飛沫感染による感染機会を減らすための予防対策とは?ノロウイルス対策⑧
今回は、ノロウイルスの第2の感染ルート、「飛沫感染」についてです。
ウイルスが付着した塵や埃を吸い込んでしまうことで感染してしまう飛沫感染の 感染機会を減らすための予防対策、について考えてみたいと思います。
飛沫感染による感染機会を減らすための予防対策とは?
前にも書いたことですが、ノロウイルス自体は、大きさが30ナノメートル(1ナノメートルは1ミリの100万分の1)なので、非常に小さいウイルスといえます。
それに対して、マスクの網目の大きさは、
性能のよいサージカルマスクでも、0.1マイクロメートル=100ナノメートルはあります。
ノロウイルスと比べると、マスクの網目の方が大きいので、マスクをしても予防効果がないように思われますが、
しかし、
ノロウイルスの飛沫感染は、ウイルス単体を吸い込むことではなく、
ウイルスが付着した塵や埃を吸い込むことによって感染するのです。
そして、塵や埃の大きさは、大体1マイクロメートル=1000ナノメートル以上、であることが多いので、
マスクによる予防対策は、非常に有効な手段となります。
飛沫感染からの予防効果を高めるためには、
洗って再使用する通常のガーゼマスクなどよりは、
医療用のものに近く、使い捨て出来てより衛生的な、サージカルマスクを使用する方がよいでしょう。
マスクが入った箱の記載に、
サージカルマスクや不織布マスク、BFEやPFE(細菌や微粒子の通しにくさを示す規格)などとあれば、
ドラッグストアなどで50枚400~500円くらいで売っているようなもので十分です。
マスクと顔の間のすき間から、ウイルスを含む塵が入ってしまうのを防ぐために、
サイズは自分の顔にぴったりフィットするものを選び、
顔の凹凸に沿うように、できればノーズワイヤーやセンターワイヤーなどがあるものを使用するとよいでしょう。
マスクの境界ラインがしっかり自分の顔全体に密着するように装着することを心がけると、より予防効果が高まります。
また、ビニール手袋については、衛生上や使い勝手からいっても、
塩化ビニール樹脂などの薄手で使い捨てのビニール手袋がよいでしょう。
これも薬局やスーパーなどで100枚400~500円程度で買えると思います。
汚染物を直接処理するときの予防対策とは?
次に、トイレに行くのが間に合わなかったときなど、床などに吐物などの汚染物が直接ある場合ですが、
汚染物が乾燥すると、ウイルスが付着した塵や埃が舞い上がることで飛沫感染の危険性が高くなってしまうので、汚染物をすみやかに処理する必要があります。
前回の、シリーズ「ノロウイルス対策⑦」で書いたように、
単に患者の部屋やトイレに入るだけの場合は、一回一回使用したマスクやビニール手袋を捨てて新しいものに取り替える必要はないかもしれませんが、
汚染物を直接処理するときは、マスクや手袋に大量のウイルスが付着することになるので、
やはり、汚染物処理に使ったマスクとビニール手袋はできればその都度処分するようにした方がいいでしょう。
次回のシリーズ「ノロウイルス対策⑨」は、汚染物を処理するときの手順の流れ、
について、詳しく考えてみたいと思います。
まとめ
ノロウイルスの大きさは、マスクの網目の大きさに比べてだいぶ小さいのですが、
ノロウイルスは、ウイルスが付着した塵や埃を吸い込む飛沫感染によって感染するので、マスクによる予防対策は、非常に有効な手段となります。
飛沫感染からの予防効果を高めるためには、使い捨てのサージカルマスクを使用し、
できればノーズワイヤーやセンターワイヤーなどがある、顔にぴったりフィットするサイズのものがよいでしょう。
また、ビニール手袋についても、普通の塩化ビニール樹脂などの薄手の使い捨てのビニール手袋がよいでしょう。
患者の部屋やトイレに入るたびに、毎回、マスク・手袋を新しく替える必要はありませんが、汚染物の直接処理に使ったマスクとビニール手袋は、その都度処分するようにした方がいいです。