新型コロナウイルスは高齢者にとってどのくらい危険なのか？10代から30代の若年層と比較した高齢層の致死率の高さの推定

前回書いたように、2020年2月17日に発表されたCCDC（中国疾病対策予防センター）による新型コロナウイルス感染症の症例分析によれば、

このウイルス疾患の中国の湖北省を中心とする地域における年代別の致死率は、年齢条件を排除した平均的な致死率が2.3％であったのに対して、

70代の患者の致死率は8.0％、80代以上の患者の致死率は14.8％というように、高齢者になるほど著しく致死率が高くなる傾向が示されています。

それでは、こうしたCCDCの報告に基づく一連の統計データに基づくと、

こうした新型コロナウイルスと呼ばれるウイルスは、年齢条件を排除した平均的な致死率、あるいは、10代から30代くらいの若年層と比べて、

具体的な数値としては高齢者にとってどれくらい危険なウイルスであると評価することができるのでしょうか？

平均的な致死率と比較した高齢者における新型コロナウイルスの致死率の高さ

そうすると、まず、前回の記事でも書いたように、

CCDCの2020年2月17日付けの報告によれば、武漢を含む中国の湖北省を中心に調査された44672人の感染者と1023人の死亡者の症例の分析に基づくと、

この地域における新型コロナウイルスの平均的な致死率は2.3％だったのに対して、

10歳未満の患者の致死率は0％（416人の感染者のうちで死亡者なし）
10代の患者の致死率は0.18％（549人の感染者のうち1人死亡）
20代の患者の致死率は0.19％（3619人の感染者のうち7人死亡）
30代の患者の致死率は0.24％（7600人の感染者のうち18人死亡）
40代の患者の致死率は0.44％（8571人の感染者のうち38人死亡）
50代の患者の致死率は1.3％（10008人の感染者のうち130人死亡）
60代の患者の致死率は3.6％（8583人の感染者のうち309人死亡）
70代の患者の致死率は8.0％（3918人の感染者のうち312人死亡）
80代以上の患者の致死率は14.8％（1408人の感染者のうち208人死亡）

という統計データが得られることになります。

そして、前回の記事でも書いたように、

都市封鎖の前後に医療崩壊が深刻化した武漢を含む湖北省の状況と現在の日本国内の状況は大きく異なるため、上記の致死率の数値をそのまま日本国内における年代別の致死率の想定にそのまま当てはめることは不適切だと考えられることになるのですが、

その一方で、

こうした10代から80代以上までのそれぞれの年代層ごとに対比されることになる年代別の致死率の割合については十分に参考にすることができると考えられることになります。

そして、上記の統計データに基づくと、

年齢条件を排除した平均的な致死率にあたる平均値と比べた場合の70代および80代以上の高齢層における新型コロナウイルスの致死率の高さは、

70代の患者は平均値と比べた場合、
8.0％÷2.3％＝3.478260869565217≒3.5倍致死率が高い

80代以上の患者は平均値と比べた場合、
14.8％÷2.3％＝6.434782608695652≒6.4倍致死率が高い

と推定されることになります。

また、

上記の統計データにおける若年層にあたる10代から30代までの患者の致死率を四捨五入して0.2％として一括して把握した場合、

そうした10代から30代までの若年層の致死率と比べた場合の70代および80代以上の高齢層における新型コロナウイルスの致死率の高さは、

70代の患者は10代から30代までの若年層と比べた場合、
8.0％÷0.2％＝40倍致死率が高い

80代以上の患者は10代から30代までの若年層と比べた場合、
14.8％÷0.2％＝74倍致死率が高い

と推定されることになります。

・・・

以上のように、

こうしたCCDC（中国疾病対策予防センター）による新型コロナウイルス感染症の一連の症例の分析に基づくと、

70代の患者は平均値と比べた場合には3.5倍、若年層と比べた場合には40倍、

80代以上の患者は平均値と比べた場合には6.4倍、若年層と比べた場合には74倍も新型コロナウイルスの致死率が高くなると考えられることになります。

つまり、分かりやすく言えば、

70代以上の高齢者にとって新型コロナウイルスの危険性は、10代から30代までの若年層と比べてだいたい50倍くらい高くなると考えられることになるため、

やはり、このウイルスは、特に、70代以上の高齢者において最も注意を払うべきウイルスであると考えられることになるのです。

（ただし、このことは、10代～30代の若年層の患者がこのウイルスによって死亡する可能性がほとんどないということを意味しているわけではなく、逆に言えば、70代以上の高齢者から50人もの死者が出るような状況になると、20代の若者からも1人くらいは死者が出てしまうということを意味することになります。）

・・・

次回記事：新型コロナウイルスの年齢・性別・持病の有無の違いに基づく致死率の概算

前回記事：新型コロナウイルスの年代別の致死率の日本国内における推定、WHOとCCDCの報告に基づく統計データからの推計

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