冬の月の高度が高くなる理由とは?冬の時期の満月の日周軌道において南中時の月の高度が最も高い地点に位置づけられる仕組み
前回の記事で書いたように、実際に地球上から観測されることになる月の高度は、基本的には、満月を中心とする時期に最も高くなる傾向にあると考えられ、
そうした満月の時における月の高さは、太陽の高度の変化のあり方とは反対に、一年のうちの冬至の時期を中心とする冬の季節において最も高度が高くなると考えられることになるのですが、
それでは、いったいなぜ、
地球からの観測において、こうした冬の季節において満月の状態にある冬の月の高度は一年の中で最も高くなる時期を迎えていくことになると考えられることになるのでしょうか?
冬の時期における天球上の太陽と満月の位置関係
そうすると、まず、上記の図において示したように、
地球における赤道が天球上に投影された大円にあたる天の赤道を基準とした天体座標系である赤道座標において、
冬至の時期を中心とする冬の季節における太陽の位置は、天球上における太陽の年周軌道にあたる黄道における赤緯の値がほぼ最小となる地点に位置することになります。
そして、上記の図において示したように、
地球上からの観測において月の全面が輝いていて真ん丸の状態として観測されることになる満月の状態にある時には、太陽と月が地球から見て正反対の方向に位置することになるため、
こうした冬至の時期を中心とする同じ冬の季節における満月の位置は、太陽の位置とちょうど正反対の天球上の地点に位置することになると同時に、月の月周軌道にあたる白道における赤緯の値がほぼ最大となる地点に位置することになると考えられることになるのです。
冬の時期の満月の日周軌道において南中時における月の高度が最も高い地点へと位置づけられる仕組み
それでは、
こうした冬の時期における太陽と月の天球上の位置からは、具体的にどのような形でそうした冬の時期における太陽と月の日周軌道における南中した時の高度のあり方を導き出していくことができるのか?ということについてですが、
それについては、上記の図において示したように、
天球上の太陽と月の軌道にあたる黄道と白道の上に位置づけられることになる冬至の時期を中心とする冬の季節における太陽と満月のそれぞれの位置を、
地球における自転運動のあり方と対応させていくように、地球における北極と南極を結んだ直線にあたる地軸を中心として、天球ごと回転させていくことによって、
東の空から昇って西の空へと沈んでいくことになるそうした冬の時期における太陽と満月の日周軌道のあり方を導き出していくことができると考えられることになります。
そして、具体的には、上記の図において示したように、
こうした冬至の時期を中心とする冬の季節における太陽の日周軌道のあり方は、南寄りの東の空から昇ってきて南の低い空を通って南寄りの西の空へと沈んでいくことになるのに対して、
同じ冬至の時期を中心とする冬の季節における満月の日周軌道のあり方は、北寄りの東の空から昇ってきて南の高い空を通って北寄りの西の空へと沈んでいくことになると考えられることになります。
そして、以上ように、
こうした冬至の時期を中心とする冬の季節においては、
太陽の側がその天球上の軌道にあたる黄道における赤緯がほぼ最小となる地点へと位置づけられることになる一方で、それとは反対に、満月の側は、その天球上の軌道にあたる白道における赤緯がほぼ最大となる地点へと位置づけられていくことによって、
太陽の日周軌道においては、南中時における太陽の高度が最も低い地点へと位置づけられることになるのに対して、
満月の日周軌道においては、南中時における月の高度が最も高い地点へと位置づけられていくことになると考えられることになるのです。
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次回記事:夏の月の高度が低くなる理由とは?夏の時期の満月の日周軌道において南中時の月の高度が最も低い地点に位置づけられる仕組み
前回記事:月の高さが最も高くなるのは一年のどの時期なのか?実際に地球上から観測される月の高度が満月の時期に最も高くなる理由
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