月食と満月の関係とは?月食は必ず満月の日に起こるのに満月の日に必ずしも月食が起こるわけではない理由

月食と呼ばれる地球からの観測において月の姿が少しずつ欠けていくことによってその姿が暗闇へと包まれて一時的に消失していってしまうように見える現象は、

地球上から観測されることになる月の満ち欠けの周期といった観点からは、必ず満月の日だけ起こる天体現象であると考えられることになります。

しかし、その一方で、

それとは逆に、すべての満月の日に必ずしも月食が起こるというわけではないと考えられることになるのですが、

このように、月食は必ず満月の日に起こるのに満月の日に必ずしも月食が起こるとは限らない理由については、具体的にはどのような天球上における地球と太陽と月の位置関係のあり方から説明していくことができると考えられることになるのでしょうか?

スポンサーリンク

月食が必ず満月の日に起こる理由

 新月の時の宇宙空間と天球上における地球と太陽と月の位置関係の対比

そうすると、まず、

月食と呼ばれる月の姿が少しずつ欠けていって暗闇へと包まれていく現象は、天文学的な意味においては、太陽からの光を遮る地球の影のなかに月が入っていくことによって観測される天体現象であると考えられ、

上記の図において示したように、

こうした月食と呼ばれる天体現象が観測されることになる時の実際の宇宙空間における太陽と地球と月の位置関係においては、

太陽と地球と月がこの順番において一直線に近い状態で並んでいる時に観測されることになると考えられることになります。

そして、

こうした月食が観測される時の実際の宇宙空間における太陽と地球と月の位置関係のあり方を、地球から観測されることになる天球上における太陽と月の位置関係にあてはめて考えていくと、

上記の図において示したように、

太陽と月が地球をはさんで正反対の位置に来ている時に月食が観測されることになり、こうした天球上における太陽と月の位置関係は、

月の満ち欠けの周期のあり方においては、太陽と月が地球から見て正反対の方向へと位置することによって月が正面から太陽の光を受けることで真ん丸の状態に光り輝く満月の日と一致することになると考えられことになるのです。

スポンサーリンク

満月の日に必ずしも月食が起こるとは限らない理由

月食のときの黄道と白道の軌道上における太陽と月の位置関係

それでは、

こうした天球上において太陽と月が地球をはさんでほぼ正反対の位置にくることになる月の満ち欠けの周期における満月の日には、それと同時に、必ず月食と呼ばれる天体現象も観測されることになるのか?というと、もちろんそういうわけではなく、

上記の図において示したように、

天球上における太陽と月の位置関係においては、正確には、太陽が一年の周期で反時計回りに移動していくことになる黄道と呼ばれる太陽の通り道と、白道と呼ばれる月の通り道の軌道には、そうした円周軌道の傾きに5.9度のずれがあるため、

天球上において、実際に太陽と月がちょうど正反対の位置に来て、地球の影の内に月がぴったりと収まることによって月食が観測されることになるのは、

上記の図における昇交点と降交点と呼ばれる黄道と白道二つの交点に近い位置に、太陽が昇交点にいるならば月はその反対側の降交点にいるというように、太陽と月が同時に位置している時だけであると考えられることになります。

したがって、

そうした黄道と白道降交点と昇交点にあたる位置において太陽と月が地球をはさんでちょうど正反対の位置に来ることになる時には、満月と月食が同時に観測されることになるのに対して、

それ以外の通常の満月の日においては、方向としては太陽と月は地球から見てほぼ正反対の方向へと位置するため、月が正面から太陽の光を受けることによって真ん丸に光り輝く月の姿が観測されることになるものの、

それだけでは、厳密な意味において太陽と月が地球をはさんでちょうど正反対の位置に来るという月食の条件を満たすことにはならないため、

そうした通常の日における満月と同時に、真ん丸に光り輝いていたはずの月の姿が地球の影のうちへと入っていくことによって少しずつ光を失って欠けていき、最後には暗闇へと包まれていってしまう月食と呼ばれる天体現象が観測されることはないと考えられることになるのです。

・・・

次回記事:月食で赤い色をした月が観測される理由とは?粒子と波という光の二重の性質に基づく具体的な説明

前回記事:日食と月食における部分食の意味の違いとは?本影と半影との関係に基づく部分日食と部分月食の定義のあり方の違い

天文学のカテゴリーへ

スポンサーリンク
サブコンテンツ

このページの先頭へ