肥満の犯人は炭酸飲料やジャンクにあらずって本当?②英文記事の検証

Wall Street Journalの記事「肥満の犯人、炭酸飲料やジャンクにあらず」の検証の第2回目です。

前回の日本語版記事の検証につづいて、
今回はさっそく、日本語版の記事の元になった英文記事の内容について見ていきましょう。

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低体重の人の方が肥満の人よりソーダと甘いお菓子を多く摂取している?

英文を日本語に訳出するときに、微妙なニュアンスの違いが出てしまうのはよくあることですが、

今回もそうしたところに原因があるのかもしれないと思い、読んでみました。

前回、日本語版の記事から引用した個所にあたる部分を、英語版の記事の方からも抜き出して引用してみると、以下のようになります。

引用文の下につけた丸カッコ内の日本語文は、なるべく直訳調に訳し直した拙訳です。

“The report was published by the Food & Brand Lab at Cornell University in Ithaca, N.Y.
(この研究報告はニューヨーク州のイサカにあるコーネル大学のフード&ブランドラボによって発表されました。)

“While a diet of chocolate bars and cheese burgers washed down with a Coke is inadvisable from a nutritional standpoint, are not likely to be a leading cause of obesity,” it said.…
(その研究報告によると「チョコレートバーやチーズバーガーをコーラで流し込むような食事は栄養学上の観点からは勧められないが、こうした食品が肥満の主要な原因である可能性は低い。」とのことです。)

Underweight Americans actually consumed more soda and sweet snacks than average-weight individuals,
(低体重のアメリカ人は、実際、普通体重の人よりもソーダと甘いお菓子を多く摂取していました。)

while overweight, obese, severely obese and morbidly obese individuals consumed less soda, sweet snacks and salty snacks than average-weight individuals.
(それに対して、過体重、肥満、重度の肥満、そして極度の肥満の人は、普通体重の人よりもソーダ、甘いお菓子、そしてスナック菓子を少なく摂取していました。)

Morbidly obese people (with a BMI of 44.9 or more) ate fewer sweet snacks and salty snacks. “
(BMIが44.9以上の極度の肥満の人々の方が、甘いお菓子やスナック菓子の摂食が少なかったのです。)

以上の英文記事の内容をまとめると、

低体重の人は、普通体重の人よりもソーダ甘いお菓子を多く摂取している。

過体重肥満重度の肥満、そして極度の肥満の人は、普通体重の人よりもソーダ甘いお菓子を少なく摂取している。

ということになります。

つまり、

低体重の人は、過体重、肥満、重度の肥満、そして極度の肥満の人よりもソーダと甘いお菓子を多く摂取している(consumed more soda and sweet snacks)

ということです。

以上が、前回とり上げた日本語版の記事に対応する部分の、英文記事の主張のまとめとなります。

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結局、英語版の記事も日本語版の記事と同じ内容だったってこと?

以上のまとめを見れば分かる通り、この英文記事の内容も、結論としては、

前回の日本語版の記事をまとめた、

痩せている人ほどお菓子を多く食べていて、太っている人ほどお菓子を食べる量が少ない

という主張と、ほぼ同じ内容、ということになります。

つまり、英文記事から日本語版の記事への翻訳は、正しくおこなわれていたことになり、

日本語版の記事の内容は、英文記事の内容と照らし合わせて正しい、

ということになるわけです。

しかし、

記事の内容が、その表現も含めてそっくりそのまま正しいとすると、

痩せている人ほどお菓子を多く食べていて、太っている人ほどお菓子を食べる量が少ない」ということも、正しいということになり、

ひいては、

お菓子を食べれば食べるほど、痩せ薬のように、どんどん痩せていく、という、

一般常識とはかけ離れた主張まで正しいということになってしまいます。

せっかく、元の英文記事までさかのぼって調べてみたかいもなく、

前回、直感的に、どこかおかしい、と感じた疑問が、
そっくりそのまま繰り越されてしまったわけです。

この主張が、やはり今までの常識から考えてあまりにもかけ離れていて、
このままでは論理的にもつじつまが合わないように思われるので、
納得できないとすると、

英文記事から日本語版の記事への翻訳の過程には問題がなかった以上、

考えられるのは、

① この英文記事のさらにおおもととなる科学論文からの要約の段階で問題が生じたのか?

それとも、

② 知らないうちに、甘いお菓子を多く食べるほど痩せるという、栄養科学上のコペルニクス的展開と言ってもいい、ノーベル賞級の新たな発見が本当になされていたのか?

はたまた、

③ もとになった科学論文も含めて最初から、全部、嘘っぱちだったのか?

という事態の、いずれかが起きていた、ということになります。

ここまで来たら、調べられるところまで調べきって、ことの真相を確かめないわけにはいきません。

そして、ことの真偽を確かめるためには、

少々骨が折れますが、

記事の元になったおおもとの科学論文にまでさかのぼって検証してみることが必要のようです。

<出典>
The Wall Street Journal.の英語版の記事
:”Soda and junk foods are not making you fat, study says“:

次回は?

次回の「肥満の犯人は炭酸飲料やジャンクにあらずって本当?③科学論文の検証」では、英語版の記事の元になった科学論文の内容について詳しく見ていきます。

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