さそり座の星の名前の由来とは?サソリの頭と尾の中心で火星のように赤く輝く一等星の恒星アンタレス
黄道十二星座の一つとして位置づけられている蠍座(さそりざ)は、黄道十二宮における天蝎宮(てんかつきゅう)の領域とも結びつけられることによって、
二十四節気のうちの霜降から小雪の頃までの時期にあたる 10月24日から11月22日までの30日間の期間を司る星座としても位置づけられることになるのですが、
天文学において、こうしたさそり座を構成する主要な星としては、具体的にどのような星の名前が挙げられることになると考えられることになるのでしょうか?
さそり座を構成する主要な七つの星の名前と具体的な由来
そうすると、まず、
こうした日本語ではさそり座、英語ではScorpio(スコーピオ)と呼ばれる星座は、現代の天文学においては、全部で275個ほどの恒星によって構成されている大規模な星座として位置づけられることになるのですが、
こうしたさそり座を構成している様々な星々のうち、地球から見たとき比較的明るくて大きい星として観測されることになる主要な星の名前を挙げていくと、
アンタレス、アクラブ、ジュバ、房、ララワグ、サルガス、シャウラといった全部で七つの星の名前を挙げていくことができると考えられることになります。
・・・
こうしたさそり座を構成する主要な七つの星のうち、はじめに挙げた
アンタレス(Antares)は、ギリシア語において「火星に似たもの」を意味するΆντάρης(アンタレース)という言葉に由来する名前を持つ星であり、
この星はさそり座を構成する星々のなかでは最も明るい一等星の恒星として位置づけられていて、火星と同じように赤い光を放って夏の南の空に輝いていることから、火星と見間違われることがあったため、こうした呼び名が付けられることになったと考えられることになります。
そして、その次に挙げた
アクラブ(Acrab)は、アラビア語において「サソリ」を意味するal-ʿaqrab(アル・アクラブ) という言葉に由来する名前を持つ星、
ジュバ(Dschubba)は、アラビア語において「サソリの額(ひたい)」を意味するjabhat al-ʿaqrab(ジャバット・アル・アクラブ) という言葉に由来する名前を持つ星、
房(ぼう、ファン)は、中国語における28の星宿※のうちの一つであり、黄道十二宮では天蝎宮にあたる房宿(ぼうしゅく)に由来する名前を持つ星として位置づけられることになります。
※星宿(せいしゅく)あるいは月宿(げっしゅく)と呼ばれる言葉は、天球上の太陽の通り道である黄道に対して、天球上の月の通り道に当たる白道を28あるいは27の領域へと分割した月の運行に基づく天球の区分のあり方として定義されることになります。
また、その次に挙げた
ララワグ(Larawag)は、オーストラリア先住民にあたるワーダマン族がこの星に対して用いていた呼び名がそのまま国際天文学会における正式な名称として定められることになった星。
サルガス(Sargas)は、古代メソポタミアのシュメール神話において登場する太陽神としても位置づけられている神であるマルドゥク神が手にしている刃先が三本に分かれた銛(もり)や矛(ほこ)のような形状をした武器に由来する名前を持つ星、
シャウラ(Shaula)は、アラビア語において「針」を意味するal-ʿshaulah(アル・シャウラ) という言葉に由来する名前を持つ星としてそれぞれ位置づけられることになると考えられることになるのです。
サソリの頭と尾の中心で火星のように赤く輝く一等星の恒星アンタレス
そして、
こうしたさそり座を構成している主要な星々を線でつなげて星座の形を描いていく場合には、
アンタレスと呼ばれる前述した主要な七つの星のなかでも最も明るい一等星として位置づけられることになる恒星を基点として、
その右上に並んでいるアクラブとジュバと房という三つの星と、左下に位置しているララワグとサルガスとシャウラという三つの星をそれぞれ結びつけていくことによって、
上記の図において示したようなサソリの頭と尾をつなげたような滑らかな曲線を描く星座の形が描かれていくことになると考えられることになります。
そして、
こうしたさそり座を構成する星々の名前を順番に見ていくと、
さそり座を代表する一等星の恒星であり、「火星に似たもの」という呼び名を持つ夏の夜空にひときわ赤く輝く星であるアンタレスがこの星座の中心として位置づけられたうえで、
「サソリの額(ひたい)」すなわち「サソリの頭部」を意味するジュバと、「サソリの針」すなわち「サソリの尾部」を意味するシャウラといった星が互いに結びつけられていくことによって、
そうした夏の夜空におけるサソリ座の姿が描かれていくことになると考えられることになるのです。
・・・
次回記事:いて座の星の名前の由来とは?ケンタウロスが持つ弓の姿を描く四つの星と星座の中心で青く光り輝くカウス・アウストラリス
前回記事:てんびん座の星の名前の由来とは?「泉の女神」や「ぶどうを摘む女」といった女神や女性に関わる名を持つ星々
「天文学」のカテゴリーへ
「11月」のカテゴリーへ