということについてですが、

それは、一言でいうと、

牛などの家畜の食肉処理の過程において余った内臓や骨や皮といった部位を加熱処理したのちに、乾燥・粉砕して粉末状にしたもののことを指す言葉であると考えられることになります。

そして、

もともと、こうした肉骨粉と呼ばれるものは、そうした畜産の過程において余った廃棄物を再利用して牧草地や畑の肥料とするために広く用いられていたと考えられるのですが、

その後、

18世紀頃のイギリスにおいて、こうした肉骨粉畑の肥料としてではなく、羊などの家畜の飼料として与えてみたところ、通常の飼育方法よりも家畜の成長が早くなるといった成果が得られたため、

それから、

こうしたイギリスを中心とするヨーロッパアメリカなどの世界各地において、こうした肉骨粉入りの飼料を用いた家畜の飼育のあり方が、安価で効率性の高い飼育方法として広く用いられていくようになっていったと考えられることになるのです。

スポンサーリンク

肉骨粉を介した牛同士の共食いによる生物濃縮としての狂牛病の感染拡大

このように、

肉骨粉の成分の内には、タンパク質カルシウムといった動物の成長を促す栄養価の高い成分が多く含まれていたため、

安価で効率の良い家畜の飼育のために、そうした肉骨粉入りの飼料が広く用いられるようになっていったと考えられることになるのですが、

その一方で、

こうした肉骨粉の成分の内には、牛などの家畜の成長にとって有益な栄養素だけではなく、そういった肉骨粉として用いられる様々な部位のなかでも、特に、

脊髄といったのちに特定危険部位として位置づけられることになる組織の内部には、

狂牛病の発症の原因となる異常な構造をしたタンパク質である異常プリオンも含まれているケースがあったため、

肉骨粉などの汚染された飼料によって飼育された牛たちは、そうした病原体となる異常プリオンを経口摂取することによって、狂牛病に感染してしまい、

その後、脳組織などの神経細胞の内部において、異常プリオンとの接触によって正常なタンパク質の異常タンパク質への連鎖的な変換が進行していくことによって、

こうした肉骨粉を飼料として与えられた牛たちの間で、次第に狂牛病の感染が広がっていくという現象が見られていくようになっていったと考えられることになります。

つまり、そういった意味では、

こうした肉骨粉を原因とするイギリスを中心とする世界各地への狂牛病の感染の拡大は、

そうした肉骨粉と呼ばれる飼料を介して、家畜である牛自身が自らと同族である牛の内臓や骨髄を食べさせられるというある意味では共食いともいえるような異常な飼育環境の中で肥育されていくことによって、

そうした肉骨粉を介して互いに共食いをし合う関係にあった牛たちの間で、世代を経ていくごとに、異常プリオンの蓄積が高まっていくといった生物濃縮が進んでいってしまうことによって引き起こされた現象であるとも捉えることができると考えられることになるのです。

・・・

次回記事:不完全なウイルスであるサブウイルス粒子の三つの分類とは?ウイロイドとプリオンとサテライトウイルスの特徴の違い

前回記事:日本国内におけるBSE問題の発覚から収束までの歴史、イギリスにおける世界初のBSEの発生からアメリカ産牛肉の輸入再開まで

医学のカテゴリーへ
歴史・文化・社会のカテゴリーへ

スポンサーリンク
サブコンテンツ

このページの先頭へ