SARSとMERSと新型コロナウイルス肺炎の致死率の比較と三つのウイルス感染症の具体的な特徴の違い
前回の記事で書いたように、今回新たに発見されることになった2019-nCoVと呼ばれる新型コロナウイルスとSARSコロナウイルスとMERSコロナウイルスという人間に対して比較的重症の肺炎を引き起こす危険性のある三種類のウイルスは、
同じコロナウイルスのなかでもベータコロナウイルスと呼ばれるウイルスのグループに分類されることになるのですが、
それでは、こうした新型コロナウイルスとSARSコロナウイルスとMERSコロナウイルスという三種類のベータコロナウイルスによって引き起こされることになる
SARSとMERSと新型コロナウイルス肺炎という三つのウイルス性の呼吸器疾患は、それぞれ具体的にどのような特徴を持つウイルス感染症であると考えられ、
それぞれの感染症の致死率は、現時点においては、だいたいどの程度の致死率であると推計されることになるのでしょうか?
SARSとMERSと新型コロナウイルス感染症の具体的な特徴の違い
そうすると、まず、
SARSコロナウイルスによって引き起こされる呼吸困難や肺炎などを主症状とするウイルス性の呼吸器疾患にあたるSARS(重症急性呼吸器症候群)は、
2002年11月に中国の広東省で最初の症例が確認されたのち、中国や香港を中心に、カナダ、アメリカ、モンゴル、フィリピン、ベトナム、台湾などといった世界各地へと感染を拡大していくことになり、
こうしたSARSの感染者は、公式の報告においては、広東省や香港を中心に8096人が感染して、37ヶ国において合計で774人が死亡したとされています。
そして、それに対して、
MERSコロナウイルスによって引き起こされる重症の肺炎や下痢や腎不全などの症状を引き起こすウイルス性の呼吸器疾患にあたるMERS(中東呼吸器症候群)は、
2012年9月にサウジアラビアのジェッダで最初の症例が確認されたのち、サウジアラビア、UAE、ヨルダン、カタール、オマーン、イラン、クウェート、イエメン、レバノンといった中東諸国のほか韓国においても感染を拡大していくことになり、
こうしたMERSの感染者は、公式の報告においては、2015年時点において、世界各地で合わせて1293人が感染して458人が死亡したとされています。
そして、今回新たに発見されることになった
2019-nCoVと呼ばれる新型コロナウイルスによって引き起こされる発熱や乾いた咳、呼吸困難や肺炎などを主症状とするウイルス性の呼吸器疾患にあたるCOVID-19と呼ばれる急性呼吸器疾患は、
2019年12月に中国の武漢市において最初の症例が確認されたのち、湖北省を中心とする中国各地から香港、韓国、日本、シンガポール、タイ、マレーシア、ベトナム、台湾、オーストラリア、アメリカ、フランス、ドイツ、イギリス、カナダなどといった世界の大部分の地域で大きく感染を拡大し続けていて、
こうした新型コロナウイルスの感染者は、公式の報告においては、2020年2月21日現在において、世界各地で合わせてすでに76818人が感染して2250人が死亡したとされていて、その人数は今後さらに大きく増えていくことが想定されています。
SARSとMERSと新型コロナウイルス肺炎の致死率の比較
そして、
こうしたSARSコロナウイルスとMERSコロナウイルスそして2019-nCoVと呼ばれる新型コロナウイルスという三つのベータコロナウイルスによって引き起こされる感染症の危険度を致死率という観点から評価した場合、
実際に感染が確認されている報告された症例の範囲内においては、
SARSの致死率は、774÷8096≒9.6%
MERSの致死率は、458÷1293≒35.4%
とされています。
そして、それに対して、
新型コロナウイルス肺炎の致死率は、2020年2月21日現在で報告がなされている実測値に基づくと、2250÷76818≒2.9%
と推計されることになる一方で、
2020年2月17日に行われたWHO(世界保健機関)のテドロス・アダノム事務局長の記者会見によれば、COVID-19の致死率は2%程度であるものの、高齢者になるほど致死率が高くなるとも語られています。
そして、以上のように、
こうしたSARSとMERSそして新型コロナウイルス肺炎という三つのウイルス性の呼吸器疾患の世界全体における暫定的な致死率を互いに比較していくと、
SARS(重症急性呼吸器症候群)の致死率は9.6%
MERS(中東呼吸器症候群)の致死率は35.4%
新型コロナウイルス肺炎の致死率は2~2.9%
と推計されることになると考えられることになるのです。
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次回記事:新型コロナウイルスとSARSとMERSの危険性の比較、致死率と感染力という二つの観点に基づくウイルスの危険性の評価
前回記事:七種類のコロナウイルスの具体的な特徴とウイルス学における分類
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