アダマスやアダマンチウムと呼ばれる伝説上の金属のギリシア神話における名称の由来とは?メデューサやウルヴァリンとの関係
前回の記事で書いたように、ギリシア神話における宇宙のはじまりの物語のなかでは、天空を司る神にして宇宙を総べる最初の神々の王でもあったウラノスに対して、
のちに第二代の神々の王として君臨することになるクロノスが、大地を司る女神であるガイアから授けられたアダマスの鎌とも呼ばれる金剛の鎌を武器とすることによってその支配を打ち破っていくことになるのですが、
こうしたギリシア神話において登場するアダマスあるいはアダマンチウムなどと呼ばれることもある伝説上の金属は、こうしたギリシア神話の物語のなかでは、具体的にどのような特徴を持つ金属として位置づけられていると考えられることになるのでしょうか?
ギリシア神話におけるアダマスの剣と怪物メデューサの関係と古代ギリシア語におけるアダマスという言葉の意味
そうすると、まず、
こうしたアダマス(ἀδάμας)という言葉は、古代ギリシア語において、「征服され得ぬもの」「不屈なるもの」といった意味を表す言葉であると考えられ、
ギリシア神話においても、こうしたアダマスと呼ばれる伝説上の金属は、ほかのいかなる物質によっても破壊されることがなく、この世界に存在するすべてのものを切り裂くことができるという
この世界に存在するあらゆる物質のなかで、最も硬い金属にして、無敵の武器へと鍛え上げていくことができる至高の金属として位置づけられていると考えられることになります。
そして、
ギリシア神話の物語のなかでは、こうしたアダマスと呼ばれる伝説上の金属によってつくられた至高の武具であるアダマスの鎌あるいはハルパーとも呼ばれる湾曲した刀剣は、
前述したように、最初の神々の王であったウラノスの体を切り裂くのにクロノスが用いた大地を司る女神であるガイアから授けられた武器として登場するほか、
その目を見た者を石にしてしまう怪物として有名なメドゥーサを退治する際に、用いられた武器としても位置づけられていて、
ギリシア神話における半神半人の英雄であるペルセウスは、知恵の女神であるアテナから与えられたギリシア語ではアイギス、英語ではイージスの盾と呼ばれる至高の防具と、
旅人の守護神であるヘルメスから与えられたアダマスの剣という至高の武具を手に入れることによって、怪物メデューサを打ち破るための力を手にすることになったと考えられることになるのです。
ウルヴァリンの爪と骨格の材料となったアダマンチウム合金とギリシ神話における至高の武具としてのアダマスとの関係
そして、
こうした古代ギリシア語におけるアダマスという言葉は、その後、こうしたギリシア神話における伝説上の至高の金属のことを意味するだけではなく、
ダイアモンドに代表されるような硬い金属や、金などの高価な金属、さらには、磁鉄鉱や磁石などの魔法のような力によって互いを引き付け合う鉱物などのことを意味する言葉としても広く用いられていくことになっていったと考えられることになります。
ちなみに、
こうした古代ギリシア語におけるアダマス(ἀδάμας)という言葉は、
現代の英語においてはアダマント(adamant)、あるいは、アダマンチウム(adamantium)といった呼び名で呼ばれることもあり、
例えば、
X-メンやアヴェンジャーズといった現代のアメリカン・コミックや映画作品のなかで、登場するヒーローたちのうちの一人であるウルヴァリンは、
物語のなかでは世界最硬の金属であるとされているアダマンチウム合金を体内の骨格に組み入れられることによって、いかなる武器によっても破壊されることにない堅固なる不屈の肉体と、すべてのものを切り裂く無双の爪を手にすることになるのですが、
こうしたX-メンやアヴェンジャーズなどといった現代のSF作品になかで登場するアダマンチウム合金といった架空の金属のことを意味する言葉も、
もともとは、
こうした古代ギリシア神話における大地の女神ガイアによって第二代の神々の王として君臨していくことになるクロノスへと授けられ、
そののちに、英雄ペルセウスのメデューサ退治においても用いられることになったアダマスの鎌やアダマスの剣などと呼ばれる至高の武具の材料となった伝説上の金属に由来する言葉であると考えられることになるのです。
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次回記事:ティターン十二神の具体的な特徴とは?それぞれの神が司る世界の領域や固有の権能とギリシア神話における古代の神々の系譜
前回記事:クロノスによるウラノスの王位の簒奪とギリシア神話におけるアダマスの鎌から滴る血から生じた三人の復讐の女神
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