ふたご座の星の名前の由来とは?カストルとポルックスの兄弟星の命名において二番目に明るい星の方が兄星とされた理由
黄道十二星座の一つとして位置づけられている双子座(ふたござ)は、黄道十二宮における双児宮(そうじきゅう)の領域とも結びつけられることによって、
二十四節気のうちの小満から夏至の頃までの時期にあたる 5月21日から6月21日までの32日間の期間を司る星座としても位置づけられることになるのですが、
天文学において、こうしたふたご座を構成する主要な星としては、具体的にどのような星の名前が挙げられることになると考えられることになるのでしょうか?
ふたご座を構成する主要な九つの星の名前と具体的な由来
そうすると、まず、
こうした日本語ではふたご座、英語ではGemini(ジェミニ)と呼ばれる星座は、現代の天文学においては、全部で183個ほどの恒星によって構成されている星座として位置づけられることになるのですが、
こうしたふたご座を構成している様々な星々のうち、地球から見たとき比較的明るくて大きい星として観測されることになる主要な星の名前を挙げていくと、
カストルとポルックス、そして、アルヘナ、ワサト、メブスタ、メクブダ、プロプス、テジャト、アルジルといった全部で九つの星の名前を挙げていくことができると考えられることになります。
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こうしたふたご座を構成する主要な九つの星のうち、はじめに挙げた
カストル(Castor)は、ギリシア神話において登場する双子の英雄のうちの馬術の技に優れた兄カストルの名に由来する名前を持つ星であり、ふたご座を構成する星々のなかでは二番目に明るい二等星の恒星として位置づけられることになり、
それに対して、その次に挙げた
ポルックス(Pollux)は、ギリシア神話において登場する双子の英雄のうちの拳闘の技に優れた弟ポリュデウケスの名に由来する名前を持つ星であり、ふたご座を構成する星々のなかで最も明るい一等星の恒星として位置づけられることになります。
そして、その次に挙げた
アルヘナ(Alhena)は、アラビア語において「焼印」を意味するal han’ah(アル・ハナ)という言葉に由来する名前を持つふたご座を構成する星々のなかでは三番目に明るい二等星の恒星であり、
ワサト(Wasat)は、アラビア語において「中間」を意味するwasaṭ(ワサト)という言葉に由来する名前を持つ星、
メブスタ(Mebsuta)は、アラビア語において「ライオンの伸ばした脚」といった意味を表すdhirāʿ al-asad al-mabsūṭa(ディラー・アル・アサド・アル・メブスタ)という言葉に由来する名前を持つ星、
メクブダ(Mekbuda)は、アラビア語において「ライオンの畳んだ脚」といった意味を表すdhirāʿ al-asad al-maqbūḍa(ディラー・アル・アサド・アル・メクブダ)という言葉に由来する名前を持つ星、
プロプス(Propus)は、ギリシア語において「前足」を意味するπρορους(プロロウス)という言葉に由来する名前を持つ星、
テジャト(Tejat)は、古代アラビア語の文献において用いられている詳細な意味については不明な言葉であるtiḥyāt(ティヤット)という言葉に由来する名前を持つ星、
アルジル(Alzirr)は、アラビア語において「ボタン」を意味するal-zirr(アル・ジル)という言葉に由来する名前を持つ星としてそれぞれ位置づけられることになると考えられることになるのです。
カストルとポルックスの兄弟星の命名において二番目に明るい星の方が兄星とされた理由
そして、
こうしたふたご座を構成している主要な星々を線でつなげて星座の形を描いていく場合には、
前述した主要な九つの星のうち、
はじめに挙げた兄弟星にあたるカストルとポルックス、そして、それに次ぐ明るさを持つアルヘナと呼ばれる三つの恒星を基点として星座の形が描かれていくことになると考えられることになるのですが、
前述したように、
こうしたカストルとポルックスと呼ばれる二つの兄弟星は、ふたご座を構成する星々のなかで二番目に明るい星の方が兄のカストルとされていて、一番明るい星の方が弟のポルックスとして位置づけられることになります。
普通に考えると、
一番明るい星の方を兄星にして、二番目に明るい星の方を弟星にする方が自然な命名のあり方となるようにも思えるのですが、
このように、実際にはそれとは反対の順番になる形で星の命名がなされているのには、具体的にどのような理由があると考えられることになるのでしょうか?
それについては、一言でいうと、
星の大きさや明るさではなく、地球からの天体観測において星が観測される順番に基づいてそうした命名が行われていると解釈することができると考えられ、
実際に、
ふたご座を観測することができる冬の季節に東の夜空を眺めていると、
そうしたふたご座を構成する星々のうち、まずはカストルが地平線から顔を出してから、その後に続いてポルックスが登場するという順番で観測が進められていくことになります。
そして、このように、地球からの天体観測において、
先に夜空へと現れる星の方に兄であるカストルの名がつけられることになり、そのすぐ後に、兄であるカストルに導かれるようにして後に続いて夜空へと現れる明るい星が弟であるポルックスとして名づけられていくことになったと考えられることになるのです。
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