飛沫感染と空気感染の違いとは?飛沫と飛沫核の定義の違いと両者に分類される代表的な感染症とウイルスの種類
飛沫感染とは、咳やくしゃみによって飛び散った体液の粒子のことを意味する飛沫の内に含まれているウイルスや細菌によって感染が成立する病原体の感染経路のことを意味するのに対して、
空気感染とは、飛沫から水分が蒸発することによってさらに小さくて軽い微粒子となった病原体を直接吸引することによって感染が成立する病原体の感染経路のことを意味することになります。
それでは、こうした飛沫感染と空気感染と呼ばれる病原体の感染形態のあり方には、より具体的にはどのような特徴の違いがあると考えられることになるのでしょうか?
飛沫と飛沫核の定義の違い
そうすると、まず、
空気感染と呼ばれる病原体の感染経路は、より専門的な疫学用語としては、別名では飛沫核感染とも呼ばれることになるのですが、
飛沫(ひまつ)とは、咳やくしゃみによって飛び散った直径5マイクロメートル以上の大きさを保った状態にある水分を含んだ体液の粒子のことを意味するのに対して、
飛沫核(ひまつかく)とは、飛沫から水分が蒸発して直径5マイクロメートル以下の大きさになった乾燥した軽い微粒子のことを意味することになります。
そして、
水分を含んだ比較的重くて大きい粒子である飛沫は、あまり遠くまで飛んでいくことはできず、大部分の飛沫は2メートルほどの距離くらいまでしか飛ばずに地面に落ちてしまうのに対して、
乾燥した軽い微粒子にあたる飛沫核は、風に乗ってかなり遠くまで飛んでいくことがあることが分かっていて、場合によっては数100メートルから数キロメートルにもおよぶような長距離を移動していくケースもあると考えられています。
空気感染と飛沫感染を引き起こす代表的な感染症とウイルスの種類
そして、
こうした飛沫核と呼ばれる乾燥した微粒子の状態になると、風邪やインフルエンザなどの呼吸器系の感染症の原因となるような多くのウイルスや細菌は感染力を失うことになるものの、
ごく一部の病原体のなかには、こうした飛沫核の状態になっても失活せずにいる感染力が非常に強いタイプの病原体もあり、
飛沫核感染としての空気感染を引き起こす代表的な感染症の種類としては、麻疹(はしか)や水痘(水ぼうそう)、結核(けっかく)や天然痘(てんねんとう)といった感染症が挙げられることになります。
そして、それに対して、
飛沫感染を引き起こす代表的なウイルスの種類としては、インフルエンザウイルスのほかにも、コロナウイルスやライノウイルスやアデノウイルスといった呼吸器系の感染症を引き起こす多くのウイルスの種類が含まれるほか、おたふく風邪や風疹などのウイルス感染症や、
肺炎球菌、百日咳菌、ジフテリア菌といった細菌の種類などもこうした飛沫感染を引き起こす代表的な病原体の種類として挙げられることになるのです。
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以上のように、
飛沫感染と空気感染における感染形態の違いのあり方について、一言でまとめると、
飛沫感染とは、咳やくしゃみによって飛び散った直径5マイクロメートル以上の大きさを保った状態にある水分を含んだ体液の粒子のことを意味する飛沫が目や鼻や口などの粘膜の表面に接触することによって感染が成立する病原体の感染経路のことを意味するのに対して、
空気感染(飛沫核感染)とは、飛沫から水分が蒸発して直径5マイクロメートル以下の大きさになった乾燥した軽い微粒子ことを意味する飛沫核を直接吸引してしまうことによって感染が成立する病原体の感染経路のことを意味するという点に、
両者の感染形態における具体的な特徴の違いがあると考えられることになります。
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しかし、その一方で、
通常は空気感染を引き起こすことはないと考えられているインフルエンザウイルスやコロナウイルスなどの呼吸器ウイルスの場合でも、
学校の教室や小規模なイベント会場などといった比較的狭い空間に換気を十分に行わない状態で大勢の人々が密集して長時間過ごしている場合には、
空気中を飛び交う飛沫と飛沫核が互いに混ざり合って水分を含んだ感染性の微粒子として空気中を漂っていくことによって、実質的な空気感染に近いような経路で感染が拡大していってしまうケースもあると考えられています。
したがって、より正確に言えば、
こうした飛沫感染や空気感染と呼ばれるような病原体の感染形態のあり方には、そこまで厳密な意味での明確な区分があるわけではなく、
それぞれのウイルスや細菌といった病原体の感染力の強さの違いに応じて、言わば、グラデーションのような形で感染率が高いケースが段階的に定まっていくことになると捉えるのがより適切な解釈のあり方であると考えられることになるのです。
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