ユーグレナの古代ギリシア語の語源とは?「眼窩」を意味するglenoeidesと「善い」を表すeu、ユーグレナ植物とは何か?②

前回書いたように、ユーグレナ植物(ユーグレイド)とは、ミドリムシに代表されるような、

光合成を行うと同時に鞭毛と呼ばれる運動性の器官も持ち、眼点や感光点と呼ばれる原始的な視覚器官にも通じる機能を持った細胞小器官が形成されるといった特徴を持った単細胞性の藻類の一群のことを意味する言葉であると考えられることになるのですが、

それでは、

こうしたユーグレナ植物(ユーグレイド)における「ユーグレナ」あるいは「ユーグレイド」という言葉自体は、その大本の語源においては、どのような意味を表す言葉であったと考えられることになるのでしょうか?

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ユーグレナの古代ギリシア語における語源とは?

まず、

ユーグレナ植物と呼ばれる生物の種族の名称は、英語ではeuglenid(ユーグレイド)、あるいは、euglenoid(ユーグレノイド)と呼ばれることになるのですが、

こうしたeuglenoidという言葉は、eu(ユー)glenoid(グレノイド)という共に古代ギリシア語に語源を持つ二つの語が結合してできた言葉であると考えられることになります。

このうち、まずは前半のeu(ユー)という語についてですが、

ギリシア語では、euは「ユー」ではなく、そのまま「エウ」と発音されることになるのですが、こうしたギリシア語eu-(エウ)という語は、「善い」あるいは「優れた」という意味を表す接頭辞であり、

例えば、

ギリシア語でeudaimonia(エウダイモニア)と言えば、

この言葉は、「善い」といった意味を表すeu(エウ)「神霊」や「守護神」のことを意味するdaimon(ダイモーン)が結びついてできた言葉ということになるので、

それは、人間の人生が善い神霊によって守られている状態、すなわち、「幸福」のことを意味することになります。

そして、

こうしたギリシア語に由来を持つeu-(エウ)という接頭辞は、英語においては、ギリシア語における意味をそのまま引き継いだうえでeu-(ユー)と発音されることになり、

例えば、

英語においてeugenics(ユージェニックス)と言えば、

それは、優れた(eu)遺伝子(gene遺伝因子(genetic factorを持つ人間の選別を行う思想や学問のこと、すなわち、優生学のことを意味することになるのです。

そして次に、後半のglenoid(グレノイド)という語についてですが、

この言葉は、もともとはギリシア語において、眼球が入っている杯状のくぼみ、すなわち、「眼窩」(がんか)のことを意味するglenoeides(グレノエイデス)という名詞に由来する言葉であり、

こうしたglenoeides(グレノエイデス)という単語は、さらに、その語源をさかのぼっていくと、古代ギリシア語において「眼球」「瞳孔」といった意味を表していたと考えられるglene(グレネ)という言葉から派生した単語であると考えられることになるのです。

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以上のように、

ユーグレナ植物(ユーグレイド)における「ユーグレナ」あるいは「ユーグレイド」という言葉は、その大本の語源においては、

古代ギリシア語において「善い」「優れた」を意味するeu(エウ)と、

同じく古代ギリシア語において「眼窩」のことを意味するglenoeides(グレノエイデス)または、「眼球」「瞳孔」のことを意味するglene(グレネ)という言葉が結合されることによってつくられた言葉であると考えられることになります。

したがって、

こうした「ユーグレナ」あるいは「ユーグレイド」という言葉は、こうした古代ギリシア語の語源に基づく言葉自体の意味としては、

「優れた眼」あるいは「美しい瞳」といった意味を表す言葉であったと考えられることになるのです。

それでは、

なぜ、ユーグレナ植物に分類されるミドリムシなどの生物が、こうした「眼球」や「瞳」といった目に由来する名前で呼ばれているのか?ということについてですが、

それについては、詳しくは、また次回改めて考察するように、ユーグレナ植物の細胞の上部に存在する眼点(がんてん)と呼ばれる細胞小器官の外見や機能のうちに、その理由が求められることになると考えられることになるのです。

・・・

次回記事:ミドリムシやユーグレナ植物の赤い目のように見える眼点の正体とその特殊な機能とは?ユーグレナ植物とは何か?③

前回記事:ユーグレナ植物とは何か?①生物学における具体的特徴とミドリムシとの関係と健康食品としてのユーグレナ、藻類とは何か?⑩

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