ガーゼマスクと不織布マスクの網目の大きさと構造の違いとは?ウイルスの感染拡大の予防対策における両者の効用の違い
感染症の予防や自分の唾液や鼻水などが外に飛ばないようにするために用いられる衛生用品としてのマスクの代表的な種類としては、ガーゼマスクと不織布マスクという二つのマスクの種類が挙げられる。
それでは、こうしたガーゼマスクと不織布マスクという二種類のマスクには、それぞれ網目の大きさやマスクの構造といった点に具体的にどのような特徴の違いがあると考えられることになるのだろうか。
ガーゼマスクと不織布マスクの網目の大きさと構造の違い
そうすると、まず、
こうした二種類のマスクの具体的な構造の違いとしては、
ガーゼマスクの構造は、平織りの目の粗い綿織物が何枚かに渡って重ね合わされた均一な構造となっているのに対して、
不織布のマスクの構造は、織ったり編んだりされていない目の細かい繊維が不規則に敷き詰められた構造となっているという点が挙げられる。
そして、一般的に、
ガーゼマスクの網目の大きさは数十マイクロメートル以上になってしまうと考えられるのに対して、
不織布マスクの繊維の網目の大きさは、市販されている一般的な不織布マスクの場合でも、だいたい1~3マイクロメートル以下の網目の細かさが確保されることになると考えられることになるのである。
呼吸系のウイルスの感染拡大の予防対策における不織布マスクとガーゼマスクの効用の違い
そして、
こうした両者のマスクの構造の違いは、それぞれのマスクの用途の違いにも影響を及ぼしていくことになると考えられる。
不織布のマスクの場合は、1~3マイクロメートル以下の網目の細かさが確保された不規則な構造を持つ不織布が三層ほど重ねられた多層構造を持つことによって、
直径5マイクロメートル以上の大きさを持つウイルスを含む飛沫粒子の正面からの侵入を防ぐことができるのはもちろん、
直径0.1~0.3マイクロメートルほどのインフルエンザウイルスやコロナウイルスなどといった呼吸系のウイルスの粒子についても90%以上の除去率を示す規格を満たしているマスクの種類も数多くあるため、
こうした不織布のマスクは、飛沫感染を中心とする呼吸系のウイルスに対する感染予防という点においても一定の効果を発揮することができると考えられる。
そして、それに対して、
ガーゼマスクの場合は、通常の場合、網目の大きさが数十マイクロメートル以上になってしまうことから、
直径0.1~0.3マイクロメートルほどのウイルスの粒子はもちろん、直径5マイクロメートルほどの飛沫の粒子までもが網目の隙間をすり抜けてしまう可能性があるので、
繊維の網目が細かい不織布マスクと比べて、ウイルスの感染予防に対する効果は限定的であると考えられる。
しかし、その一方で、
ウイルスにすでに感染している患者が着用する場合には、目が粗いガーゼマスクであっても咳やくしゃみが飛ぶときの勢いを抑えることによって飛沫が飛散する距離を短くすることはできるので、
こうしたガーゼマスクの場合でも、自分の咳やくしゃみによって飛び散る飛沫が周りに飛ばないようにするという感染拡大の抑止のための効果は十分にあると考えられる。
したがって、
呼吸系のウイルスの感染拡大の予防対策としては、できることなら目の細かい繊維によって構成されている不織布マスクを着用し、
それがない場合でも、繰り返し洗うことによって再使用もできるガーゼマスクを着用することによって、自他ともに感染の機会を減らしていくことが重要となると考えられるのである。
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