ヘリコプターの略称として「ヘリ」という表現を用いるのは不適切なのか?語源的な意味と実用的な意味における判断の違い
ヘリコプターと呼ばれるらせん状の形状をした回転翼(プロペラ)を高速で回すことによって発生した垂直方向への揚力を利用して飛行する空を飛ぶ乗り物のことを指して、
日本においては、一般的に、「ヘリ」という略称が用いられることが多いと考えられることになりますが、
その一方で、
こうしたヘリコプターという言葉の略語として「ヘリ」という表現を用いることは、英和辞典などにおいては、アメリカやイギリスなどといった英語を母国語とする国においてはあまり広く用いられていない和製英語の一種として位置づけられることもあります。
そこで、今回の記事では、
それでは、いったいなぜ、こうした「ヘリ」という略称が用いることが英語における本来の適切な表現ではないとされるとされることがあるのか?
また、英語における一般的な表現においては、こうしたヘリコプターという言葉の略称としては、具体的にどのような表現が用いられるケースが多いと考えられることになるのか?といったことについて考えていきたいと思います。
ヘリコプターを「ヘリ」と略すのが語源学的に不適切な表現である理由
そうすると、まず、
詳しくは前回の記事で書いたように、そもそも、
ヘリコプターという言葉は、らせん(螺旋)のことを意味するhelico-(ヘリコ)という接頭辞と、羽や翼のことを意味する-pter(プター)という接尾辞が結合してできた言葉であり、
こうしたヘリコプターという言葉の語の区切り方は、ヘリ・コプターではなく、ヘリコ・プターと区切るが語源学的には正しい区切り方であると考えられることになります。
したがって、そういった意味では、
日本において、こうしたヘリコプターという乗り物の呼び名として広く用いられている「ヘリ」という略し方は、この言葉が成立した大本の語源における本来の語の区切り方とは異なる部分で言葉が区切られているという意味において、
あまり語源学的には正しくない不適切な表現のあり方として位置づけられることになると解釈することもできると考えられることになるのです。
英語表現におけるヘリコプターという言葉の具体的な略し方とは?
しかし、その一方で、
実際には、英語においても、こうしたヘリコプターという言葉の本来の語源的な意味に基づく語の区切り方にしたがって、ヘリコ(helico)やプター(pter)などといった言葉がヘリコプターの略称として用いられているケースはほとんどなく、
一般的に、
英語においては、こうしたヘリコプター(helicopter)という乗り物の呼び名については、ブンブンと音を立てて飛ぶ鳥といった意味を持つワイリーバード(whirlybird)といった呼び名が用いられることがあるほか、
上述したような語源的な区切りを無視して、helicopterという単語の後半の6文字の部分だけをとってcopter(コプター)、
あるいは、よりくだけた表現としてchopper(チョッパー)などといった略語が用いられることが多いと考えられることになります。
また、
実用的な英語表現においては、helicopterという単語の残り前半部分の4文字をとって、日本語における表現と同様にheli(ヘリ)、
あるいは、よりくだけた表現としてあるいはhelo(ヘロ)といった表現がこうしたヘリコプターという言葉の略語として用いられたりすることもあるため、
そういった意味では、
こうした日本において広く用いられているヘリコプターという乗り物に対する呼び名にあたる「ヘリ」という略称は、
語源的な意味においては、言葉自体の成り立ちに基づく本来の語の区切り方を無視した少し不適切なところがある表現であるとは言えるものの、
実用的な表現としては、日本だけではなく、アメリカやイギリスなどといった英語を母国語とする国においても同様の語の区切り方が広く用いられている適切な表現のあり方であると解釈していくことができると考えられることになるのです。
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次回記事:ギリシア神話の最初の神とは?ガイア(大地)とウラノス(天空)による宇宙開闢の物語とカオス(混沌)の存在
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