ゴルゴンの女王メドゥーサと英雄ペルセウスの戦いとペガサスの誕生、古代ギリシア神話の英雄ペルセウスの物語④
ヘルメスから与えられた金剛の鎌と、アテナから与えられた青銅の盾、そして、冥界の王ハデスのものであった隠れ兜という神々の力が与えられた三つの武具と、
翼の生えたサンダルと、キビシスの袋という二つの装備品とを合わせた全部で五つの武具と装備品を手に入れることによって、ゴルゴンの怪物と渡り合うことができるだけの力を手にした英雄ペルセウスは、
その後、ゴルゴンの女王であるメドゥーサの首を取るために、オケアノスのかなたにあるとされるゴルゴンの住む土地へと向けて翼の生えたサンダルを使って空を飛んでいくことになります。
蛇の髪と黄金の翼を持つ三姉妹のゴルゴンと女王メドゥーサ
ゴルゴンの怪物たちは、古代世界を取り巻く伝説上の巨大な大河にあたるオケアノスのかなたの地に住んでいる三姉妹の醜い女の怪物であるとされていて、
彼女たちの頭からは髪の代わりに無数の毒蛇が生えていて、竜のウロコで覆われた頭を持ち、口からは猪のような大きく鋭い牙が生え、手は青銅でできていて、背中に生えた黄金の翼を使って空を飛ぶこともでき、見たものすべてを石に変える恐ろしい魔力を持っていたと伝えられています。
そして、
ステノー、エウリュアレー、メドゥーサという三姉妹のゴルゴンのうちの三女にあたるメドゥーサ(Μέδουσα)は、その名がもともと古代ギリシア語において「支配する女」すなわち「女王」のことを意味する言葉であったように、
一番下の妹でありながらゴルゴンの怪物たちを束ねる首長として役割を果たしていたと考えられることになるのですが、
そうしたゴルゴンの女王であったメドゥーサは、かつて海の神ポセイドンの愛人だった時の美しい女性の姿の面影をわずかに残していたため、他の残りの姉のゴルゴンたちとは違い、闇の怪物としての不死の力は持っていなかったと考えられることになるのです。
ゴルゴンの女王メドゥーサと英雄ペルセウスの戦いとペガサスの誕生
そして、
そうしたオケアノスのかなたにあるゴルゴンの住む土地へとたどり着いた英雄ペルセウスは、ゴルゴンたちが眠りについている隙に、彼女たちの住みかへと忍び込み、ゴルゴンの女王であるメドゥーサに闘いを挑むことになります。
ペルセウスは、彼女の眼が持つ見た者を石へと変える魔力を避けるために、顔をそむけながら、音と気配だけを頼りに、メドゥーサのもとへと近づいていくことになるのですが、
やがて、怪物を仕留めるのに十分な距離にまで近づくと、
ペルセウスは、敵の位置を見定めるために、アテナから与えられた青銅の盾を鏡のように使って、盾に映るメドゥーサの姿を捉えたうえで、その首へと向けて金剛の鎌を振り下ろして、メドゥーサの首を取り、その力をキビシスの袋の中に封印することによって、ゴルゴンの女王であるメドゥーサ退治の偉業を成し遂げることになります。
そして、この時、
英雄ペルセウスによって切り落とされたメドゥーサの首の傷のなかから、メデューサの血ともに生まれたのが有翼の白馬として有名なペガサスであったと語り伝えられているのですが、
その後、ペルセウスは、
メドゥーサの断末魔の悲鳴を聞いて飛び起きた残りの二体の不死のゴルゴンたちに追われていくなか、
冥界の王ハデスのものであった隠れ兜の力を使ってその姿をくらましたうえで、行きと同じように翼の生えたサンダルを使って空を飛んでいったとも、
メドゥーサの首から血しぶきと共に生まれた有翼の白馬であるペガサスに乗って天空を駆け抜けていったとも語り伝えられていくことになるのです。
・・・
次回記事:英雄ペルセウスによる王女アンドロメダの救出と王弟ピーネウスの陰謀、古代ギリシア神話の英雄ペルセウスの物語⑤
前回記事:英雄ペルセウスの五つの武具と装備品とゴルゴンの姉妹の灰色の魔女たちとの邂逅、古代ギリシア神話の英雄ペルセウスの物語③
「ギリシア神話」のカテゴリーへ