直観と直感の違いとは?心の目で見て全体を一挙に把握する直観と何となく肌で感じる直感の違い

日本語でちょっかんという読み方がされる人間の認識のあり方には、直感直観という二つの異なる漢字の表記が用いられることになりますが、

こうした直観と直感という二つの言葉の意味の違いについては、

例えば、『大辞泉』における定義では、

直観「推理や考察によるのでなく、感覚によって物事をとらえること」
直感「推理を用いず、直接的に対象をとらえること」と定義されています。

つまり、

直観も直感も、それが推理や考察といった論理的な推論能力とは異なる認識のあり方のことを示す概念であるという点では、互いに共通していると考えられることになるのですが、

それでは、こうした直観と直感という両者の認識のあり方には、具体的にどのような違いがあると考えられることになるのでしょうか?

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何となく肌で感じる直感と、心の目で直接見てとる直観の違い

まず、「直感」「直観」という二つの言葉に用いられている漢字自体の意味について考えてみると、

直感という言葉の「感」は、何かを感じるという感覚全般のことを示す字であるのに対して、

直観という言葉の「観」の方は、何かを観(み)ること、すなわち、視覚のことを示す字ということになります。

そして、

人間が有する五感の内で、視覚聴覚味覚嗅覚という四つの感覚については、それぞれ、「見る(観る)」「聞く(聴く)」「味わう」「嗅(か)ぐ」などと表現されるように、

通常の場合、これらの感覚に対して「感じる」という表現が用いられることはなく、

例えば、「ザラザラした感じがする」「触ると温もりを感じる」というように、

唯一、触覚についてのみ、「感じる」という表現が用いられると考えられることになります。

したがって、

「直感」は、実際に何かがはっきりと見えているわけではなく、何となく肌で感じるといった触覚に類する認識のあり方であるのに対して、

「直観」の方は、心の目で物事の本質を見抜いて真実をはっきりと見て取るといった視覚に類する認識であるという点に、両者の違いがあると考えられることになるのです。

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日常的文脈で用いられる直感と、哲学的文脈で用いられる直観

そして、

こうした両者の認識のあり方の具体的な違いについては、それぞれの言葉が用いられる文脈の違いにおいても見いだされることになります。

例えば、

「直感」という言葉は、「あの人が運命の人だと直感的にピンときた」「私の直感では彼は浮気している」というように、比較的日常的な場面で多く用いられる言葉であるのに対して、

「直観」という言葉は、「真理を直観する」というように、主に哲学や論理学といった学術性の高い文脈において多く用いられる表現であると考えられることになります。

哲学という学問分野だけを例にとっても、直観概念は、多様な解釈の幅のある比較的意味の広がりが大きい概念であると考えられることになるのですが、

例えば、その代表例であるデカルトの直観概念においては、

直観とは、あらゆる精神の内に現前しているそれ自体で自明な明晰かつ判明な知のあり方であるとされることになります。

そして、

そうした直観に基づく知のあり方である直観知は、

デカルトの次の時代の哲学者であるスピノザにおいては、あらゆる感覚や経験的認識、論理的思考すら超えて真理の全体を一挙に把握する最高の認識のあり方であると定義されることになるのです。

このように、

日常的な文脈で用いられることが多い「直感」という言葉が、一般的には、勘(かん)当てずっぽうに近い認識のあり方を示している考えられるのに対して、

哲学的文脈で用いられる「直観」という言葉は、あらゆる認識の前提にある最も確かで自明な認識のあり方のことを示す言葉であり、

それは、全体を俯瞰するような視点から、物事の本質を一挙に見抜いてしまうような認識のあり方であると考えられることになるのです。

・・・

以上のように、

直観と直感という二つの言葉は、両者とも通常の論理的な思考とは異なる認識のあり方のことを示しているという点では互いに共通しているのですが、

「直感」という言葉は、直接何かを感じるという触覚に根ざした認識のあり方を示す概念であり、

その認識によって何かがはっきりと明確に捉えられているわけではなく、何となく肌で感じるといった、ある種の勘(かん)第六感のようなものを意味していると考えられるのに対して、

「直観」という言葉は、直接何かを観(み)るという視覚に根ざした認識のあり方を示していて、

それは、あらゆる認識の前提にある最も確かな認識であり、実際に物事の本質を奥深くまで見抜いて、それを心の目ではっきりと見て取り、真理の全体を一挙に把握してしまうような認識のあり方を示す概念であるという点において、

両者の認識のあり方の本質は互いに大きく異なっていると考えられることになるのです。

・・・

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