フグの漢字表記「河豚」や異名「てっぽう」の語源と古代ギリシア語に基づく学名の由来とは?「四本の大きな歯を持つ魚」

ふぐ刺しふぐ鍋白子料理卵巣の糠漬けといった珍味や、テトロドトキシンと呼ばれる猛毒を持つことなどで有名な魚の種類であるフグは、

漢字では「河豚」と表記されるほか、大阪などの関西地方では「てっぽう」と呼ばれていて、さらに、生物学における正式な学名では「テトラオドンティダエ」と表記されることになるのですが、

それでは、

こうした「河豚」「てっぽう」さらには「テトラオドンティダエ」といったフグ科の魚類のことを意味する言葉は、それぞれどのような言葉の由来に基づいて成立していった名称であると考えられることになるのでしょうか?

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フグの漢字表記である「河豚」とフグの異名である「てっちり」の由来

まず、

フグの漢字表記にあたる「河豚」という表記のあり方は、もともと、古代中国の黄河や揚子江の流域において古くから食用とされてきたメフグ(目河豚)と呼ばれるフグ科に属する魚類の一種の姿かたちがブタに似ていたのでこうした表記が用いられるようになったと考えられることになります。

そして、現代の中国語においては、フグのことを意味する漢字としては、主に、」(トゥン)あるいは「河」(フゥートゥン)といった表記が用いられることになるのですが、

中国においても、しばしば、日本と同様に、「河豚」(フゥートゥン)という表記が用いられているケースもあるので、こうした「河豚」という表記は、一応、日本だけではなく現代の中国においても共通するフグ科に属する魚のことを意味する漢字表記となっていると考えられることにます。

また、

冒頭でも述べたように、こうしたフグのことを意味する言葉としては、日本の大阪などを中心とする関西地方においては、「てっぽう」という表現もよく用いられることになるのですが、

こうしたフグのことを意味する「てっぽう」という表現は、フグが体内に持っている毒が強力であるために、むやみに食べようとすると、「毒にあたってまるで「鉄砲の弾に当たった」みたいにすぐに死んでしまうといった洒落と戒めを兼ねたような意味合いで、こうした表現が用いられるようになったと考えられることになります。

ちなみに、

冒頭でも挙げたフグ料理の一つであるふぐ鍋は、別名では「てっちり」といった呼び名で呼ばれることもありますが、

こうしたふぐ鍋の別名である「てっちり」という言葉も、もともとは、こうした関西地方におけるフグの異名である「てっぽう」という言葉が、

白身魚の切り身などを野菜や豆腐と一緒に熱湯で水煮にしたシンプルな鍋料理のことを意味する「ちり鍋」あるいは「ちり」という言葉と結びついてできた言葉であり、

すなわち、「てっぽうのちり鍋」といった意味で、こうした「てっちり」という言葉が用いられていると考えられることになるのです。

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「四本の大きな歯を持つ魚」のことを意味する古代ギリシア語に基づくフグの学名とテトロドトキシンという毒素の名称の由来

また、

こうしたフグ科に属する魚類の種族は、生物学の分野における正式な学名においては、Tetraodontidae(テトラオドンティダエ)と呼ばれることになるのですが、

こうしたTetraodontidaeという言葉は、もともとギリシア語において4を意味するtetra(テトラ)という接頭辞と、同じく古代ギリシア語において「歯」を意味するodon(オドン)という単語が結びついてできた言葉であり、

すなわち、「四本の大きな歯を持つ魚」といった意味で、こうした学名が名付けられることになったと考えられることになります。

実際に、

フグの口の中には、人間でいう前歯にあたる位置に、頑丈な板状の構造をした歯が上下に二本ずつ合わせて四本はえていて、

肉食性の魚類であるフグは、そうした四本の頑丈な歯を用いることによって、獲物となる甲殻類や貝類といった海洋生物を硬い殻ごと食い破って捕食していると考えられることになります。

ちなみに、

フグの毒として有名なテトロドトキシンという毒素の名称についても、こうしたフグ科に属する魚類のことを意味するギリシア語に基づく学名に由来していると考えられ、

こうしたフグ科に属する魚類の学名にあたるTetraodontidae(テトラオドンティダエ)という言葉と、「毒」のことを意味するtoxin(トキシン)という言葉が結びつけられることによって、

Tetrodotoxin(テトロドトキシンと呼ばれる毒素の名称が確立されることになると考えられることになるのです。

・・・

次回記事:フグ毒に分類される代表的な四種類の毒素の種類とは?パリトキシンと呼ばれるテトロドトキシンをも超える猛毒の神経毒

前回記事:テトロドトキシンを体内に蓄積する代表的な20種類の生物の種族と無毒性のフグの存在および毒素の具体的な利用方法の違い

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