月の高さが最も高くなるのは一年のどの時期なのか?実際に地球上から観測される月の高度が満月の時期に最も高くなる理由
夏の時期になると、北半球においては、南中時における太陽の高度がどんどん高くなっていき、一日置ける昼の長さが長くなっていくことによって、一年のなかで最も暑い季節を迎えていくことになりますが、
それでは、このように、
太陽の高さは一年のうちの夏至の時期を中心とする夏の季節において最も高度が高くなるのに対して、
月の高さが最も高くなるのは、一年のうちのどの時期にあたることになると考えられることになるのでしょうか?
天球上における月の高度の変化のあり方と黄道と白道との関係
そうすると、まず、詳しくは前回の記事で考察したように、
そもそも、天球上における月の軌道のあり方は、黄道と呼ばれる円周軌道をちょうど一年かけて西から東へと移動していくことになる太陽の軌道のあり方とは異なり、
白道と呼ばれる黄道から約5.9度傾いた円周軌道を約27.3日の時間をかけて西から東へと一周していくことになるため、
そうした天球上における月の高度は、一年における季節の移り変わりというよりは、月の満ち欠けが生じていくことになる一月ほどの周期のなかで大きく変化していくことになると考えられることになります。
また、厳密な意味においては、
こうした白道と呼ばれる月の月周軌道のあり方自体が、その軌道の基準点となる白道と黄道の交点の位置自体が東から西へと逆行していく形で徐々にずれていってしまうことになるように、不規則で複雑な軌道を描いていくことになるとも考えられることになるため、
そういった意味では、
そうした天球上における月の高度のあり方については、一概に、一年のうちのどの時期において高度が最も高くなるといったことは、必ずしも明確には定義することができないと考えられることになるのです。
実際に地球上から観測される月の高度が満月の時期に最も高くなる理由
しかし、その一方で、
実際に地球上から観測されることになる月の高度のあり方については、一年における季節の移り変わりに基づくある程度の規則的な変化を見いだしていくことができると考えられることになります。
例えば、
月が太陽と地球から見て同じ方向に来てしまう新月の時期には、地球上から観測においては、実際には月の姿が地球からは見えなくなってしまうことになりますし、
三日月の時期においては、月は日没の2時間ほど後にすぐに西の空へと沈んで行ってしまうことになるので、
そうした三日月の時期には、南中時における月の高度がいくら高くても実際に地球上から観測されることになることになる月の高さは、西の空へと沈んでいく直前の低い高度として観測されることになると考えられることになります。
そして、それに対して、
月が太陽が地球から見て正反対の方向に位置することになる満月の時期においては、月は日没と共に昇り、真夜中に南中したのちに、日の出と共に沈んでいくことになるので、
実際に地球上から観測されることになる月の高度のあり方は、基本的には、そうした満月を中心とする時期において最も高くなる傾向にあると考えられることになるのです。
そして、
そうした満月を中心とする時期における月の高度のあり方が一年における季節の移り変わりのなかでどのように変化していくことになるのか?ということについて考えていった場合、
一言でいうと、
そうした満月の時期を中心とする月の高さは、太陽の高度の変化のあり方とは反対に、
一年のうちの冬至の時期を中心とする冬の季節において最も高度が高くなるのに対して、一年のうちの夏至の時期を中心とする夏の季節において最も高度が低くなると考えられることになるのですが、
次回の記事では、
いったいなぜ、こうした満月の時期における月の高さは冬の季節に最も高くなると考えられるのか?ということの具体的な理由について詳しく考えていってみたいと思います。
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次回記事:冬の月の高度が高くなる理由とは?冬の時期の満月の日周軌道において南中時の月の高度が最も高い地点に位置づけられる仕組み
前回記事:黄道と白道の違いとは?②月の軌道が太陽の軌道と比べて不規則的で複雑な軌道を描く理由
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