ギリシア神話の原初の神々にあたる四柱の神とは?天と地と暗黒と愛を司るウラノスとガイアとエレボスとエロスの関係
前回の記事で書いたように、ギリシア神話の宇宙開闢の物語において、世世界のはじまりに際してカオス(空隙、混沌)から生じた最初の神々としては、
ガイア(大地)とウラノス(天空)と呼ばれる二柱の神々の名が挙げられることになるのですが、ギリシア神話におけるこれとは別の物語の記述のなかでは、
ギリシア神話における原初の神々として位置づけられることになる神々の名前としては、こうしたガイア(大地)とウラノス(天空)と呼ばれる神々のほかにも、エロス(愛)とエレボス(暗黒)という二柱の神々の名もさらに加えられていくことになります。
愛を司るエロスと暗黒を司るエレボスそしてギリシア神話における天界と地上と冥界の位置関係
そうすると、まず、冒頭でも述べたように、
ギリシア神話においてはエロス(Eros)と呼ばれる神は、美と愛の女神であるアフロディテの息子であると同時に、こうした世界のはじまりの時と共に生まれた原初の神々の一柱としても位置づけられていて、
こうしたエロスと呼ばれる神は、男女の間の恋愛や恋心を司る神であると同時に、より抽象的な意味においては、異なるもの同士を互いに引きつけ合うというある種の引力のようなものを司る存在としても位置づけられていると考えられることになります。
そして、それに対して、
ギリシア神話においてエレボス(暗黒)と呼ばれる存在は、地下に位置する冥界の最下層にあるとされているタルタロスと呼ばれる牢獄や奈落の存在とも同一視されていくことになるのですが、
こうしたタルタロスと呼ばれる冥界の最下層にあたる場所の具体的な位置は、ギリシア神話においては、
「大地と天空との距離と同じ分だけ大地から離れた場所」にあると語られていくことになります。
つまり、
ギリシア神話における世界観においては、こうしたウラノス(天空)とガイア(大地)とエレボス(暗黒)と呼ばれる三柱の神々が宇宙のはじまりの太古の時代においてそれぞれ司っている
天界と地上と冥界と呼ばれる三つの領域は、それぞれ天空と地上との距離と地上と冥界の最下層にあたるタルタロスとの距離とが等距離であるという互いに等しい関係にある領域として位置づけられていたと考えられることになるのです。
天界と地上と冥界という三つの領域を結びつける愛の神エロスの存在
そして、以上のように、
こうしたウラノス(Uranos)とガイア(Gaia)とエレボス(Erebos)とエロス(Eros)と呼ばれる原初の神々として位置づけられることもある四柱の神々は、
それぞれ、天界と地上と冥界そして愛という四つの存在を象徴する神々として位置づけられることになると考えられることになります。
そして、
こうした四柱の神々を原初の神々として位置づけるギリシア神話の物語のなかでは、
天空を司る神であるウラノスと、大地を司る女神であるガイアという二柱の神が、愛の力を司る神であるエロスの働きによって互いに結びつけられていくことによって、二人の間には、
ティターン十二神と呼ばれる巨神族にあたる古代の神々や、ヘカトンケイルやキュクロプスなどの巨人たちといった、その後のギリシア神話の物語を彩っていくことになる様々な特徴を持った神や女神や怪物たちが生まれていくことになるのですが、
そういった意味では、
こうしたウラノス(天空)とガイア(大地)とエレボス(暗黒)とエロス(愛)と呼ばれる四柱の神々の存在を原初の神々として位置づけているギリシア神話の物語においては、
天界と地上と冥界と呼ばれるギリシア神話の世界を構成している三つの領域は、必ずしも、互いに孤立した別々の領域として位置づけられているわけではなく、
こうした三つの領域のそれぞれに住んでいる神々と人間さらには怪物や魔物といった様々な存在が、
エロスが持つ愛の力によって互いに引きつけられて交流を結んでいくことによって、多彩な物語が展開していくことになるというギリシア神話における壮大な世界観が示されているとも解釈していくことができると考えられることになるのです。
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次回記事:大地の女神ガイアが天空神ウラノスの母であると同時に妻でもある理由とは?カオスの捉え方の違いに基づく哲学的な解釈
前回記事:ギリシア神話の最初の神とは?ガイア(大地)とウラノス(天空)の宇宙開闢の物語とカオス(混沌)の存在
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