宇宙に中心が存在しない理由とは?①ビックバンの開始地点としての宇宙の中心の定義と特定の場所としての宇宙の中心の不在
現代の宇宙物理学における基本原理の一つとなっている宇宙原理においては、大局的な観点における宇宙空間はいたるところで一様的かつ等方的であるとされたうえで、
観測可能な宇宙空間の内部においては、宇宙の中心や端といった特別な位置や方向といったものはどこにも存在しないという考え方が示されていると考えられることになります。
それでは、こうした現代物理学に基づく宇宙論において、宇宙に中心が存在しないとされる理由としては具体的にどのような説明を示していくことができると考えられることになるのでしょうか?
宇宙の中心とはどこか?ビックバンの開始地点としての宇宙の中心の定義
宇宙における中心や端の存在の有無について考えていくためには、まずはその前提として、
そもそも、宇宙の中心とは具体的にどのような地点のことを指すのか?ということについて、あらかじめ厳密に定義しておくことが必要となると考えられることになります。
そうすると、
現代物理学に基づく宇宙論においては、宇宙の誕生は、今から約138憶年ほど前に起こった大爆発であるビッグバン(Big Bang)によって引き起こされたとされているので、
そういった意味では、
こうしたビッグバン理論に基づく膨張宇宙論を前提とする現代の宇宙論においては、宇宙の中心と呼ばれる場所は、一言でいうと、
そうした宇宙誕生の大爆発の源となったビッグバンの開始地点に求められることになると考えられることになるのです。
つまり、
この宇宙がビックバンと呼ばれる大爆発によってはじまり、現在の宇宙の姿を、そうした宇宙誕生の大爆発の開始地点を中心に四方八方へと同心円状に拡大していく膨張していく球体のような存在として捉えることができるとするならば、
そうした宇宙開闢の大爆発の爆心地にあたるビッグバンの開始地点こそが現在の宇宙の中心と呼ぶのに最もふさわしい地点として位置づけられることになると考えられることになるのです。
宇宙のなかのあらゆる地点が宇宙の中心として位置づけられるという意味での特定の場所としての宇宙の中心の不在
そうすると、次に、
こうした宇宙の中心としてのかつてのビックバンの源となった開始地点とは、現在の宇宙のだいたいどのあたりの場所に位置づけられることになるのか?という疑問が浮かび上がってくることになるのですが、
ここで、先ほど述べたビッグバン理論に基づく膨張宇宙論における宇宙の具体的な膨張のあり方が問題となってくると考えられることになります。
そこでは、ビックバン以降の宇宙の膨張のあり方は、あらかじめ存在していた空間のうちを爆風によって吹き飛ばされた物質が満たしていくような形ではなく、
物質同士の間に存在する宇宙空間自体が膨れ上がっていくことによってもたらされていくと説明されていくことになるのですが、
つまり、
こうしたビッグバン理論に基づく膨張宇宙論においては、宇宙の膨張は、ビックバンの開始地点からその外部の空間へと向けて広がっていったのではなく、
むしろ、そうしたビックバンの源となった開始地点の内部において、空間自体がどんどん膨張していくことによって現在の宇宙の姿が形づくられていくことになったと考えられることになるのです。
・・・
そして、そういった意味では、
かつてのビックバンの源となった開始地点としての宇宙の中心とは、現在の宇宙のどのあたりの地点なのだろうか?という先ほどの疑問についての答えとしては、
現在の宇宙は、宇宙誕生の源となったビックバンの核となった存在の外ではなくその内部において広がっていると考えられることになるので、
そうしたビックバンの開始地点は現在の宇宙のうちのどこかの一地点を示すのではなく、
むしろ、現在の宇宙全体がそうしたビックバンの源となった開始地点とそのまま一致することになるという考え方を示すことができると考えられることになります。
つまり、
こうしたビッグバン理論に基づく膨張宇宙論の視点に基づくと、ビックバンの源となった開始地点としての宇宙の中心は、現在の宇宙全体と一致する、
より分かりやすく言えば、
現在の宇宙におけるあらゆる地点が宇宙の中心として位置づけられることになってしまうという意味において、
結局、観測可能な宇宙空間の内部においては、その宇宙のなかのどこか特定の地点を宇宙の中心として位置づけることができるような特別な場所はどこにも存在しないと結論づけることができると考えられることになるのです。
・・・
次回記事:宇宙に中心が存在しない理由とは?②宇宙背景放射の等方性に基づく観測可能な現在の宇宙の内部における中心の非存在の証明
前回記事:宇宙が「等方的」であるとは具体的にどういう意味か?ビッグバン理論に基づく宇宙の等方性の説明
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