オリンピックの五つの円環のシンボルとユングの心理学における人間と心と世界全体の象徴としての円環のイメージとの関係

前回の記事で書いたように、オリンピックの象徴となっている五つの輪の形をしたシンボルの直接的な起源としては、

この図案の発案者とされている近代オリンピックの創立者でもあったクーベルタン設立者のうちの一人として数え上げられている

1887年に設立されたフランス国内スポーツ競技の統括団体にあたるフランススポーツ協会連合の象徴とされる青と赤の互いに連結された二つの円環のデザインのうちにその直接的な由来をもとめていくことができると考えられることになるのですが、

こうしたオリンピックおよびフランススポーツ協会連合の象徴として用いられている互いに連結された円環というデザインが生み出されていくことになった思想的な背景としては、

さらに、ユングの心理学に代表されるような人間の心や世界を象徴する心理学的な図形のうちにその大本となる起源をたどっていくことができるとする説も挙げていくことができると考えられることになります。

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ユングの心理学における人間と心と世界全体の象徴としての円環のイメージ

20世紀前半のスイス心理学者および精神科医であったカール・グスタフ・ユングCarl Gustav Jung、1875年~1961年)によって創始された分析心理学においては、

自らの師でもあったフロイトの精神分析学において用いられている自由連想法夢分析などといった心理学的手法を発展させていくことによって、

人間の心における無意識の領域のさらに奥底に存在する集合的無意識についての探求や、そうした人間の無意識や夢の中の世界、さらには、人類の歴史の中で語り伝えられてきた古代の神話や物語などの内に見いだされていくことになる元型と呼ばれる人類共通普遍的イメージについての探求が行われていくことになります。

そして、

そうしたユングの心理学においては、のちに、古代インドの哲学チベット密教におけるマンダラ(曼荼羅)と呼ばれる神秘的な円輪の形をした図形とも深く結びつけられていくことになるように、

円環のイメージが、自らの心の内に見いだされていくことになる自己と世界を象徴する普遍的なエネルギーを持った図形として位置づけられていくことになるのですが、

そうしたユングの心理学マンダラに象徴されるような心理学的な図形としての円環のイメージにおいては、

一つひとつの円環そのものが一人ひとりの人間の心を象徴していると同時に、それは、そうした一人ひとりの人間の心が包み込む世界の全体の象徴ともなっていると捉えられていくことになると考えられることになるのです。

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人間の心と世界全体における連帯と統合を象徴する図形としての互いに連結された五つの円環のシンボル

そして、

こうしたユングの心理学における円環のイメージからは、そうした自己と世界の象徴としての円環が二つ以上連なって互いに連結されていく場合には、

それは、そうした円環あるいは同心円の構造として捉えられていくことになる人間の心とその内なる世界とが自らの全体性を維持しながら互いに関わり合い結びつき合っていくという人間と世界の構造における連続性と連帯が象徴されていくことになると考えられることになります。

つまり、

こうしたオリンピックのシンボルとして描かれている互いに連結された五つの円環によって構成されている象徴的なデザインの背景には、

こうしたユングの心理学インドの古代思想における人間の心世界全体の象徴としての円環のイメージが一つの普遍的で元型的なイメージとして存在していると考えられ、

そういった意味では、

こうした互いに連結された五つの円環の形として描かれていくことになるオリンピックのシンボルは、

そうした五つの輪によって象徴されている五つの大陸に生きているすべての人間の心、すなわち、この世界に生きているすべての人々の心を互いに結びつけていくという

人間の心と世界全体における連帯と統合を象徴する図形として捉えていくことができるとも考えられることになるのです。

・・・

次回記事:日本中心の世界地図におけるオリンピックの五色と五大陸との地理的な対応関係とは?アジア大陸を中心とする五大陸の位置づけ

前回記事:オリンピックの五つの輪のデザインとフランススポーツ協会連合を象徴する青と赤の互いに連結された二つの円環との関係

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