植物細胞にのみ存在する二つの細胞小器官とは?液胞と葉緑体の具体的な機能や構造のあり方
前回書いたように、動物細胞の内部において見られる代表的な細胞小器官の種類としては、ミトコンドリアや小胞体、ゴルジ体、リソソーム、中心体といった小器官の名前が挙げられることになると考えられるのですが、
それに対して、
植物細胞においては、こうした通常の動物細胞には見られない細胞小器官の種類として、さらに、葉緑体と液胞という二つの細胞小器官の名前が挙げられることになると考えられることになります。
それでは、こうした葉緑体と液胞と呼ばれる細胞小器官とは、具体的にどのような構造と機能を持った細胞小器官であると考えられることになるのでしょうか?
葉緑体の構造と細胞内における具体的な機能のあり方
まず、
冒頭で挙げた植物細胞に特有の二つの細胞小器官のうちの前者である
葉緑体(ようりょくたい)は、通常の陸上植物の細胞内においては、主に楕円形の形状をしている細胞小器官であり、
葉緑体は、細胞の内部で光合成を行うことによって、細胞における生命活動のエネルギー源となるデンプンなどの有機化合物の生産を行う役割を担っていると考えられることになります。
そして、
こうした葉緑体においては、葉緑素(クロロフィル)などの光合成色素を用いて太陽光などから得られる光エネルギーを利用することによって、
水と二酸化炭素からグルコース(ブドウ糖)やデンプンなどの有機化合物を合成して酸素を放出するという形で光合成の反応が進められていくことになると考えられることになるのですが、
このほかにも、
葉緑体は、ミトコンドリアなどと同様に、二つの生体膜によって包まれた二重膜構造をしていて、
葉緑体DNAと呼ばれる細胞本体とは異なる自分独自のDNAを持っていることなどもその具体的な特徴として挙げられることになると考えられることになるのです。
液胞の構造と細胞内における具体的な機能のあり方
それに対して、
冒頭で挙げた二つの細胞小器官のうちの後者である
液胞(えきほう)は、液胞膜と呼ばれる一つの生体膜に包まれた不定形の形状をした細胞小器官であり、
主に、細胞内における物質の貯蔵などの役割を担っていると考えられることになります。
そして、
こうした液胞の内部に貯蔵される具体的な物質の種類としては、光合成によって生み出されたブドウ糖などのエネルギー源となる有機化合物や、細胞内の代謝によって生じた不要物や老廃物などが挙げられることになるのですが、
液胞においては、その内部において貯蔵されている水分量とミネラル成分などの分量を調節することによって、細胞内の浸透圧の調整などを行う働きもあると考えられることになります。
そして、
こうした液胞と呼ばれる細胞小器官は、光合成を行わない動物細胞の内部にはほとんど見らないか、たとえ存在している場合でも電子顕微鏡でしか見つけることができないほど極めて小さい姿をしているので、
液胞が細胞内で特定の役割を担うために分化した組織化された構造体として機能するという細胞小器官としての実質的な働きを満たすのは、やはり、動物細胞ではなく、植物細胞においてのみであると考えられることになります。
また、
こうした液胞と呼ばれる細胞小器官は、植物細胞の場合でも、細胞自体がまだ若いうちには、あまり発達することがないのですが、
植物体が成長していくにつれて、液胞の内部に代謝物が多くため込まれていくことによって、次第に大きく膨れ上がっていくことにり、十分に成長しきった植物体の細胞内においては、やがて、その大部分の容積が液胞によって占められることになっていくと考えられることになるのです。
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以上のように、
植物細胞においては、動物細胞において見られるミトコンドリアや小胞体、ゴルジ体やリソソームといった動物と植物の細胞の両者に共通する細胞小器官のほかに、
植物特有の能力である光合成の機能に対応する形で、さらに、葉緑体や液胞といった細胞小器官が存在すると考えられることになります。
そして、
こうした植物細胞に特有の二つの細胞小器官の細胞内における具体的な機能と構造のあり方について一言でまとめると、
葉緑体は、細胞内で光合成を行うことによって、エネルギー源となるデンプンなどの有機化合物の生産を行う役割を担う二重膜構造を持った主に楕円形の形状をした細胞小器官であるのに対して、
液胞は、細胞内における栄養源や不要物などの様々な物質の貯蔵や、細胞内における浸透圧の調整などの役割を担う液胞膜と呼ばれる一つの生体膜に包まれた不定形の形状をした細胞小器官であるといった点が、
こうした葉緑体と液胞の両者を特徴づける主要な機能や構造のあり方として挙げられることになると考えられることになるのです。
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次回記事:小胞体とは何か?粗面小胞体と滑面小胞体の違いとは?
前回記事:細胞小器官とは何か?代表的な五つの細胞小器官の種類と具体的な機能と構造のあり方のまとめ
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