南十字星および南十字座の星の名前と由来とは?南天の指極星としてのアクルックスとガクルックスという青と赤の二つの星
南十字星(みなみじゅうじせい)とは、南天の天の川沿い、天の南極の近くに位置する小星座にあたる南十字座(みなみじゅうじざ)の中心となる四つの星のことを意味する言葉であり、
こうした四つの星が形づくるひし形の図形の対角線を結ぶと南の夜空に十字架の形が描かれていくことになるため、日本語では南十字星、英語ではサザンクロス(Southern Cross)と呼ばれることになると考えられることになります。
そして、
こうした南十字星と呼ばれる星々は、北極星が見えなくなる南半球においては、航海の際の方位を知る目印として用いられることでも有名な星として位置づけられることになるのですが、
天文学においては、こうした南十字星や南十字座を構成する主要な星としては、具体的にどのような星の名前が挙げられることになると考えられることになるのでしょうか?
南十字座のラテン語における名称の由来と星座を構成する主要な五つの星の名前
そうすると、まず、
こうした南十字星と呼ばれる四つの星を中心とする南天における小星座にあたる南十字座は、英語ではクラックス(Crux)と呼ばれることになるのですが、
こうした英語におけるCruxという言葉も、もともとは、ラテン語において十字架のことを意味するcrux(クルックス)という同じ綴りの単語に由来する言葉として位置づけられることになります。
そして、
こうした南十字星および南十字座を構成している主要な星の名前としては、上記の図において示したように、
アクルックス、ミモザ、ガクルックス、イマイ、そして、ギナンという全部で五つの星の名前を挙げていくことができると考えられることになるのです。
南十字座を構成する五つの星の具体的な特徴と名称の由来とは?
こうした十字座を構成する主要な五つの恒星のうち、はじめに挙げた
アクルックス(Acrux)とは、南十字座のなかで最も南に位置する一等星の明るさもつ青白い光を放つ星であり、
この星の呼び名にあたるアクルックス(Acrux)は、この星の学名にあたるアルファ・クルキス(Alpha Crucis)をそのまま略していく形で名づけられた名称であると考えられることになります。
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そして、その次に挙げた
ミモザ(Mimosa)とは、南十字座において十字架の西の部分に位置する一等星の明るさもつ青白い星であり、
この星の呼び名にあたるミモザ(Mimosa)は、ラテン語において日本でいうところのオジギソウの一種として位置づけられることになるピンク色の花を咲かせるマメ科の植物のことを意味していて、
この言葉の大本の起源は、古代ギリシア語において、言葉を使わずに身ぶりだけで表現する演劇にあたるパントマイムの役者のことを意味するミモス(μῖμος)という単語に求められることになると考えられることになります。
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そして、その次に挙げた
ガクルックス(Gacrux)は、南十字座において十字架の北の部分に位置する二等星の明るさもつ赤い光を放つ星であり、
この星の呼び名にあたるガクルックス(Gacrux)は、この星の学名にあたるガンマ・クルキス(Gamma Crucis)をそのまま略していく形で名づけられた名称であると考えられることになります。
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また、その次に挙げた
イマイ(Imai)は、南十字座において十字架の東の部分に位置する三等星の明るさもつ青白い星であり、
この星の呼び名にあたるイマイ(Imai)は、エチオピアに住むムルシ族の人々が、川の氾濫の時期を知るための指標としてこの星を用いていて、彼らの住む土地を流れる川の土手に生えている川の水位の指標となる草の名前をとってつけられた名称であると考えられることになります。
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そして、最後に挙げた
ギナン(Ginan)は、南十字座において十字架の形を作っている四つの星の右下に位置する少し小さな四等星の明るさをもつオレンジ色の星であり、
この星の呼び名にあたるギナン(Ginan)は、オーストラリアの先住民にあたるアボリジニの一派であるワダマン族の人々によって歌の虫といった意味を表す言葉として呼び表されてきた名称であると考えられることになるのです。
南天の指極星としてのアクルックスとガクルックスという青と赤の二つの星
そして、
こうした南十字座を構成する主要な五つの星のうち、そうした十字架の形を描いていくことになる星座の図形の南北の頂点として位置づけられることになるアクルックスとガクルックスという二つの星については、
そうした南十字座において、青と赤という対照的な色彩を放っているアクルックスとガクルックスという二つの星を結んだ線分を、
青い星にあたるアクルックスの方向へと線分の長さが5倍になる分だけ伸ばしていくと、ちょうど天の南極の位置へと到達することになります。
そして、こうしたことから、
南十字座および南十字星に含まれる星々のなかでも、そうしたアクルックスとガクルックスという二つの星は、天球上において天の南極を指し示す指標となる南天の指極星にあたる星としても位置づけられていくことになるのです。
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次回記事:ニュージーランドの国旗の南十字星が赤い理由とは?マオリ族やイギリス商船旗との関係と十字架の北の部分に位置する赤い星
前回記事:マオリ族の死生観とは?マオリ神話に基づく霊的な生命に満ちた根源的な世界への回帰としての死と人類の原罪に基づく死の解釈
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