古代オリンピックのやり投げの具体的な競技の特徴とは?古代ギリシアの戦争における投げ槍を主戦力とした軽装歩兵の活躍

古代ギリシアオリンピアの祭典を中心とする古代のオリンピックにける五種競技のうちには、短距離走・走幅跳(走り幅跳び)・やり投げ・円盤投げ・レスリングという五つの種目が含まれていたと考えられることになるのですが、

こうした古代オリンピック五種競技における走幅跳・やり投げ・円盤投げという三組の競技のうち、

前回の記事で取り上げた走幅跳の次に挙げたやり投げの競技は、具体的にどのような手順で行われていたと考えられ、

そうした古代オリンピックにおけるやり投げと、現代のやり投げの競技との間には、具体的にどのような特徴の違いあったと考えられることになるのでしょうか?

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古代オリンピックのやり投げにおける具体的な競技の特徴とは?

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そうすると、まず、

現代のやり投げにおいては、男子の場合は2.62.7メートルの長さ、女子の場合は2.22.3メートルの長さの主に金属製の槍が競技に用いられることになりますが、

それに対して、

古代オリンピックのやり投げの競技において用いられていた槍の長さ現代ほどは長くはなかったと考えられ、実際にはだいたい2m前後の長さの槍が用いられていて、材質についても、基本的には、先端部分に金属加工のされた木製の槍が用いられていたと考えられることになります。

そして、実際の投擲の際には、

現代のやり投げにおいては、槍の中心部分にあたるひもが巻かれた握り部分を持って、そのまま投擲がなされていくことになりますが、

それに対して、

古代オリンピックやり投げの競技においては、競技に使われる握りひもが巻かれた槍の中心部分には、さらに、古代ギリシア語ではアンクレー(γκύληラテン語ではアメントゥム(amentumと呼ばれる投擲用の革製のひもが結びつけられていて、

こうしたアンクレーまたはアメントゥムと呼ばれる槍に巻きつけられた革製のひもが、投擲の際に一気にほどけていくことによって、

投擲された槍に、ライフルの銃弾のようにらせん軌道が与えられることによって、通常の場合よりも飛距離が長くなり、軌道も安定するという効果がもたらされていたと考えられることになるのです。

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古代ギリシアの戦争における投げ槍を主戦力とした軽装歩兵の活躍

また、

古代ギリシアにおいては、やり投げの競技において用いられていた投げ槍は、散兵戦における主戦力となっていた武器にもあたり、

そういった意味では、

こうした古代オリンピックにおけるやり投げの競技は、古代ギリシアの戦争における軍事訓練的な色彩も強い競技であったとも考えられることになります。

古代ギリシアにおけるポリスと呼ばれる都市国家間の戦争においては、大盾鎧兜小手すね当てといった重装備で身を固め剣や長槍によって武装したホプリタイと呼ばれる重装歩兵が軍隊の主戦力となっていたと考えられることになるのですが、

こうした重装歩兵としてのホプリタイに対して、そうした重装備を持たない軽装歩兵にあたるペルタストと呼ばれる兵士たちが主として用いていた戦術が投げ槍による散兵戦であったと考えられることになります。

実際に、

紀元前391に行われたレカイオンの戦いと呼ばれるアテネ軍スパルタ軍との戦いにおいては、

重装歩兵の部隊のみで構成されたスパルタ軍に対して、待ち伏せしていたアテネ軽装歩兵の部隊投げ槍による散兵戦を仕掛けていくことになり、

反撃しようとするスパルタ軍の突撃に対して、機動力に勝るアテネ軍は素早く後退し、十分な距離を取っては、再び投げ槍による攻勢を仕掛けていくことによって、敵の重装歩兵の体力を削っていき、

最終的に戦線を維持することができなくなって敗走していくスパルタ軍の背後からさらに多くの投げ槍を浴びせ掛けていくことによって、圧倒的な勝利をおさめることになるのですが、

このように、

古代オリンピックやり投げの競技においても用いられていた投げ槍は、状況によっては、古代ギリシアの戦争における主戦力であった重装歩兵をも打ち破ることができる古代の時代における優秀な武器の一つとして位置づけられていたと考えられることになるのです。

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次回記事:古代オリンピックの円盤投げの具体的な特徴とは?宗教的な儀式としてのオリンピックを象徴する聖なる競技としての円盤投げ

前回記事:古代オリンピックの走幅跳の具体的な競技の特徴とは?スパルタのキオニスが記録した古代世界における走幅跳の最長距離

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