安息日とは何か?旧約聖書の創世記と出エジプト記におけるモーセの言葉に基づく具体的な定義と由来
安息日(あんそくび)とは、ユダヤ教やキリスト教などにおいて、仕事を休んで礼拝を行う聖なる日を意味する言葉として定義されることになりますが、
それでは、こうした安息日と呼ばれる日は、
ユダヤ教やキリスト教の聖典にあたる旧約聖書のうちの具体的にどのような記述に基づいて、こうした聖なる日として位置づけられることになっていったと考えられることになるのでしょうか?
旧約聖書の創世記における安息日の大本の起源となる神による七日間天地創造の物語
そうすると、まず、
こうした安息日と呼ばれる日の大本の由来については、
旧約聖書の最初の書である創世記において語られている神による天地創造の物語のなかで語られている以下のような記述のうちに、
すでに、そうした安息日と呼ばれる聖なる日の起源となる記述を見いだしていくことができると考えられることになります。
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初めに、神は天地を創造された。地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を動いていた。
神は言われた。「光あれ。」こうして、光があった。神は光を見て、良しとされた。神は光と闇を分け、光を昼と呼び、闇を夜と呼ばれた。
夕べがあり、朝があった。第一の日である。
神は言われた。「水の中に大空あれ。水と水を分けよ。」神は大空を造り、大空の下と大空の上に水を分けさせられた。そのようになった。神は大空を天と呼ばれた。
夕べがあり、朝があった。第二の日である。…
神はお造りになったすべてのものを御覧になった。見よ、それは極めて良かった。
夕べがあり、朝があった。第六の日である。
天地万物は完成された。
第七の日に、神は御自分の仕事を完成され、第七の日に、神は御自分の仕事を離れ、安息なさった。
この日に神はすべての創造の仕事を離れ、安息なさったので、第七の日を神は祝福し、聖別された。
(旧約聖書「創世記」1章1節~2章3節)
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つまり、上述した旧約聖書の創世記における神による天地創造の物語についての記述においては、
神は天地創造を行っていく際に、一日目には光と闇、そして、昼と夜とを分けてつくり上げたのち、二日目には大空と海とを分けてつくり上げていくことになり、
六日目にまでに魚や鳥や動物そして人間といったすべての生き物たちを創造したうえで、七日目に自分の仕事が完成したのを見て安息の時を迎えることになったということが語られていると考えられることになります。
そして、
こうした旧約聖書の創世記において記されている天地創造の物語における七日目の神の安息についての記述が大本の起源となって、こうした一週間の七日目にあたる日を安息日として聖別するという考え方が生まれていくことになっていったと考えられることになるのです。
出エジプト記のモーセの言葉において示されている神の安息日と人間の安息日
そして、
こうした安息日と呼ばれる聖なる日についての記述がより具体的で明確な形で示されている箇所としては、
旧約聖書の出エジプト記において、預言者モーセが神から与えられた10の戒律である十戒(じっかい)の意味を解き明かす言葉が書き記されている以下のような記述が示されている箇所を挙げることができると考えられることになります。
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安息日を心に留め、これを聖別せよ。
六日の間働いて、何であれあなたの仕事をし、七日目は、あなたの神、主の安息日であるから、いかなる仕事もしてはならない。あなたも、息子も、娘も、男女の奴隷も、家畜も、あなたの町の門の中に寄留する人々も同様である。
六日の間に主は天と地と海とそこにあるすべてのものを造り、七日目に休まれたから、主は安息日を祝福して聖別されたのである。
(旧約聖書「出エジプト記」20章8節~2章11節)
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このように、上記の旧約聖書の出エジプト記におけるモーセの言葉においては、
旧約聖書の創世記において記されていた神による七日間の天地創造の物語の意味が改めて語られていくなかで、神のことを信じる人々も、そうした神の安息の日を心に留めることによって、
週のはじまりから六日目までの六日間の間は自分の仕事に励んでしっかりと蓄えを成したうえで、七日目には休息をとって神への祈りと安息の時をもつようにすることが必要であるということが示されていると考えられることになります。
そして、以上のように、
こうした旧約聖書の創世記と出エジプト記における二つの記述に基づいて、旧約聖書を聖典とするユダヤ教やキリスト教といった宗教においては、
一週間の七日目にあたる日が、人々が仕事を休んで神への感謝の祈りにすべての思いを捧げていくべき聖なる日である安息日として位置づけられていくことになっていったと考えられることになるのです。
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次回記事:安息日の語源とは?ヘブライ語で「休む」「止める」といった意味を表す言葉を語源とするシャバットとスペイン語の土曜日
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