いて座の星の名前の由来とは?ケンタウロスが持つ弓の姿を描く四つの星と星座の中心で青く光り輝くカウス・アウストラリス
黄道十二星座の一つとして位置づけられている射手座(いてざ)は、黄道十二宮における人馬宮(じんばきゅう)の領域とも結びつけられることによって、
二十四節気のうちの小雪から冬至の頃までの時期にあたる 11月23日から12月21日までの29日間の期間を司る星座としても位置づけられることになるのですが、
天文学において、こうしたいて座を構成する主要な星としては、具体的にどのような星の名前が挙げられることになると考えられることになるのでしょうか?
いて座を構成する主要な九つの星の名前と具体的な由来
そうすると、まず、
こうした日本語ではいて座、英語ではSagittarius(サジテリアス)と呼ばれる星座は、現代の天文学においては、全部で226個ほどの恒星によって構成されている大規模な星座として位置づけられることになるのですが、
こうしたいて座を構成している様々な星々のうち、地球から見たとき比較的明るくて大きい星として観測されることになる主要な星の名前を挙げていくと、
カウス・アウストラリス、カウス・メディア、カウス・ボレアリス、そして、アルナスル、ヌンキ、アスケラ、ルクバト、アルカブ・プリオル、アルカブ・ポステリオルといった全部で九つの星の名前を挙げていくことができると考えられることになります。
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こうしたいて座を構成する主要な九つの星のうち、はじめに挙げた
カウス・アウストラリス(Kaus Australis)は、アラビア語において「弓」を意味するal-qaus(アル・カウス)という単語と、ラテン語において「南」を意味するaustralis(アウストラリス)という単語が結びついてできた名前を持つ青く光り輝く星であり、
この星はいて座を構成する星々のなかでは最も明るい二等星の恒星として位置づけられることになります。
そして、その次に挙げた
カウス・メディア(Kaus Australis)は、アラビア語において「弓」を意味するal-qaus(アル・カウス)という単語と、ラテン語において「中央」を意味するmedia(メディア)という単語が結びついてできた名前を持つ三等星の恒星、
カウス・ボレアリス(Kaus Borealis)は、アラビア語において「弓」を意味するmedia(アル・カウス)という単語と、ラテン語において「北」を意味するborealis(ボレアリス)という単語が結びついてできた名前を持つ三等星の恒星として位置づけられることになります。
また、その次に挙げた
アルナスル(Alnasl)は、アラビア語において「矢じり」のことを意味するal-naşl(アル・ナスル)という言葉に由来する名前を持つ星、
ヌンキ(Nunki)は、古代バビロニアにおいて用いられていたシュメール文字が刻まれた石板に記されていた「海の印」といった意味を表すといった推測がなされている古代文字に由来する名前を持つ星、
アスケラ(Ascella)は、ラテン語において「脇の下」を意味する言葉がそのまま名前としてつけられた星として位置づけられることになります。
そして、
こうしたいて座を構成している主要な星々から少し左下へと離れた位置には、ルクバト、アルカブ・プリオル、アルカブ・ポステリオルという名のつけられた三つの星があり、
ルクバト(Rukbat)は、アラビア語において「射手の膝(ひざ)」のことを意味する rukbat al-rāmī(ルクバト・アル・ラミ)という言葉に由来する名前を持つ星、
アルカブ・プリオル(Arkab Prior)は、アラビア語において「射手のアキレス腱」のことを意味するʿurqūb al-rāmī(ウルクブ・アル・ラミ)という言葉と、ラテン語において「前の」を意味するprior(プリオル)という単語が結びついてできた名前を持つ星、
アルカブ・ポステリオル(Arkab Posterior)は、アラビア語において「射手のアキレス腱」のことを意味するʿurqūb al-rāmī(ウルクブ・アル・ラミ)という言葉と、ラテン語において「後ろの」を意味するposterior(ポステリオル)という単語が結びついてできた名前を持つ星としてそれぞれ位置づけられることになると考えられることになるのです。
いて座の中心で青く光り輝くカウス・アウストラリスとケンタウロスが持つ弓の姿を描く四つの星
そして、
こうしたいて座を構成している主要な星々を線でつなげて星座の形を描いていく場合には、
カウス・アウストラリスと呼ばれる前述した主要な九つの星のなかでも最も明るい二等星として位置づけられることになる恒星を基点として、
その北に位置するカウス・メディアとカウス・ボレアリス、そして、アルナスル、ヌンキ、アスケラといった星々が互いに結びつけられていくことによって、
上記の図において示したようないて座の星座の形が描かれていくことになると考えられることになります。
そして、
こうしたいて座を構成する星々の名前を順番に見ていくと、
いて座を代表する二等星の恒星であり、「南の弓」という呼び名を持つ青く光り輝く星であるカウス・アウストラリスがこの星座の中心として位置づけられたうえで、
そうした「南の弓」にあたるカウス・アウストラリスと、「中央の弓」にあたるカウス・メディアと、「北の弓」にあたるカウス・ボレアリスという三つの星と、
そうした天空に浮かぶ大きな弓につがえられた矢の「矢じり」の部分にあたるアルナスルという四つの星が互いに結びつけられていくことによって、
いて座においてケンタウロスが持つとされている弓の姿がきれいに描かれていくことになると考えられることになるのです。
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次回記事:やぎ座の星の名前の由来とは?子ヤギと肉屋の追いかけっこと右を向く山羊の姿というミクロとマクロにおける二つの星座の構図
前回記事:さそり座の星の名前の由来とは?サソリの頭と尾の中心で火星のように赤く輝く一等星の恒星アンタレス
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