寄生と共生の違いとは?両者に区分される全部で八つの生活形態の種類と不利益や損害といった観点に基づく具体的な特徴の違い
寄生と共生という二つの言葉の意味の違いについて、一言でまとめると、
寄生(きせい)とは、異なる種類の生物同士が一緒に生活していくなかで、一方の生物だけが利益を受けて、もう一方の生物は不利益や損害を受けている生活形態のあり方のことを意味するのに対して、
共生(きょうせい)とは、異なる種類の生物同士が一緒に生活していくなかで相互に影響を及ぼし合うような密接な関係を営んでいる生活形態のことを意味する言葉として定義することができると考えられることになります。
そして、そういった意味では、
広い意味においては、寄生とは共生の一つの形態として位置づけられる生活形態のあり方として位置づけられることになると考えられることになるのですが、
その一方で、
狭い意味においては、寄生に区分されることのない生物同士の密接な関係性のあり方のみがこうした共生と呼ばれる生活形態のあり方として区分されていくことになると考えられることになります。
そこで、今回の記事では、
こうした寄生と共生と呼ばれる二つの関係性のそれぞれに位置づけられることになる様々な生活形態の種類の区分のあり方について改めてまとめて記述していったうえで、
そうした寄生と共生という生物学における二つの生活形態のあり方には具体的にどのような点において主要な性質の違いを見いだしていくことができると考えられることになるのか?ということについて詳しく考察していきたいと思います。
寄生関係に分類される六つの生活形態の具体的な特徴の違い
そうすると、まず、
前者の寄生と呼ばれる関係性のうちに位置づけられることになる生物同士の関係のあり方は、そうした寄生と呼ばれる生活形態のあり方の具体的な特徴の違いに基づいて、
外部寄生と内部寄生と細胞内寄生、さらには、捕食寄生や社会寄生や労働寄生といった寄生形態のあり方へと区分されていくことになります。
そして、このうち、はじめに挙げた
外部寄生とは、ダニやシラミやノミなどの生物のように、寄生者となる生物が宿主の体の表面に付着する形で行われる寄生のあり方として定義されることになるのに対して、
内部寄生とは、サナダムシやアニサキスなどの寄生虫に代表されるように、寄生者となる生物が宿主の体内へと侵入する形で行われる寄生のあり方として定義されることになり、
細胞内寄生とは、マラリア原虫やリケッチアなどの病原体に代表されるように、寄生者となる生物が宿主の細胞の内部にまで侵入していく形で行われる寄生のあり方として定義されることになります。
また、その一方で、その次に挙げた
捕食寄生とは、寄生バチや冬虫夏草などに代表されるように、寄生者となる生物が宿主となる生物の内部において寄生生活を営んでいくなかで、最終的に宿主となる生物を捕食して食い殺してしまう寄生形態のあり方として定義されることになるのに対して、
社会寄生とは、サムライアリとクロヤマアリの関係などに見られるように、寄生者となる生物が宿主となる生物の社会性や集団性を利用して奴隷的な使役関係を結ぶことによって営まれる寄生形態のあり方、
労働寄生とは、グンカンドリによるエサの横取りの習性や、カッコウの托卵の習性などに見られるように、宿主となる生物がエサなどを確保するために費やしてきた労働力の成果を搾取することによって営まれる寄生形態のあり方としてそれぞれ定義していくことができると考えられることになるのです。
共生関係に分類される二つの生活形態の具体的な特徴の違い
そして、それに対して、そうした寄生と呼ばれる関係性のうちに位置づけられることのない
後者の狭義における共生関係のうちに位置づけられることになる生物同士の関係のあり方は、そうした共生と呼ばれる生活形態のあり方の具体的な特徴の違いに基づいて、主に、
相利共生と片利共生と呼ばれる二つの寄生形態のあり方へと区分されていくことになると考えられることになります。
そして、このうち、はじめに挙げた
相利共生とは、アリとアブラムシ、ヤドカリとイソギンチャク、あるいは、虫媒花と昆虫の関係や、人間と腸内細菌の関係などにおいても見られるように、
互いに密接な関係にある二つの種類の生物同士が両方とも利益を得ていて、互いに有益な関係を結んでいる状態のことを意味する言葉として定義されることになるのに対して、
片利共生とは、カクレウオとナマコ、コバンザメとクジラ、あるいは、コケ類や地衣類と一般的な樹木との間に成立する関係などに見られるように、
互いに密接な関係にある二つの種類の生物のうちどちらか一方の側だけが利益を得ていて、もう一方の側は何の利益も損害も受けていない状態のことを意味する言葉として定義されることになると考えられることになるのです。
・・・
以上のように、
こうした寄生と共生と呼ばれる二つの生活形態のあり方は、生物学的な定義に基づく狭義における意味においては、
寄生と呼ばれる生活形態のあり方は、外部寄生と内部寄生と細胞内寄生、さらには、捕食寄生や社会寄生や労働寄生といった六つの寄生形態のあり方へと区分されていくことになるのに対して、
共生と呼ばれる生活形態のあり方は、相利共生と片利共生と呼ばれる二つの共生関係のあり方へと区分されていくことになると考えられることになります。
そして、
こうした寄生と共生と呼ばれる二つの生活形態における具体的な特徴の違いについて、一言でまとめると、
前者の寄生と呼ばれる関係性においては、寄生者となる側の生物だけが一方的に利益を搾取していくことになり、もう一方の宿主となる側の生物は、程度の差こそあれ、必ず何らかの不利益や損害を一方的に受けることになってしまうのに対して、
後者の共生と呼ばれる関係性においては、片利共生の場合のようにどちらか一方の側の生物だけが利益を得ているケースはあるものの、そうした場合でも、もう一方の共生相手となる生物の側が不利益や損害を一方的に受けてしまうことはないといった点に、
両者の関係性のあり方における主要な性質の違いを見いだしていくことができると考えられることになるのです。
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次回記事:寄生という言葉の日常的な文脈と生物学的な定義における意味の違いとは?生物学の片利共生としての日常的な意味の寄生の定義
前回記事:社会寄生と労働寄生の生物学における定義とカッコウの托卵やサムライアリにおける社会寄生の具体的な仕組み
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