緑藻類・紅藻類・褐藻類の違いとは?光合成色素と水深などの生息域の違いと分類される代表的な藻類の種類、藻類とは何か?⑤
前回書いたように、狭義における藻類には、主に、日常的には海藻として認識されることが多い植物の種類が分類されることになり、
具体的には、緑藻類・紅藻類・褐藻類という三つ植物の種族がこうした狭義における藻類に分類されることになります。
それでは、
こうした緑藻類・紅藻類・褐藻類と呼ばれる三つの藻類のグループには、具体的にどのような特徴の違いがあり、
それぞれの藻類の種族に分類される代表的な藻類としては、具体的にどのような植物の名前が挙げられることになると考えられることになるのでしょうか?
緑藻類に分類される藻類の具体的な特徴と代表的な緑藻の種類
まず、
冒頭で挙げた緑藻類・紅藻類・褐藻類という三つの藻類のグループのうちの最初に挙げた緑藻類は、三つの藻類のグループのなかで最も一般的な陸上植物に近い構造と生態を持った藻類の種族であり、
緑藻類の場合、光合成を行う細胞小器官である葉緑体は、種子植物やシダ植物やコケ植物といった一般的な陸上植物と同様に、緑色の色素である多量のクロロフィル(葉緑素)が含まれることになるので、
植物体の体色も、基本的には、そうした一般的な陸上植物と同様に緑色をしている場合が多いと考えられることになります。
また、
植物としての生態においては、
緑藻類は、海藻の場合でも比較的水深の浅い海域に生息している種類が多いほか、種子植物における水草などと同様に、池や川などに生息する淡水性の緑藻類も数多く見られることになり、
こうした緑藻類に分類される代表的な藻類の種類としては、
海産の藻類の種類としては、アオノリ(青海苔)、カサノリ(傘海苔)、アオサ(石蓴)、ミル(海松)といった藻類の名前が、
淡水産の藻類としては、カワノリ(川海苔)、アオミドロ(青味泥)、クンショウモ(勲章藻)、イカダモ(筏藻)、クロレラといった藻類の名前がそれぞれ挙げられることになると考えられることになります。
紅藻類に分類される藻類の具体的な特徴と代表的な紅藻の種類
そして、
その次に挙げた紅藻類の場合、
葉緑体の内には、クロロフィル(葉緑素)の他に、フィコエリトリン(紅藻素)と呼ばれる赤色の色素や、フィコシアニン(藍藻素)と呼ばれる青色の色素も多く含まれることによって、
植物体の体色も、そうした三色の色素が混ざり合うことによって、紅色や紫色の体色をしている場合が多いと考えられることになります。
また、
植物としての生態においては、
紅藻類は、ほとんどが海産の藻類、すなわち、海藻として分類されることになり、海の中でも、より水深が深い海域に生息している種類が多いと考えられることになります。
そして、
こうした紅藻類に分類される代表的な藻類の種類としては、
アサクサノリ(浅草海苔)、フノリ(布海苔)、スサビノリ(荒び海苔)、寒天の材料として有名なテングサ(天草)、刺身のつまなどとして用いられることが多いオゴノリやイギス(海髪)といった藻類の名前が挙げられることになると考えられることになります。
褐藻類に分類される藻類の具体的な特徴と代表的な褐藻の種類
そして、
最後に挙げた褐藻類の場合、
葉緑体の内には、クロロフィル(葉緑素)の他に、フコキサンチン(褐藻素)と呼ばれる赤褐色の色素が多く含まれていて、
植物体の体色も、そうした葉緑体の内に含まれる色素の影響によって、黄褐色や黒褐色の体色をしている場合が多いと考えられることになります。
また、
植物としての生態においては、
褐藻類は、紅藻類と同様に、そのほとんどが海産の藻類に分類されることになり、褐藻類にはその中でも、全長が数メートルから数十メートルにも及ぶような大型の藻体を形成する藻類の種類が数多く分類されることになります。
そして、
こうした褐藻類に分類される代表的な藻類の種類としては、
コンブ(昆布)、ワカメ(若布)、ヒジキ(鹿尾菜)、ホンダワラ、モズク(水雲)、ハバノリ(幅海苔)といった食用としても利用される藻類の他に、世界最大の海藻としても知られている全長が60メートル程度にまで及ぶマクロキスチスといった藻類の名前なども挙げられることになると考えられることになるのです。
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以上のように、
狭義における藻類に分類される緑藻類・紅藻類・褐藻類という三つの藻類のグループの植物としての具体的な特徴の違いとしては、まず、
光合成を行う細胞小器官である葉緑体の内に含まれる色素の種類について、
緑藻類の場合は通常の陸生植物と同様に緑色の色素である葉緑素クロロフィル(葉緑素)が主体となるのに対して、
紅藻類の場合にはクロロフィル(葉緑素)の他に、フィコエリトリン(紅藻素)と呼ばれる赤色の色素や、フィコシアニン(藍藻素)と呼ばれる青色の色素も多く含まれていて、
褐藻類の場合は、クロロフィル(葉緑素)の他に、フコキサンチン(褐藻素)と呼ばれる赤褐色の色素が多く含まれているという点が挙げられることになります。
また、
緑藻類には海藻だけではなく淡水産の藻類も数多く含まれるのに対して、
紅藻類と褐藻類に属する藻類はそのほとんどが海産の藻類であり、
そうした海藻の中でも、
緑藻類の場合は比較的水深の浅い海域に生息する藻類の種類が多いのに対して、
紅藻類には深海などの水深の深い海域に生息する藻類が数多く分類され、
褐藻類には全長が数メートルから数十メートルにも及ぶような大型の藻体を形成する藻類の種類が数多く分類されるといった点が、
緑藻類・紅藻類・褐藻類の三者を区別する主要な特徴の違いとして挙げられることになると考えられることになります。
そして、
こうした緑藻類・紅藻類・褐藻類という三つの藻類のグループのそれぞれに分類される代表的な褐藻の種類としては、
緑藻類には、アオノリ、カサノリ、アオサ、ミル、カワノリ、アオミドロ、クンショウモ、イカダモ、クロレラといった藻類の名前が、
紅藻類には、アサクサノリ、フノリ、スサビノリ、テングサ(天草)、オゴノリ、イギスといった藻類の名前が、
褐藻類には、コンブ、ワカメ、ヒジキ、ホンダワラ、モズク、ハバノリ、マクロキスチスといった藻類の名前がそれぞれ挙げられることになると考えられることになるのです。
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次回記事:植物と動物や細菌との境界線上に位置する生物としての広義における藻類の概念、藻類とは何か?⑥
前回記事:狭義と広義における藻類の定義の違いとは?海藻に含まれる植物の種類とユーグレナとクロララクニオン植物、藻類とは何か?④
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