一年草と二年草の違いとは?数え年との関係に基づく植物学における両者の厳密な定義
一年草と二年草と呼ばれる植物のグループの区分のあり方を意味する二つの言葉は、一般的な定義においては、
一年草とは、植物としての生存期間の長さが一年未満である草本植物のグループ、
二年草とは、植物としての生存期間の長さが一年以上二年未満である草本植物のグループのことを意味する言葉として定義することができると考えられることになります。
しかし、その一方で、そうした定義のあり方とは別に、
植物としての生存期間の長さが一年未満である草花についても、生存期間が年をまたいで種から発芽した年の翌年になってから枯死する草本植物、
具体的には、秋に芽を出して翌年の春に花を咲かせてすぐに枯れていくことになる越年草と呼ばれる草本植物のグループについては、
一年草ではなく二年草として分類する区分のあり方も植物学の分野において広く用いられてきた分類のあり方であると考えられることになります。
それでは、具体的にどのような理由から、
こうした一年草と二年草と呼ばれる二つの植物のグループにおいて、そうしたまぎらわしい区分のあり方の違いが生じてしまうことになったと考えられることになるのでしょうか?
「生存期間の長さ」と「年を越した回数」を基準とした一年草と二年草の区分のあり方の違い
詳しくは前回の記事で考察してきたように、冒頭でも挙げた
越年草と呼ばれる秋に発芽して冬を越したのち、春になって花を咲かせてから次の秋の季節を迎える前に枯死する草本植物のグループに分類される植物は、
植物としての生存期間の長さが一年未満であるという点では一年草に分類されることになるものの、その生存期間が種が蒔かれた年からその翌年までの二年目におよぶといった点では二年草に分類されることもある植物の種類として位置づけられることになると考えられることになります。
そして、
こうした越年草と呼ばれるような植物の種類において、一年草や二年草といった植物の分類のあり方に大きな食い違いが生じてしまう具体的な理由としては、
前者の越年草を一年草として区分する分類のあり方においては、その植物の生存期間の長さが一年未満であるのか、それとも、一年以上二年未満であるのかといった
植物の生存期間の長さを基準として一年草と二年草と呼ばれる二つの草本植物のグループ区分がなされていると考えられるのに対して、
後者の越年草を二年草として区分する分類のあり方においては、その植物が種から発芽したその年のうちに枯死してしまうことになるのか、それとも、年を越して翌年になってから枯死することになるのかといった
植物が年を越した回数を基準としてそうした二つのグループの区分がなされていると考えられることになるのです。
植物学における一年草と二年草の厳密な定義と数え年との関係
そして、
このうち後者の分類のあり方のように、物事の年数を数えるのに、その物事自体の持続期間ではなく、年を越した回数を基準として用いる数え方の根底にある考え方としては、
こうした植物学や生物学の分野だけに限らず、人間の年齢の数え方なども含めた日常生活における様々な場面においても古くから広く用いられてきた数え年(かぞえどし)と呼ばれる年齢や年数の数え方に関する考え方を挙げることができると考えられることになります。
例えば、
人間の子供の場合でも、数え年の考え方に基づく年齢の数え方においては、生まれた年を一年としたうえで、そこから一回でも年を越した時点で二年になったとして年齢の加算が進められていくことになりますが、
こうした数え年の考え方に基づく年齢の数え方においては、秋に生まれた子供は、その次の年の正月を迎えた時点で、まだ生後一年に満たなくても二歳児として位置づけられることになると考えられることになります。
そして、
こうした子供の年齢の数え方における数え年の場合とまったく同じような形で、
前述した越年草と呼ばれる秋に芽を出して次の年の正月を過ぎてから枯死していくことになる植物についても、一年草ではなく二年草として位置づけられるケースがあると考えられることになるのです。
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以上のように、
一年草と二年草と呼ばれる草本植物のグループのことを意味する二つの言葉は、
植物の生存期間の長さを基準とした一般的な定義においては、
一年草は、植物としての生存期間の長さが一年未満である草本植物のグループ、
二年草は、植物としての生存期間の長さが一年以上二年未満である草本植物のグループのことを意味する言葉として定義されることになると考えられるのに対して、
植物が年を越した回数を基準とした数え年の考え方に基づく定義においては、
一年草は、種から発芽した植物がその年のうちに枯死してしまう草本植物のグループ、
二年草は、種から発芽した植物が年を越して翌年になってから枯死する草本植物のグループのことを意味する言葉として定義されることになると考えられることになります。
それでは、結局、
こうした一年草と二年草という植物のグループに関する二つの定義のあり方のうち、どちらの定義のあり方のほうが、より適切な定義のあり方であると考えられることになるのか?ということについてですが、
後者のような年を越した回数を基準とした一年草と二年草の定義のあり方が、もともとは人間の年齢の数え方などにも古くから用いられてきた数え年の考え方に基づく定義のあり方として位置づけられることになるということは、
逆に言えば、
そうした後者の一年草と二年草の定義のあり方は、数え年としての年齢や年月の数え方がほぼ完全に廃れつつある現代においては、あまり広く受け入れられていない古い分類のあり方として位置づけられることになるとも考えられることになるので、
そういった意味では、
前者のような生存期間の長さを基準として、植物の生存期間の長さが一年未満である草花を一年草、植物の生存期間の長さが一年以上二年未満である草花を二年草として定義していく分類のあり方のほうが、
現代の時代においては、シンプルで誤解の少ないより適切な分類のあり方として位置づけられることになるとも考えられることになるのです。
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次回記事:一年草における秋播きと春播きの区別とは?両者の具体的な特徴の違いと分類される全部で40種類の代表的な植物の種類
前回記事:越年草は一年草と二年草のどちらに分類されるのか?越年草に分類される全部で20種類の代表的な植物の種類
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